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―中央・広場―
[小さな爪痕は、腫れては居ないが触れるとすこしかさついた。]
…。
[そうしながらミハエルは、通りから真っ直ぐ広場へ向かった。
気になる事があった。]
[広場には、泉が湧きだして居る。辺りに溢れる豊かな流水の力。その中に紛れて少しく輝くモノがあった。実際それは物質では無いがしかし]
まだ残っているとは思わなかったな…。
[小さく呟いて、落とし物を拾うようにしゃがんだ]
[響き渡ったのは時計塔の鐘の音。
時空の気配を帯びたそれは、町中に澄んだ音を響かせる]
ビックリ。
でも何だか素敵。
[にっこりと笑って時計塔を見上げた]
−北の遺跡−
[地下遺跡を目指す冒険者達の死角になる、積み重なった岩の上。
下からは見難い、余り目立たない場所に寝転ぶ。
町の人なら知っている、一人と一匹のお気に入りの場所]
気持ちいいね、千花。
[仰向けになった一人と一匹の姿は、天から見れば間抜けだろう。
でもアマンダは気にしない。気になるのは昨夜のこと]
[探していたのは天聖の力の名残。不自然に強い力を感じたから。教会の近くという事もあり紛れてしまうかと思っていたのだが、意外にもそれを見付ける事が出来た。
天聖の力を受けた老婆が、移動した後に残した足跡のようなもの]
[そういえば聞いた。この街には神の子とか呼ばれるものが居るとか。人のふりをした精霊か何かだろうか。それとも]
[鐘の音]
[この街で、もう15回程それを聞いた事か。
慣れてはいたが不意の事だったので気を取られ立ち上がる時に、時計塔を見上げる少女が居る事には気付かなかった。]
きゃ。ごめんなさい。
[不意に誰かとぶつかってしまい、慌てて謝った。
そこから氷破のとても強い力を感じ取って]
え、ええっ?何?
[慌てて確認するように彼を見た。
自分の力を抑えることも一瞬だけ忘れて]
─Kirschbaum・3階─
……ん?
[不意に感じたものにより、物思いから立ち返る]
今のは……天聖の気。
皇竜……な訳ないな。
[こちらでは滅多に感じる事のない波動に、騒動好きで知られる竜族の統率者の事がふと過ぎるが]
俺がここにいるのは、虚の御方も気づいているはず。
いくら暇人の皇竜でも、わざわざ干渉はせんだろ。
[酷い物言い]
しかし……だとしたら?
あ、失礼。
…お前か、小娘。お前はいつも人の邪魔になる所に立っているようだな。弁えたらどうだ。
それに………嗚呼 ”慣れていない”のか
[睨んでいるのと、眺めているのの中間くらい]
[天聖の力。
彼が属する時空とは、その在り方故に特定の対を持たぬもの同士であるという意味での、逆説的な対の存在]
とはいえ、天聖王が過剰に地上へ干渉するとは思えんのだが……。
[そんな事を呟きつつ、階下へ]
ごめんなさいって言ったのに。
……そう、慣れてない。はじめてだから。
[彼の視線に気が付いて、ああ自分のことも相手にはわかったはずだと気が付いた。
素直に答えながら彼を見て]
あなたは慣れているのね?
[人間の世界に、とは声にせず続けた]
─Kirschbaum・1階─
[1階に降り、店主に紅茶を注文する。
碧い瞳が僅かに細められたのには、物思いに捉われて気づかず。
しばしの静寂の後、目の前に出されたのは紅茶のカップと]
……あれ? 食事は頼んでませんけど?
[頼んだ覚えのないチキンサンドとサラダに、一つ瞬き]
「食べておかないと、色々と面倒になると思うが?」
[対して、店主はさらりと]
……面倒……。
[その意味は、すぐに理解した]
[昨日は時計の旋律で大分満たされた事もあり、つい、『人として』の栄養の摂取を忘れていたのだが。
それはそれで、異様なものと他者に映るのは必然なわけで]
……そうですね。では、いただきます。
[にこり、と微笑んで、食事を取る。
合間に、店主と一見他愛ない会話。
やがて器が空になれば、ご馳走様でした、と微笑んで立ち上がり]
それでは、ちょっとそこらをふらついて来ます。
[相棒を左肩に乗せて、ふらりと外へ]
─…→町へ─
…よく訪れる。
[時計を見上げながら言ったが、頻繁に時計を見に来るという訳ではない。寧ろ、時計にはあまり縁が無い]
はじめて、か。
大方興味本位で訪れたのだろうが謝罪を受け入れない人間などそこら中に居る。この街は特に平和だが。
だが、私が時々感じていたのはお前のものでは無いな。
[所々主語の抜けた会話だ。
強い影輝の力は一体誰のものなのだろう]
[アーベルに肩を叩かれ、促されるように店内へ入った後。
アイスティーを頼むミハエルに、アマンダは手を伸ばした。
けれど、必要ないという断りの言葉に、届くことなく下ろされた]
[一度狂った調子はすぐには戻らない。
アマンダが奢り損ねたのに気付いたのは、水の精霊と連れ立って金の姿が消えた後。
千花を顔を見合わせて、ハーヴや店内の人々に苦笑されたりした]
[工房に戻って考えた。そうして、作った氷の花。
冷めるまでは、しばらくおやすみ。
*鐘が鳴るのも気にしない*]
むー。
[小さくむくれていたが、「お前のものではない」に首を傾げ]
ここには沢山集まっていますよね。
[自分が感じた幾つかの人間以外の気配。
全てが分かったわけでは無いが、それらを思い出して答える]
でも居心地は悪くないの。
[Kirschburmのことも思い出しながら。やはり主語は省いて]
そろそろ行きます。
またどこかで?
[続いたのは会いましょうなのか、会うでしょうなのか。
小さく頭を下げると北の方へと移動して*いった*]
[ブリジットの後ろ姿へ小さく礼を返して]
そそっかしい…。
居心地は悪く無いだろうな。影輝が…。
しかしどれだけの者が居たものか。
[はじめて人の世界を訪れた精霊。街へ住み着いた精霊に。街へ住み着いているらしい魔族。神の御子。何処からともなく現れた精霊。流れ者の竜族。
いよいよ何が出てきても*おかしく無いと思った。*]
―中央部/公園/泉―
[沸き出す音。
そのそばに腰を下ろし、耳をすませる。
近くの時計の音。
賑わうヒトビト。]
影の王も大変だ。
[くす、と笑って]
南でも、みてこようかな
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