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[当時に詳しいヒトならば、捕らえられ麗しい歌を喪ったセイレーンの噂は聞いたことがあったかもしれない。
ロランの様子に彼が何ら違和感をおぼえていないのを見て取ると、小さく安堵の吐息をこぼした]
おに。
東方、か。
[曖昧な態度のロランから、視線をアナスタシアへ向ける。
彼女は魚に気付いた頃だろうか]
――…北の方の海に。
わたしは光のない深い場所で、暮らしている。
[わたしは。前置きをして微笑んだ。
他にヒトが来るのを認めれば、それはすぐに消え、そっと頭を垂れるのだった**]
― アナスタシアの屋敷・自室 ―
なるほど、と、結構集まってんね。
シアねーちゃんは…中庭かあ、そんじゃ、とりあえず…
[ぱちん、と指を鳴らすと、応じるように観音開きの窓が、音を立てて開く]
いよっと!
[ベッドのスプリングで弾みをつけ、立ち上がると同時に、窓枠を踏んで外へ――――]
[ばさり、と、黒いロングコートが風を孕む。黒い翼のように広がったそれを、血の色の長い髪が広がって追った。風に煽られた髪の下から愉し気に笑う紅い瞳も覗いただろう]
ひゃっほーーーー!!
[飛び降りた場所から、地面までは、そんなに遠くはない筈なのに、まるで高層ビルから飛び降りたかのように、長い時間、コートは風に煽られていた。そうして、漸く地面に足が着いた時、そこはもう中庭の端]
毎度のこったけど、どんな繋ぎ方してんだよ?シアねーちゃん。
面白かったけどさあ。
[笑いながら、木の傍に立つ、屋敷の主に近づいてゆく]
や、どーも!
[先客が目に入ると、にっこり笑顔で片手を挙げ、軽く挨拶を送った**]
― 中庭・泉の上 ―
[フワフワ][空中散歩を楽しみながら話題の木へと移動する]
ハァン、威勢イイのがもう一人。
[赤黒の影が横を通り抜けて、髪とスカートが煽られた][ブワッ]
また賑やかになりそうね、アナスタシア。
ごきげんよう、お久しぶり?
[ホウ][聞きなれた昔の美声と違う声に小さな吐息が漏れる]
[鬼の子は初めて見る顔な気がした]
[恋多き友人の息子は相変わらずのよう]
[他にも集まっている者がいればそちらにもご挨拶][ペコリ]
久しぶりでないのもいるけれど。
[ヒョイ][泉の魚は顔を出していたかどうか]
[風を纏わせた足先で水面を蹴って漣を起こした][パシャリ]
―中庭―
[暖炉の炎を潜り抜けた先は、招待主の待つ中庭でした。
既に幾人か集まっている様子に男は片手を腹に当てて会釈しました。
もう片方には金色のティーポットがしっかと握られています。]
美味しいお菓子とお茶の時間を――…
いや実に楽しみですな
[主役である木を一瞥し、同意を求めて面々を見回します。
その中に見覚えのある姿を認め半分眠っている瞼が珍しく開きました。]
/*
うむ。
やはり、闇夜がよく映えるな、このセットは。
補色の関係なんだろうけど、白夜で見るよりも色が綺麗に見えるんだよなあ。
白夜だと、背景色と周りの色が近いからか、飲まれて見えるよーな感じ。
おやまあ…
なかなかに悪運が強かったようで
[独り言じみた言葉はさて何処まで届いたことでしょうか。
パシャリと波立つ音に男の視線は自然と逸れていったのでした。**]
/*
美味しそうな縁故がゴロゴロしてるのにこんなおっさんでは申し訳なくて一つだけ申請してみたり。
鳥より大きな空飛ぶ翼が欲しいと願われる
→それならと該当条件の翼(もがれたレイスの翼)がある先に転移
→→そこでレイスを発見、気まぐれで助けた みたいな?
翼を願った元持ち主がセイレーンの翼をつけられて、魔力も筋力もなく飛べないままどうなったかなんてこの男が気にしているわけない
/*
グリフォンの守る宝に紛れ込んでたとかもやりたかったが、守るを決めた存在って間違っても宝物的な意味じゃなかろうと自粛。おっさんなのでダメ、絶対。
ドミニカを世間知らずって苛めたりもしたかったんだがなあ。
…こっちは今から苛める立場になる事も可能ではあるか。
[ある程度ディスプレイをいじって、なんとか理解したあと。
小さく息をついて、ゆっくりと扉を見る]
――しらないひともいるけれど……おねえさまにあわなきゃ。
[招待客の名前は名簿でみたけれど、覚えのない名前もあるからとりあえず置いておいた。
ゆっくりと歩き出して、部屋のドアをあけて廊下に出る。
そのまま歩いていれば気づけば中庭に到着していた]
……
[一度後ろを振り返って、何かに納得したように一つ頷き。
にぎやかな声が聞こえてそちらを見れば、思いがけず沢山の姿]
……どうしよう……
[戸惑いの涙が滲むのは何時ものこと。
少し離れた位置で、どうやって声をかけるか迷っていた]
― 中庭・泉の上 ―
そうね、こないだぶり。
こんなすぐに会えるとは思ってなかったわ。
[バイクの起こす風に乗って遊んでからまだ一週間と経ってない]
[人間の町を離れてからと丁度同じ時間だった][コックリ]
お菓子なお誘いなんだから、いてもビックリしないけど。
─ 中庭・泉の辺 ─
ま、ふつーに思わんよな。
[一週間前、いつもの疾走の時の事を思い返す。
あの時は、今の愛車の試運転で、結構無茶に飛ばしたっけ、とか思い出す。
……なお、この手の暴走……もとい、疾走は『超音速のライダー』とか呼ばれ、ある種の都市伝説として定着しつつある。
それが天界や西海まで伝わっているかは、知らない。
勿論、伝わっていても気にしていないが]
そりゃあま、菓子の生る木、とか面白いもので誘われたら、なぁ?
[甘い物好きも当に知られた事だから、さらり、こう言って肩を竦めた]
― 中庭 ―
[中庭のはしっこからもお菓子の木は見える。
というかあれは離れてみていても十分不思議なものだった。
泉のほうではなにやらにぎやかで。
お茶を淹れている人もいるようだ。
なんだかそれを眺めているだけでも楽しかった]
―― うん
[もとよりコミュニケーションとやらは苦手なバンシーだから仕方がない。
自身の情けなさに涙するのもいつものことだから小さな啜り泣きがこぼれても本人は気にならない
近寄るにも勇気が必要なので、しばし端っこでぐずぐずするのだった]
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