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8人目、 ヒサタカ がやってきました。
ヒサタカは、ランダム を希望しました(他の人には見えません)。
――3階・東端の空き教室部――
[空の端がようやく到達した頂点から、次第に傾きを見せ始めた時刻。
教室の窓際の後ろ端から、パタンと少々重い紙が閉じた音が響いた。
本を閉じた主は、長時間同じ姿勢で居た為に凝ってしまった肩を少しだけ回しながら立ち上がった。少々年寄り臭いが、体内を伝ってゴキゴキと関節が鳴る音を聞きながら、横においてあった鞄に本を終った。
腕時計に目を落とした。
もう少し時間はある。
だがそう言えば昼休みであるにも関わらず、食事をしていなかった事を思い出すと、途端に腹部から空腹を知らせる合図が鳴り響いた。別段変わる事はないが、それでも誤魔化しついでに何度かお腹を擦ると、購買部で余ったアンパンでも購入しようと空き教室を出た]
ヒサタカが村を出て行きました。
8人目、 ヒサタカ がやってきました。
ヒサタカは、共鳴者 を希望しました(他の人には見えません)。
……しかし、暑いな。
[また、すぐに響き始めた合唱。
特に煩わしがるでもなく、こんな事を呟いて。
空を見、白の影がない事を確かめると鞄を拾って屋上から降りてゆく。
……意識の内には、多少、小言が響いていたかも知れないが、無視、無視]
…こんなんならあいつらの遊びの誘いを受けておけばよかったなぁ。
[あいつらとはクラスメイトのことをさす。
だがその当時には色んなものが足らなかった。テンションとか気力とか。暑さに対する対抗力とか。今も足りているとは思えない。ほとんど常時品不足だ。不景気と言うのはここまで蔓延してしまうものだろうか。ぼんやりと考えながらいい加減見飽きたとばかりに、席を立って廊下に出た。]
―科学室―
「と言う訳で、夏休みの課題は炎色反応のレポート。以上、解散!」
はーい、センセおつかれ! 先輩達もさいならー。
[科学部顧問の声と共に、数名しか居ない部員は適当な挨拶を交わして出て行く。顧問が顧問なら部員もいい加減なものだ。
ちなみに、炎色反応のレポート=花火でもやっとけ、である]
[結局、目的のブツの購入に成功した彼だったが、そのまま気ままに校舎を歩きながら食し、ぼんやりと空を眺め、また空き教室で授業を更けて本にのめり込み……気づいた時には空が半分程度オレンジ色に支配されていた]
……あ、授業忘れてた。
[どこかぼんやりとした眼で空を眺めてぽつりと呟くやすぐに授業の事など何処かへ流してしまうと、次に浮かんできたのは今日一日ほとんど放置してしまった恋人の事だった。
しかし、しばしの間恋人を思い浮かべると、何かあれば連絡があるだろうと、生来の気質を思いっきり発揮して結論つけると、再び校内を徘徊しはじめた。
比較的午後の夕日は熱を溜め込みやすい。
そんな暑さから逃げるために一回の、テニスコートのある校舎裏方面に回った時、ケイコの姿を見かけた]
…………。
[そして僅か15秒、何かを考えた様子を見せてそのまま素通りするべく再び歩き始めた]
おーい、ボイコット青年。
何も無視してかんでもいいでしょうが。
[ひょい、とヒサタカの進路に足を伸ばした。
通り過ぎようとするクラスメートに、口と足でツッコミ]
ま、お嬢様とのデートに急ぐんなら邪魔しませんが?
[カラカラと笑う。何だかんだと暇しているようだ]
[足早に階段を降り、一階まで向かう。
校舎内の浮き立ちは、目前に迫る夏休みのためだろう]
……気楽なもんだ、と。
[そんな呟きを漏らしつつ、携帯を軽く見て、時間を確かめて]
今から出れば、間に合うか、ね。
んー、花火は好きやねんけど、寮ですんのはなー。
タマキちゃんトコにでも行った時にしよか。
受験生かて息抜き…炎色反応の復習は必要やもんね。
[都合よく結論付けて、実験用薬品保管冷蔵庫を漁った。
白衣引っ掛けたまま部室を出る。荷物は置いたまんまだ]
センセ、どーせ定時まで帰られへんのやろ?
ちょっと置かしといてなー。
[ケイコが進路に入り込んできたのでピタリと足を止めた。そしてあのぼんやりとした視線で彼女を少し見つめてから]
……無視じゃない。考え事してるのかと思ったから、邪魔しないで置こうと……。
[と、普段どおり真実一本槍の回答の途中で、お嬢様云々といわれてしまい、口を噤んだ。
はて? 一体誰がお嬢様なのか?
そう思いながら、すぐにデートする相手など自分には一人しかいないと思い至った。古典的にポンと手を打って]
ああ……マリーがお嬢様か。
[関係ないところに感心した]
……やべ。
[ 小さく呟きを落とす。
同時に視線を上げて、落とした。
地を染める光の色は、
目蓋を下ろす前と大分変わっている ]
どんだけ、居たんだ。
[ 独り言ちるその姿は、校舎の片隅、樹上にあった ]
[ 幹に手をかけ、危なげなく降り立つ。
またしても合唱を中断された蝉たちは、
青々とした葉が舞い落ちるのとは反対に、
抗議の声を上げながら、暮れの空に飛び立っていった。
軽く服を払って、大きく伸びをする。
放課後の校舎裏だからまだマシだが、
そうでなければ目立つこと間違いなしの行動だった ]
暇してただけ。
暑いから切り上げて涼しい場所に逃げてきたんだ。
[近くにあるラケットケースを示して]
アッハッハ!
恋人以外とデートしてたら問題アリだよ、ヒサタカクン。
言いつけちゃうぞ?
やほー。
[声に反応して、なにやら俯いてた顔が上がったので手も振った。
握ってるのは実験用の氷の入ったビニール袋=簡易氷嚢]
へたってたみたいやからあげるわ。
[大体こんなもんかな、と目測を定めて手を離す。氷嚢、自然落下]
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