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そうだ、あの日もこんな冷たい風が吹いていた。
泣いていたのさ、この島が。
おや、血の匂いがするね。どこでやんちゃしたい。
ククク、男の子は元気が一番さ。だけど相手は選ぶんだね。勝てない相手と喧嘩していいのは、一生に一度だけだよ。
ほら、じっとしな。いま薬を塗ってやるから。なに、ちゃんと捕まえた? 馬鹿を言いでないさ。
喧嘩相手に感謝するんだね。その誰かさんが加減をしらなきゃ、あんたらみんな死んでるよ。
……どこまで話したかな。
そうそう、この島がどうして嘆きの島と呼ばれるか知ってるかい。
あの時もたくさんの人が傷ついた。死んだ。泣いた。
ずっとずっと泣いてるのさ、この島は。あの日からずっと。
ほらほら、年寄りの話は黙って聞くもんだよ。なにを騒いでおいでだい。
怪我人が出た? そういうことは先に言いな。
ほら、なにのんびりしてる。すぐに連れてくるんだよ。あんたらの傷なんてたいしたこと無いだろう。
重症のお嬢さんをさっさと連れておいで。……なに、何で娘さんだと知ってるかって? あんた、この婆の話を聞いてなかったのかい。
そうさ、あの夜も湿った風の吹きつける波打ち際に、一人の余所者が流れ着いたんだもの。
綺麗なお嬢さんだったよ。
だから、早く連れておいで。急がなきゃ信じまうよ。
病院? 寝ぼけたこと言ってるんじゃない。
死にかけてるお嬢さんをこの夜更けに島向こうまで、そんなぼろきれ一枚かぶせただけで運ぶ気かい。
火をくべるんだ、もっと、もっと。
そこの坊や、ぼさっと突っ立ってるんじゃないよ。薪をどんどん運んでおいで。それからお湯をたくさん。
ああ、あの夜も忙しかったね。
覚えているよ、燃え盛る暖炉の火。忘れやしないさ、死人のように青ざめた、あの……
知ってるかい。旅人は魔物を呼び寄せるのさ。
そう、砂浜に人魚が打ち上げられた夜、島には決まって血の雨が降る。
フン、あんたらが何に怯えているのか、当ててやろうか。
魔物は海から訪れる。闇夜に人魚が生き血をすする。信じてるんだろ、古い古い言い伝え。
でもね。それは間違ってたのさ。魔物は里に住んでいたんだ。
知らないわけじゃないだろう。むかしむかし、この島を惨劇から救ったのも旅人だったこと。
知らないかもしれないね。鬼は海から来たんじゃなかった。
あの夜、ずぶ濡れで運ばれてきた娘さんは……魔女なんかじゃなかったさ。
さあ、この娘はもう大丈夫だよ。後は本人の生きる意志だけ。
婆も仕度も整った。行こうじゃないか。
手を貸しな。婆の杖を取っとくれ。
なに鳩が豆鉄砲食らったような顔してるんだい。
出たんだろ? この島にまた、狼が。
旅人が風を呼ぶ。波の音が哀しみに沈む。
里には鬼が住む。嘆きの島の慟哭は止まない。
むかし、むかしのお話さ……
■1. 名前:デボラ・ア・ライラ
■2. 職業:語りべ 年齢不詳
[アーヴァインの調書に、デボラ婆さんの記録が記されていた。
古くから島に住んでいる老女。海に面した東屋で隠遁生活を送っている。
知識は豊富ながらも耄碌しており、昔話と現在のことを混同して話すような癖を持つ。
人狼伝説を自らの体験談であるかのように語るが、この島に過去、そのような事件が起こったという公式記録は存在していない。
]
/PL/
昔話が本当に真実かどうかは、特に設定しておりません。
適当に記憶を忘れたり思い出したりするので、必要に応じて欠けてる人物関係の調整役に使ってください(笑)
酒場の看板娘 ローズマリー が参加しました。
酒場の看板娘 ローズマリーは、おまかせ を希望しました(他の人には見えません)。
―BAR 裏部屋―
…ん。
[うつぶせのまま寝てしまっていたようだ。肩が痛い。
細めた目で窓から外を見やる。
相変わらず暗い海に浮かぶ、暗い雲。]
[ガラスに映った自分の顔。ガラス映りで解るくらい、酷い顔だ。
昨晩、最後の客に言われた言葉を思い出す。
頭の中で反芻する――]
……ふん。
[頭を強く振る。
途端に眩暈を覚える。眉をしかめる。
あの一言で自分が深酒に向かったことは、意地でも肯定したくない。]
[窓を開け、冷たい空気に髪を晒した。
旅人は潮の香りを懐かしむが、ローズマリーにはもう潮の香りが感じられない。
不意に約束を思い出した。時計を見る。]
…ん。アーヴァインさんの…。
[やるべきことを頭に思い浮かべる。取捨選択。
切羽詰った時間をあっさり諦め、ローズマリーは部屋に戻ってシャワーを浴びることにした。]
[...は自分ひとりの部屋に向かう。
昨日のうちに書き込んでおいた調書を、店に忘れて。]
■1. 名前(源氏名):ローズマリー
■2. 職業:酒場の主人 年齢不詳
本名不詳、推定年齢30代半ば。BARのママと二人細々と水商売をしていたが、5年前ママが失踪したのを受け、主人に。この地の出身ではないが、この地の商売は長い。
/中/ 割と年老いたローズマリーと思ってください。
ギルバートへ。クラークの関係者演ります。血縁はないけど…といった設定で。
他に血縁者をやりたい人が居たらそちらを優先してください。
―宿―
[彼は昨日読みかけだった本を読み終ると部屋の一点を見つめて回想した。
ローズマリーとは月に一度か二度会えばいいくらいだったけれど顔見知りで、バーから帰り際に何か客と言い争いらしき事をしていたのが気にかかった。
彼はまだ、ローズマリーが容疑者の一人である事を知らない。
立ち上がると、ギルバートに一度声をかけてから宿を後にした。]
図書館に本を返してきます。
[宿の主人に昨晩のお金を払うと、図書館へ向かう。]
[彼女は、部屋の中でため息を吐いた。それは憂鬱そうではあった。
彼はいない。弟はいない。
彼女の名前は、Leish=N=H。
N=H、それは彼女らの名前。
家のない子をあらわした名前は、このサーカス団には多い。
団長のつけた名前。]
[リーシュは髪を結う。長い髪を器用に、くるくると。
茶色の髪が指から零れる。集める。
繰り返し、二つの団子にする。
髪を長くするのは、弟のためでもあった。
左の耳にピアスをあけ、弟は右の耳にした。
お互いに紅い石をつけたのは、サーカスに入る前だったと思う。]
……人狼、ね。
ここにも居るのね。
あくまが。
[ふたつの団子に花をつけて、彼女は舞台へあがる。今はリハーサル、人の目はない。
そっと縄に触れる。
一本の細い縄。
ぴんと張られた、縄。
その上を歩く。
それは彼女の役目だったはずだった]
[ネットの張りを確かめる。それから、すっと足をはしごにかけた。
のぼってゆくその身体は、ハーヴェイのものよりもずっとやわらかい。
だからといって二人に筋肉がないわけはなく、彼らは腕一つで自分の身体も支えられる。
長い距離を上りきって、彼女はそっと縄に足をかける。
見る人は誰もいない。
……否、ただ一人。
その観客に終ぞ彼女は気づくこと無かった。]
/中/
デボラはもともと島に住んでいたけど、身寄りのない老人をそんなところにおいて置けないので、いまは本土に移されてます。
でも本人はいまも自分が嘆き島にいるつもりのようです…ということにしましょう。
潮の変化と埋め立てで地形が変わっていて、昔はもっと広かった嘆き島に集落が存在したとか何とか。
―テント―
[彼はため息を一つ吐き出した。そのまま首をゆるく振る。
サーカス。舞台に立つようになってからもう長いけれど。
こうやって姉の代役に立つことも、多くなったけれど。]
……ま、おれがやるしかないけどな……
[この公演は、と口にした。
しかし、だけれど。
処刑についての話は、姉にはしていなかった。
出来る筈も無く。
姉の演技を見た目を、閉じる。そして気分転換に、久しぶりに、自ら望んで外へと向かう。]
―→船着場―
―海辺・船着場そば―
[船の様子を眺めながら、そこに腰を下ろす。
手放さないバッグの中から、横笛を一つ、取り出した。
小さな横笛からメロディが奏でられる。
それは故郷を懐かしむ唄。]
[彼は黙々と歩いていた。
午後の日差しは体を充分に暖める程ではないけれど、強い潮風に奪われていく体温を幾らか保っていた。
普段と同じ頃の時間に目覚めて、けれど遅い朝食を宿で食べていると、墓地管理を交代してくれる人が訪ねてきた。
彼は世間話を少しだけして、この村で今起こっている人狼騒ぎの事で容疑者として一日一度は公民館を利用した集会場に行かなくてはならない事、そして集められた人達で互いに投票し合い処刑する人を選ぶ事などをぽつりぽつりと話した。まるで悪夢のような話だと。
だから墓地の仕事に支障が出るであろうから、お願いします。と、また頼んだ。
彼は多くは言わなかったけれど、彼も処刑される事もあると、代理の人は察したようだった。哀れみがこもった目だった。
図書館につくと、鞄から借りていた本を一つずつ机の上に重ねて差し出し、返却した。]
/中/
使用楽器:ピッコロ
歌:わかりません。ふるさとみたいな歌とかあるのかな。Contry
カントリーロード。とか? うーん。あのうたも 良いうただがもっと違う感じがいいかなぁ
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