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―墓地―
[幼馴染の変化に青年は気づかぬ風だった。
関係が変わらぬのであればそれで良いと思っている節がある]
思いっきり他人事でしかないからな。
鍛えられたら病気もし難くなるし良いじゃねぇか。
体力つけてこっちに来ればめいっぱい使わせてもらうよ。
ワインを運び出す人手が欲しかった所だ。
[にんまりと意地の悪そうな笑みを態と浮かべてみせる]
まぁ、アーベルが肉体労働なんて似合わねぇか。
[手先の器用さを知っているからそんな言葉をのせて]
さて、そろそろ戻るとするか。
暫くはこっちに居るんだろ?
うん、これで仕事ができ……あ。
そういえば私仕事途中だった…!
ご、ごめん私帰らなきゃ…!!
[ゼルギウスから目的のものは、と問われると嬉しそうに頷いたがすぐにさーっと青褪めて。
慌てて帰ろうとしたが、すぐにゲルダの方を向き。]
ごめんねゲルダ、今度はゆっくり出来る時に来るからまた色んなもの見せてね!
イレ姉とゼル兄もばたばたしててごめん、二人とも身体に障らないように気をつけてね、それじゃまたねー!
[そう早口に言うと慌てて店を後にした。]
─雑貨屋→村の通り─
─墓地─
そこできぱっと言うし……。
ていうか、ちょっと待て、使うの前提かよっ!
[ワインを運び出す人手、と言われて、やや、焦り気味の声を上げるものの]
……これだ。
わかって言うんだからお前は……。
[続いた、似合わない、という否定に、はーっ、とため息をついてみせた]
ん、ああ。
伯父貴が出かけるって言うから、戻ってくるまではいる事にした。
その先の事は決めてないけど、季節変わる前には、また、降りるよ。
─村の通り・樹の下─
しっかりしてるわねぇ、本当に。
そんな先のことまで考えてるなんて。
[片手を頬に当て、息を洩らした]
そう、雑貨屋の。
よかったらお一ついかが、なんてね。
[冗談めかして言いながら、中の一つ――カエルのパペットを取り出す。
子供用らしく小さめのそれを少し窮屈そうに嵌めて、ぱくぱくと動かした]
―雑貨屋―
大丈夫、気をつけてるから。
[そう言うものの、先ほどの様を思えば口調は少し弱くなる。
思うように動かなくなってゆくこの身を、だがほんの少しでも窮屈と思うのは贅沢だ。
支えてくれた赤に青は嬉しそうに細められ、それからクロエへと向いた。]
ん、細工の納品に。
クロエちゃんは何を買いにき――
[と尋ねようとしたら、通りすがった時と同じような風に店を出て行くのを何度か瞬いて。]
ありがとう、クロエちゃんも転ばないように気をつけて。
[そう先ほどと同じような声をかけ、ささやかに手を振りながら見送った。]
─村の通り・樹の下─
[息を漏らすカルメンを見て、何かおかしいだろうかと言うような雰囲気で軽く首を傾げた]
これはこうして使うものなのか。
[実演する様子に翡翠の瞳はじっとカエルを見詰めて。
動かされるそれに少し顔が綻びかける。
しかし頬が緩みそうなことに気付くと、直ぐに顔を引き締めた]
―墓地―
お前さんの前で取り繕う事もないだろ。
品行方正な修道士らしい喋りが良かったか?
[緩く首を傾げ問うてみるけれど
そうだと言われてもそうする心算は無い]
当然。使うの前提だな。
[しれっと言って。
アーベルが溜め息を吐く頃には愉しげな笑声が漏れていた]
そうか。
アーベルが居るなら伯父さんも安心だろ。
嗚呼、それなら宿にも差し入れ持っていくかな。
――…山を下りる前に挨拶くらいしていけよ。
―宿屋→村の通り―
[頼まれ物と預かり物だけでもまた結構な荷物になった。
ベッティがまだ食堂にいたら行ってきますなんて挨拶をして。
よいせと背負い取引先を順番に回ろうと村の道を歩く]
―雑貨屋―
[今日は納品にと、夫の荷物を見てゲルダに告げて。]
それから、このくらいの大きさの布があれば一枚欲しいな。
[そう手でハンカチの倍はある大きさの四角を作ってみせた。
燭台を包むには、このくらいあればきっと十分。
興味深そうに膨らんだ部分を見つめる彼女に、笑みながら。]
うん、もう安定期に入ってるの。
大変は大変だけど、赤ちゃんの為だもの、もう少し頑張らないとね。
……ゲルダちゃん、触ってみる?
[そう尋ねてみた。]
―回想・宿屋―
[アーベルの様子には、多分またしばらくしたら何も言わずに出て行くのだろうと、なんとなくそんな気がしていて、
奥へと案内する途中に振り返り]
無事を伝える以外にも、いろいろあるだろ。
[自分が寂しかったとか、そういうことは口にすることはなく、
変わりにもう一発お腹の辺りに、今度はゆるく拳を押し付けるように。
すぐにまた向き直り、奥に向かって]
親父っ!アーベルが帰ってきた!
お仕置きは私の方でしといたからっ!
[暗に手荒なことはするなとそう含みながら、そのまま自分は夜に向けて準備に戻った。
その様子は鼻歌交じりに、若干機嫌がよさそうだったとか]
―回想・宿屋―
[そのままアーベルが店の手伝いをするのは当然とか思っていたのと、すぐに手を離せなかったのもあって、
来客の対応はアーベルに任せることにした。
聞きなれた声のそれは、行商人親子の息子の方だなと思いながら]
今日はあっちも一人か、どこも親離れの訓練中か。
誰かさんはちょっと先走ってたけどな。
[誰が聞くわけでもないけど、ついそんなことを口にしてから、
手隙になると笑顔で奥から食堂側のほうへ、アーベルとユリアンの会話は奥にいた自分は聞こえていなかった]
いらっしゃい、ユリアン。
それじゃあ、部屋はこっちだね。ついてきてよ。
―回想・宿屋―
[ユリアンを部屋へと案内しようとして、アーベルにかけられた声には]
夕飯時までには帰ってこいよ。
[そう声を返してから、ユリアンを部屋へと案内した]
まぁ、今年もゆっくりしていってよ。
[最後にそんな言葉を残して、自分はこれからの準備へともどった]
─村の通り─
うー、つい長居しちゃった…!
今日中に終わるかなぁ、アレ…
[ゲルダに用意してもらった紙袋をしっかり抱えながら、来る時よりも更に足を早めて。
途中カルメンとミハエルが木陰で休んでいるのを見れば、珍しい組み合わせだなぁ、と思ったものの声をかけられない限りはそのまま通り過ぎるか。]
─墓地─
そりゃーそーだけどな。
や、そこで真面目な修道士されても不気味だから、今のまんまでいい。
[首を傾げながらの問いには、真顔で返して。
笑う様子に、自分も表情を緩めた]
お、差し入れは大歓迎、期待してるぜ。
[差し入れの話には楽しげにこう、応ずるものの]
……ん、ああ。
なるべく、そーする。
[最初の旅立ちの時も三年前も、何も言わずに飛び出して。
多分、今度も同じ事になるだろうから。
最後の言葉に返す時には、やや、歯切れ悪い口調になっていた]
……んじゃ、俺、そろそろ行くわ。
煙草補充したいし、夕飯までに戻れー、言われてるからさ。
[それでも、冗談めかした口調で言う時には。
表情はいつもと変わらぬ軽いものになっていた**]
─村の通り・樹の下─
あら、知らなかった?
[カエルは口と両手を広げて大仰な仕草を見せる。
その動きを見詰める翡翠と、緩みかける頬を見逃さず、女はくすりと笑みを零し]
これ、あなたにあげるわ。
頑張ってる次代当主さんに、ささやかなご褒美。
[悪戯めいた笑みを浮かべながら、ミハエルの手を取ろうとする。
直接的に拒まれることがなければ、パペットを嵌めてしまう心算]
/*
むう。
とりあえず、昼間にまた広告あげるよーかな。
しかし、なんだ、うん。
何故に、二村続けて従兄妹縁故やっとんな、自分。
[主に、一番転がり込みやすそーだったからです]
それに、しても。
やっぱ、このキャラ使いやすいわ……!
―墓地―
不気味とまで言うか。
失礼な奴だな、これでも立派に修道士してるんだぞ。
[真顔で返す幼馴染に胸を張って見せる。
口調はさして気にした風でもなく先ほどと変わりなかった]
ま、お前さんの期待を裏切らんように善処するさ。
[なるべく、という返事を聞けば余り期待は出来ぬかと
苦い笑みが浮かぶが其れが分かっただけでも良しとして]
じゃ、またな。
あんまり吸い過ぎんなよ。
[軽く手を掲げて幼馴染と別れると
青年は修道院の方へと歩いてゆく]
…どうやら引き止めてしまっていたね
仕事中だったのは気付かなくて済まないよ
[今度はゆっくり、との声に頷くといってらっしゃい、と
幼馴染に声をかける。慌てたクロエを想い、
また今度と告げ走り去るのを見送った。
転ばぬようにと願った後、細工師夫妻へ視線をやり、]
ン…今が正念場というところのようだね
そうなら、言ってくれれば此方から伺ったのに――
[如何にも気が利かなかったと侘びて、大きめの布を所望するイレーネに直ぐ品を用意しようと色はどうするかを訊ねながら。]
…不思議、だよ
こうして人が生まれようとしているなんて
[両親を知らずに育った娘は不思議そうに、
大きくなったおなかを見つめていて。]
─村の通り・樹の下─
家にあったのは僕がカルメンに依頼したような人形ばかりだった。
このようなものは見たことが無い。
[翡翠は未だカエルを捉えていて。
答えた後に笑む気配を感じ取ると、ハッとしてカエルから視線を外した。
少々不機嫌そうな表情になったのは、照れ隠しのようなもの]
───え。
だがこれは納品するためのものでは……。
[そう訊ねる間にもカエルは己が手へと嵌められる]
…………。
[嵌められたそれを見詰めて、ぎこちなくカエルの口を動かしてみた。
カエルはぽけーっと大口を開けている]
構わないのなら――少しだけ触れてみたい
差支えは…ないのだよね?
[未知の感覚に細うい指先を出し手は引っ込めて、
何処か緊張した面もちに自然となり。
時折、彼女の夫へも眼差しを向け無言の意を訊ねた。]
あら、ごきげんよう。
[ふとクロエが通り掛かるのが見えれば挨拶の言葉を。
急ぎ足なのは見て取れた為、それ以上引き止めようとはしない]
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