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あれ?私に振ってるのかな、あの人…わ、っとと…っ
ふぅ…危なかった。
[視界の中にこちらに手を振る姿が見えたので足を止めたものの、勢いづき過ぎて前のめりになり。
なんとか転ばずに済んでほっと息をついたもののもしかしたら今の見られたかな、と恐る恐る自分に手を振った人に視線を向け。
ようやく、誰が自分に手を振っていたか認識した。]
あ…毎年来てる人だ。今年ももうそんな時期なんだ…
えーと…こんにちは、ユリアンさん!
カルメンさんもこんにちは。
ミハエル君も一緒ってことは、お仕事の話中?
邪魔しちゃってたらごめんね。
[カルメンにも挨拶されればそちらにも笑顔を向けて手を振って。
続けた言葉は申し訳ない色を表情に浮かべた。]
中
…布の大きさしくじったかも。
最近持ってるハンカチが小さいのばっかりだったから…
(人はそれ、ハンドタオルという)
他にもあるからいいのよ、一つくらい。
……よかった、ぴったりだわ。
[無事にミハエルの手に嵌まったパペットに、女は満足そうに手を合わせる]
可愛いでしょう。
[大口を開けるカエルと目を合わせてから、微笑んでミハエルに視線を移した]
―修道院―
[花の咲き誇るささやかな中庭の奥には
リキュールを造る為のハーブが幾種も植えられている。
水を遣り雑草を引き抜き労働に従事する事も
青年にとっては日常であるから苦とも思わない。
何処か愉しそうな淡い笑みが浮かぶのは
久方ぶりに幼馴染と話が出来たからだろう]
さて……
怪我人が居る事だしマリーゴールドでも摘んで行くか。
[無論其れをあの少年に贈るわけではない。
湯に浮かべ殺菌と傷の治癒を促す為のもの。
浴室に行き湯の準備をする者に花を手渡し指示をした]
─村の通り─
あ、気づいたって、おーい。大丈夫か。
[手を振ってる先でバランス崩されれば見えないわけがない。
間が悪かったかと苦笑しながら声をかける]
はい、こんにちは。今年もまたよろしく。
雑貨屋にもあれこれ置いてくし、急ぎで必要なのがあれば言ってくれな。
[転びかけたことはそれ以上追求せずに笑って言った。
カルメンの声も聞こえて振り返る]
気にしなくて大丈夫よ。
お仕事の話ではないから。
[クロエの表情に、笑んだまま首を傾けてみせる。
横目でミハエルの手のパペットを示したのは分かっただろうか]
ユリアンさん、帰ってらしたのね。
[それからクロエの声を掛けた先を目で追って、その存在にも気付く]
クロエさんは、元気だね。
[そちらこそ気をつけてと云う間に
去って行ったクロエに対して、のほほんと感想を零す。]
うん。イレーネの謂う通り納品に来たんだ。
品は此処に置いておけばいいかな。
[改めてゲルダに向かいなおると、
布を所望する妻の背後でがさごそと品をカウンターの上へと。
ゲルダとイレーネの間で交わされる会話には、
にこにこと微笑んで]
優しく触れば大丈夫だよ。
優しく、優しくね?
[ゲルダから問いかけの視線を受ければ、
心配と信頼と――何より深い愛情を湛えた表情で頷いた。]
─村の通り・樹の下─
[一つくらい構わない、と言うカルメンに、そうなのか、と一度視線を向けて。
再びパペットに視線を戻すと]
……可愛い、ね。
[少しだけ顔を綻ばせて、カルメンの言葉に同意するように言葉を紡ぐ。
つい気が抜けて、いつもの口調になってしまっていた]
………!!
[一拍遅れて口調が戻っていたことに気付き、しまった、と言う表情。
次いでクロエやユリアンの姿に気付くと慌てて座っていた岩から立ち上がった]
ぼ、僕はそろそろ失礼する!
まだ回らなければいけないところがあるからな!
[そう言っていつもよりやや早めの速度でその場を離れて行った。
カルメンを座らせたハンカチは忘れた*まま*]
だ、大丈夫!
えっと、あの、いつものことだから!
[ユリアンから苦笑混じりに大丈夫か問われると、やっぱり見られてた…!と真っ赤になって慌てたものの。
今年もよろしくといわれると、まだ赤い顔ながらも笑顔で頷いて首を傾げた。]
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
えへへ、ユリアンさんの顔見ると本格的に夏が来たんだなぁって思うな。
って…あれ、小父さんは一緒じゃないの?
宿に残ってるとか?
[いつも一緒に来ているはずのユリアンの父の姿が見えないためそんなことを聞いて。]
―村の通り―
はい。カルメンさんとミハエルさんもお久しぶりです。
今年はちょっとだけ遅れました。
[大口を開けたカエル人形が目に入る。
手に嵌めて見ているミハエルも年らしく子供らしく見えて。
ついついクスリと笑ってしまう]
―雑貨屋―
ううん、少しは動かないと身体に悪いし。
[日に弱い夫に、身重の妻。
うっかりすると出不精になりかねないので、外に出る用事は有難くもある。
侘びにはふるりと首を振る。布は真白の物をと頼んだ。]
そうだね…。
私達みんな、こうやって生まれてきたのよね。
[不思議そうにするゲルダに、同意するように口にする。
自身も早世した母の事は殆ど知らない。
その自分が母親になろうとしている事に、多少なりと感慨があった。
迷うようなゲルダに、柔らかな笑みを向けた。]
妊婦のお腹に触ると、幸せになれるっていうし。
どうぞ、遠慮なく。
[それは母親が向ける眼差しに少し近いものだった。]
あ、本当?良かった…
…わぁ!?
え、えっと、ミハエル君またねー?
[カルメンから仕事の話じゃないと聞くとほっと息をついて。
彼女の視線を追うと、ミハエルの手にあったのは小さな可愛いパペットで。
こちらに気付かないほどそれに夢中になっているらしいミハエルの様子も相俟って微笑ましげにほころばせた。
が、急にミハエルが立ち上がると驚いてつい声をあげ。
慌てた様子で立ち去るミハエルにきょとんとしながらも手を振って見送った。]
嗚呼、ゼルギウスさん有難う
御代はこの前の通りこの金額で支払わせて貰うけど…
[品を置く様子にそちらへ赴き出来上がった品に嘆息を漏らす。職人が磨きをかけた作品は少しも劣らず瑠璃色を湛えている。むしろ、立派過ぎる出来に好いのだろうかとも考えてしまう。]
金額が釣り合わない気もするけれど
ン――― 本当に好いのかい?
[首を傾ぎどうするかを訪ねるうちに囁かれた誘いへと興味は其処に移り母なる揺り籠に守られた小さな命に、そっと、やさしくふれてみようとして―――]
わ…すこし、動いたみたい
僕の事――分かるのかな?
[彼女の夫が妻へ注ぐ愛を間近で感じ取るとくすぐったい様な思いがこみ上げてくる。自分の両親もかつてはそうだったのだろうか、と遠い過去を想う。]
―村の通り―
おや。ではまた。
[一度は手で笑いを隠したものの、ミハエルが去るとまたクスクス]
夏の便りを運んでくる男です、なんてね。
ん。親父はちょっと休養中で今年は俺一人。
だけど持ってくる物は殆ど減らしてないから安心して。
[背負っている荷をクロエに示す]
[ふとミハエルから零れた言葉は、年相応の子供のようで。
瞬きする間にその表情は変わり、口調も元に戻ってしまったが]
気をつけてね?
[慌てて去る背中に、声は届いたか]
……いいものが見れた、かしら。
[ふ、と口許を綻ばせ、他の二人を見た]
あら、そういえば。
[クロエがユリアンに父親の所在を尋ねるのが聞こえて、同じように疑問の視線を送る]
休養?
何処か具合でも悪くされたのかしら。
[尋ねながら立ち上がり、ミハエルの忘れて行ったハンカチの端を摘む]
荷物も運んできてくれるんだから頼もしいかぎりだね。
[冗談めかして言うユリアンに笑顔でそう応えるものの、続いた言葉に表情を曇らせた。]
休養って…小父さん体調でも崩しちゃった?
[大丈夫?と首を傾げてユリアンを見上げ。]
―修道院―
飯の仕度でも手伝うか。
[ポツと零して回廊を歩くと青年より目上の男が現れる。
緩く会釈して通り過ぎようとするのだが
青年は彼に呼び止められてしまった]
何か御用ですか?
――…嗚呼、成る程。
ならば後ほど薬草酒を持って行きましょう。
食事も別の献立を考えた方が良さそうですね。
[不調を訴える男に人の良さそうな笑みを向けるのは
安堵させるためでもある]
暫くは部屋でお休み下さい。
無理は禁物ですよ。
[優しく言い聞かせる様は子供に向ける音と似ていた**]
幸せ…うん、イレーネさんが言うと分かる気がする
こうして触れてると、なんだか胸のあたりがぽかぽかしてきたよ
[暫く、小さな命の鼓動を手で感じ取り、おそるおそる手を離しイレーネを見つめた。有難うとつぶやき、望まれて生れ出る赤子を想う。]
ン…そうやって、望まれて生まれてきたんだね、って思える
そんな二人の赤ちゃんは、とても幸せ
[向ける愛情をそれぞれ感じながら白い布地を渡すと]
御代はいいよ、色々としてもらってしまったから
せめてもの感謝の気持ちとして受け取って欲しい
[興奮さめぬ儘、細工師夫妻へと視線をむけた。]
[ミハエルを見送り、いいものが見れたかと口元を綻ばせるカルメンにはそうだね、と笑って。]
ミハエル君、いっつも大人みたいだもんね。
[そう言って首を傾げ、自分のユリアンへの問いかけに同じく彼の父を心配する言葉には頷いた。
ふと彼女が手にしたハンカチを見。]
あれ、それカルメンさんのハンカチ?
綺麗な刺繍だね。
―村の通り―
俺も和んだ。
目の前で笑っちゃったのは失敗だったけど。
[口許を緩めたカルメンの視線を受けて頷いてみせる]
ああ、ちょっと怪我をね。
足だから山登ってくるのはキツいってことで。
そんなに酷いものじゃないから。大丈夫。
[カルメンに尋ねられクロエの表情が曇るのを見て、慌てて言い足す。本当は軽症ではないが、命に別状とかもないから嘘でもない]
カルメンさんに頼まれてたのも持ってきたから。
どうしようか。家まで運んだ方がいいのかな。
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