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[そうして二人の手に其々のクレープ。
手を繋ぎながら頬張って]
……美味しい?
[夢中な様が嬉しくて首を傾ぎ]
こっちも一寸、食べてみる?
[自分の分を差し出してみたりもして。]
[そんな遣り取りの最中、子供が唐突に声をあげた。
『お母さん!』
指差した先には此方へ走り寄ってくる母親の姿。]
お母さん?
[女は少しだけ驚いてしまった。
何故ならその姿は一見、人間とほとんど変わりはしないが。
独特の所作が、人間では無かった、から。]
[手を離し、母親へと走り寄る子供。
母親が緩やかに辞儀を取り、礼を告げた。]
いえ。……大丈夫です。
良かったね、お母さん見つかって?
[母親へは辞儀と礼を返し、
子供には笑みで、告げる。]
それじゃあ、またね。
[女は二人へ手を振って背を向けると
かつ、こつ、とゆっくり歩き出した。]
[とても精巧なロボット、だった――。
一見すれば人間とほとんど変わらない。
けれど違和感を覚えてしまう些細な動き。]
お母さん、か
[どれほど文明が発達しようとも
矢張り人間の動きを完璧に真似る機械の創造は
難しい事なのだろうか。]
……
[かつこつ道を往く、独り。
子は、永遠に歳を取らない母に何を思うのだろう。
ひょっとすると本当の母が何かしらの理由を以って
代理としての母を立てる必要があったのかもしれないが。
全ての妄想を飲み込んで、現実を背に
今は只、隣人を探し商店街を彷徨い続ける*]
―区画内・楽器屋前―
[ピン、という音で演奏に聴き入っていた意識が引き戻される。
店の脇に寄るとイヤホンを引き出し耳に掛けた]
もしも…お前か。
ああ、そのデータなら持ってる。帰ってからでいいか?
…何でそんなに急いで……そっちもまだ出してなかったのかよ。
しゃーねーな。端末の利用料も含めて特急料金寄越せ。
[交渉の末、溜息混じりに通話を切った。
空いている街頭端末を探して歩き始める]
―区画内・商店街―
おんや、あれは。
[その途中、クレープを片手にゆっくりと歩く女性を見かけた]
先輩と一緒、でもないんだなー。
何か考え事中っぽい?
[一瞬、デートで来なかったのかと思い。
それも彼の先輩には何か似合わないかと失礼なことを思った。
独特の雰囲気は声を掛けやすいものともいえず、何となく目だけで追いかけていた]
─アコルデ家・マイルズの部屋─
[メイドと手分けして主が戻る前に掃除を終わらせた。
主の部屋に置いたままであったカップと皿も回収し、片付けはメイドに任せる]
それではエリカが戻って来たら、夕食の準備をお願いします。
[仕事の指示を出すと、自身は自室へと一度戻った]
─ →アコルデ家・自室─
[自室に戻り、足はベッド脇の机へと向かう。
そこには帰って来た時のままに置かれた買い物袋。
時間が空いたから、と片付け始めた]
……………。
[公園で少し読んだ本。
自室でしか吸わない煙草。
取り出されるものはどことなくレトロなものが多く。
本棚や机の上、棚に買って来た物を並べ収納して行く]
[全てを片付け終えると、封を切っている煙草から一本取り出し口に銜え。
古めかしいジッポライターで火を付けた]
(……電子煙草もあるが、やはりこれじゃないと吸った気にならないな)
[息を吐くと煙も共に吐き出される。
苦手なものならば眉を顰めるそれも、自身には心地良い。
休息ついでに、と主が戻るまではしばらく自室で寛いだ]
―区画内・商店街―
[余所見をしながらも空いている街頭端末を捜したのだが。
運悪くどれも使用中で、下手をすれば並んですらいたり]
裏回ってみっか。
[明らかに治安の落ちる一角へと足を向ける。
パトラッシュにバレたら小言くらいは貰うかもしれない]
―区画内・裏通り―
ちっと我慢してこっちの端末もグレードアップしないとかね。
でもなー。甘いのなかったら気合続かねーし。
[ぶつくさとぼやきながら進む。案外慣れたような足取りだ。
迷わずに進んだ先の街頭端末は誰も使用していない]
やっぱこっちの方が空いてるよな。
[薄く笑うとカードを通し、片手で端末を操作し始めた]
─区画内・公園─
[同意を返すパトラッシュの言葉に、妙に嬉しげににこにこと。
演奏会での姿しか知らない者が見たなら、年よりも幼く見える様子に何を思うやら。
などという事は、当人、まず考えはしないのだが]
……ああ、そうですね。
お引き止めしてしまって、すみません。
[時計を見やるパトラッシュにつられるように自分も時計を見て。
それから、公園を出て交番へと向かう姿を見送った]
……さて。
どうしましょうかね。
真っ直ぐ帰ってもいいんですが。
[もう少しのんびりしたいような、そんな気分もあり。
足を向けるのは、公園の噴水。
その縁に寄りかかるように腰を下ろして、しばしぼんやりと空を見上げる。
空に惹かれるのは、これもまた生来の気質。
鳥の特性を備えていた、という母譲りものらしいが、当の母の記憶は酷く曖昧なものしか残ってはいなかった。
そうやって、ぼんやりしながら、片手は噴水の水を巧みに弾く。
噴き上がる水の流水音に重ねるように、水音が旋律を織り成した]
9人目、司書 ナターシャ がやってきました。
司書 ナターシャは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
─図書館・受付─
こちらのデータで宜しかったですか?
…─了解致しました、では閲覧が終わりましたら返却をお願いしますね。
こちらのセキュリティランクは持ち出しを許可されていませんので。
えぇ、申し訳ありません。
[机を挟んで向かい合う相手に微笑みながらも、手元では端末を操作し今のデータを入力する。
その操作は手馴れたもので、ほんの数秒で終わらせると次の利用者に笑顔を向けて。]
…お待たせ致しました、次の方どうぞ。
何をご利用ですか?
[待たせていた学生から資料名を告げられれば、膨大なデータの中からそれを探し出す。]
はい、こちらですね?
…─あら?
変ね、セキュリティランクはクリアしてるのに閲覧不可…?
[首をかしげ、端末を操作して出てきた情報に瞬き。
柔らかな苦笑とともに学生へと向き直り]
教授がロックをかけてらっしゃるので、こちらは閲覧不可になっています。
…いくら課題が面倒だからって、答えをそのまま書き写そうとするのはダメよ?
[慌てて取り繕おうとする学生に、くすくすと笑みを零しながらもデータをいくつか取り出して]
はい、このデータだったらきっと参考になると思うわ。
面倒かもしれないけど、自分で調べるのも大事なことよ、頑張ってね。
[学生がそれを受け取るのをみると、優しい微笑みとともにうなづいて。]
―裏通り―
うし、完了。
街頭端末は頭固いのが難点だーね。
[吐き出されてきたカードを懐に仕舞う]
時間は…あー、間に合わなね。
ならあっち通るよか公園の方抜けてくか。
[シャトルの時間と現在地を考えて小さく舌打ち。
少し遠回りになるそのルートは。
…交番の近くを通らずにすむルートであったりもする]
―商店街―
[ごみが端に残ったままの汚れた道を苦もなく歩く。出会う人すべからくに挨拶すると、睨む人、返事を返してくれる人、様々だった。]
普通はあまり通らないですよねー。
私、物を買えるところが限られてるから色々探して歩いたんです。
[ノブを連れて、たどり着いたのは崩れかけたビルの二階。看板はないが、あけっぱなしの扉から見える店内は、ごちゃごちゃしていたり、ケースに飾られたものがあったりと、よくわからない様相を醸し出していた。]
ここですよ。
あ、こんにちは、お久しぶりです。ご主人様はいらっしゃいますか?
[入り口で荷ほどきをしていたロボットに声をかけると、返事のかわりに目にあたるだろう部分が点滅し、奥の方を指差した。]
よかった、今日はお店、開いてるみたいです。
[そうノブに伝えた。]
────市民情報────
■名前:ナターシャ=ロング Natasha=Long
■種族:人間
■年齢:24歳
■職業:図書館司書
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□その他情報:純粋な人間で、区画内に住む一般市民。
家族構成は両親と自分の三人だが、両親は現在別区画に住んでいるため一人暮らし。
□希望縁故:繋いでいただけるなら何でも。無茶振り大歓迎。
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