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俺の書き散らしに、それだけのものがあればいいんだが。
そこらは、受け取り手次第だから、なんとも言えんかな。
[苦笑したまま、ノートを開く。
一番後ろのページには、未だ完成していない一説の走り書き]
成績……そうか、学校行ってる年齢か……。
[照れ隠しの笑みと共に向けられた言葉に、そこに思い至り。
同時、周囲で交わされる、この召集に少女が呼ばれた意味を考える。
微かな嫌な予感は、消えずに残ったまま]
[ゼルギウスには小声で「うるせー」と苦笑いで返し、マテウスの顔を眺めて、ふと不思議な思いにかられたような表情になる]
まあ、ウェンデル坊やは二言目にはちびちびからかう俺のことはあまり元々好いてはいなかったみたいだから。
だから年を取ったらほとんど口も聞いてなかったし、余計にそう思うのかもな。
俺が「ウェンデル」という名前で反射的に思いだすのはマテウスの兄貴の後ろをちょこちょこくっついて歩いていたあの姿だからなあ。
兄貴は……一瞬わからなかったが名乗られてみると確かに兄貴なんだよなあ……
ほっほっほ。
色々なことがあるように見えても、その実はほんの少しでしかないのですよ。
その小さな出来事には、このばば。全てやりつくしました。
[マテウスの言葉に微笑みかける]
ふふ……。
悪ガキだけじゃなく、私にとっては全ての人が子供のようなものですよ。
宝を授からなかった私にとってはね。
[知らず、少しだけおなかをさすった]
そう……この村にいる全ての人が、私の宝。
必ず真実が含まれる、か。
[ヨハナの言葉を口の中で繰り返し。
向けられた笑顔には唇の端を上げ返す]
なるほど、ヨハナ婆らしいや。
俺も見習わないとってとこですね。
[ヨハナの言葉は丸っきり子供扱いだったのではあるが]
[何だか少し嬉しかったのはやはり心のどこかで求めているからなのだろうか]
[失った家族の温もりを──]
……婆ちゃーーん!
ありがと、何か和んだ。
[大袈裟な身振りで両手を広げ]
[ヨハナを広げた両手で包もうと近付いた]
おやすみ、ウェンb…ウェンデル。
[ゼルギウスと一緒にウェンデルを見送り]
仕事の話とか近況がほとんどだしな。
まぁ、これからはその大事な信頼がより強くなるんじゃねぇか?
[ゼルギウスに笑いかけて]
ああ、あの薬か?
効いた効いた、前よりもよく効くは。
[と思い出したように]
そうだ、今度会うときいおうと思ってたんだが、
あの薬たしかによく効くんだが人によっては肌とかかぶれるみたいだぜ。
俺は平気だったんだが、体質とかでダメなやつもいるみたいだ。
[他の人にも試したようだ]
……それは、否定せんけどな。
[家主の言葉、それ自体は反対する必要も必然もなく]
だからと言って、俺で遊ばんでくれ。
[憮然とした面持ちで言うものの。
最後の言葉には、やや暗い翠がす、と細まる]
……ならさなそう、ではなく。
なるだろうな……確実に。
[ごくごく小さな呟きは、どこか確信めいた響きを帯びる]
エーリッヒもか。
さてどうしてだろうな。
[揃った連中は、自分含めて無節操で、繋がりはあるようには見えない。
辛うじて20代が多いが。全員共通とは言いがたいわけで。
ふと死体を思い返すと、溜息しか出ない。
と、思考している間に、ライの言葉が聞こえ顔をあげる。
ライヒアルトとエーリッヒが何やら言う声が聞こえて。]
ああ済まない。一応聞いたが、また変に覚えると悪いだろうから、ライヒで止めておく事にする。たまに語尾が伸びていたら注意してくれ。
[至極真面目に言うと、微かにエーリッヒが忍び笑う声が聞こえて不思議そうにするのだが。]
ほっほっほ。
伊達に長く生きていませんよ。
[エーリッヒにそう返したところで、ゼルギウスが近づいてくるのに気づき、細い目が皺の奥に隠れるような大きな笑みを浮かべた]
なんだよ?その意外そうな顔は?
俺に手紙は似合わないっていうのか?
[ゼルギウスに咎めるようにしてからすぐに]
そうだな、さすがに名前まではなかったし。
[ぷっと吹き出し]
まさか行き倒れの薬師がゼルギウスだなんて…なぁ。
[ナターリエとの会話にそのまま笑い出して]
本当によかったな。
[ゼルギウスの肩をぱしぱしと叩いた]
[ナターリエにうんざりした顔で頷き返す]
全くだ。酔っぱらって寝てたところを起こされて、近所の連中が怖い顔でこっちを見てる中、引っ張ってこられたんだが……俺は何が起こったのかさっぱりわからんのでね。ただ、人が殺されたことと、俺がその容疑者だってことしかわからん状態でここへ来たんだ。
どれだけ凶悪な面構えの連中が集まっているのかと思えば、皆知った顔ばかり。
わけがわからんぜ。
遺体……か。そんなにひどいのか。[声を潜めて]
ああ、強くなるかもな。
[に、と楽しげな人懐っこい笑みをマテウスへと向けた]
お、やった、実験成功。
[マテウスを実験台にした模様]
[けれど続いた言葉に、げ、と言葉を漏らした]
うはー、かぶれ出ちまうか。
ちっと調合バランス失敗したんかな。
効果強めるとそれが出やすいのがかなわん。
今度はそこも考えなきゃダメか。
[ぶつぶつと調合割合を呟いて]
[懐から出した紙に失敗部分のメモを取ると再び懐に仕舞う]
教えてくれてさんきゅ。
また調合し直してみるわ。
…………。
[至極真面目に返されるナターリエの言葉に、また、沈黙した]
……わかった、が。
なるべく、気をつけてくれ。
[何となく、がっくり来たかも知れない。
元々、教会と関わりの深い稼業の彼女とは余り接点を持たずにいたためか。
一連のやり取りで、だいぶ調子が狂った気がした]
美人、ね。
マテウスが言うと若干胡散臭い…。
ああ、いつ死んでもおかしくない生活していると聞いていたからな。
[実際どうゲルダから聞いていたのか。
かなり湾曲しているかもしれないが、本人は気にしてないのがまた。
昔の事を言われると、すっと頬に赤みが差す。
それを誤魔化すように、マテウスの背に手の平で一撃入れた。]
五月蝿い…!
[一撃いれたらすっきりしたのか。
ふぅと小さく息をつくと、表情はいつも通りに戻る。]
…まぁ色々あったんだ。こっちも。
可愛らしいあのときのナタリーは、爺様と一緒に空に飛んでいった事にでもしておけばいい。
[ひし、とヨハナを一度抱きしめてから直ぐに解放して]
[マテウスが自分のことに笑う様子にバッと振り返った]
笑うなよっ!
仕方ないだろー、予想外に食糧足りなくなっちまったんだから。
途中食べれる植物で凌いでたんけど、この村の近くで力尽きたんだ。
[少し膨れながら肩を叩かれて]
マテウスが手紙書く姿なんて想像出来ねーよー、だ。
めんどくさがって返事出して無さそうだもん。
[笑われたお返しとでも言うように言い放った]
確定事項みたいな口振りだな。
[やはり囁くよな声で。
チラリと振り返り、暗い翠と交差するは翳り帯びた翠。
だがすぐ逸らされて。翳りは灯りの反射に消える]
ま、少なくとも筆不精には見えなくても不思議はないんじゃないですかと。
他人のこと言えた義理じゃないけど。
[軽い口調でマテウスに茶々を入れた]
そういうイヴァンも変わったけど、変わらないな。
[その呼び方とかなと笑いかけて]
まぁ、いつまでも仲良しとはならんものかね?
あまり細かい人間関係については。
[ウェンデルの話を聞けば]
たしかに、あのころと違ってずいぶんとお硬くなったといえばいいのかな?
ヨハナさんにもいろいろありそうだな。
[その言葉と様子になにか自分達以上に重ねた年月の重みを感じ]
俺も、いや、
きっと村の皆もヨハナさんのことは大切に思ってるんじゃないかな?
15年も村出て行ったきりの俺がいうセリフじゃないかもしれないけどな。
……予測が、正しければ。
[ごくごく小さな呟きを家主に返して、軽く、目を閉じる。
思い返すのは、団長とのやり取り。
「村を守る」という言葉。
累積するのは、嫌なイメージ。
そのイメージと、周囲を飛び交う『旧知の会話』というのがどうにも息苦しく思えて、一つ、息を吐いた]
さすがに、皆に心配かけっぱにしとくのも悪いだろう。
言っただろう、人のつながりは重要だってな。
[ゼルギウスに笑いかけてから]
だろうな、あの時薬渡す時のお前なんかおかしかったからな。
悪いが第一の被検体はどこかの誰かにやってもらったぜ。
[ゼルギウスにいい笑顔を返して]
まぁ、今度はもっと出来のいい薬をできれば俺以外のやつで実験してからで頼むぜ。
[マテウスに頷いて]
まあな。ウェンデルは昔は道で俺に会ったら嫌いは嫌いなりに「イーだっ!」とかしてたじゃないか。
そういうことをしなくなったよなあ。流石にそういう年頃じゃなくなったんだなあ、と思っていたが、なんかその代わり、視線が合わなくなったな……
そこまで嫌わなくてもいいだろうよ、と思っていたんだが、そういえば、他の懐いていた連中に対する態度も変…だよな…???
[今になって漸くウェンデルの変貌に思い至ったようだ]
婆もそう思うか。…うん、その通り…だな。
何時になるかまでは聞いてないが…待つしかないか。
確かに、騒々しいというか姦しいというか。
…まぁ、薬師殿も来てるし、マテウスが15年ぶりに帰ってきたのだけでも大きいしな。
[ヨハナに言いながら、普段と変わりないように見えるヨハナに、安心したようにうっすら微笑んだ。]
元気でよかったなという村からの快い挨拶だろう。
対薬師殿限定のな。
[あまり行き倒れに会う事も少ない村。好意的に見れば、愛され珍重されているという事だろう。
ゼルギウス側から見れば、ぐったりするような挨拶だろうが。
様に悪い悪いと軽く笑みながら返して。]
まぁ…ヨハナ婆が言うように、待つしかないか。ギュン爺を。
そういう所は、十分可愛いんじゃないかなぁ。
[再び紅茶を啜りながら、ナターリエにも茶々を入れる。
今だけでもこの空気を楽しみたい。そんなことを考えながら]
寝てるところを叩き起こす、とか。
俺も戻ってきたところで捕まったけれど、一度思い込んだら容赦ないな、自衛団の連中。
[イヴァンの言葉にふっと息を吐いた]
そういや、ベアトリーチェ。
君も休んでいたところを無理やりとか…?
[これまで殆ど話したことも無い相手だったが。
療養中ということくらいは噂に聞いていたらしい]
ふふ。
こんなお婆ちゃんでも、一応、女性ですから。
それ以上の詮索は、駄目ですよ?
[人差し指を一本立てて、口に当てる。
そして、その後のマテウスの言葉には、驚いたように口を開けて]
おやまあ。
そう思ってくださっているのですかねえ?
それなら嬉しいことですけど、私にとっては、いえ、親にとっては、ただ子を想うだけで満足なのですよ。
だから、それ以上を望むのは、私にとっては大きすぎて……。
[それでも、嬉しそうに老婆は笑みを浮かべる]
そうか?正直な感想を述べたんだけどな。
[ナターリエが赤くなり背中を叩くと結構いい音がして]
痛っ、
[背中をさすりながら]
そうか爺様にさらわれたんじゃしかたがねぇな。
ほら、昔みたいにおにいちゃんって飛び込んできていいんだぞ。
[ウェンデルにしたように両手を広げる]
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