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うう゛……
[唸りながら、そろりと顔を上げる。
目が、ロランと地面の間を行き来した。
お前のせいだと幼い少年が怒ったのはもう遠い昔の話。
後に謝られてからずっと、また幼馴染として付き合ってもきたけれど]
真っ先に死ぬとか言うからだ。
なのに一緒にもいないなんて、怒ってるかと思うだろ。
…幼馴染なんだし。
[答えになってないこたえを返して唸る。
谷へと落ちた小さな少年。少年が抱えていたのは白い花。
その白い花を、少年の父から渡された。
泣きながら庭の土を掘って植えた上に、雨が降った。
涙と雨と湿った泥で、小さなボクもぐちゃぐちゃになった]
…うん。
[少し当時を思い出して泣きそうになったから、目を瞑る。
頬に手を当てても、もうへの字を直せているのかも分からない。
再びボクは目を開いた。幼馴染に、こくと頷く]
……うん。今も、あるよ。
[敢えてロランに見せようとしたことはないけれど。
兄貴の使う薬草を育てる庭の片隅に、白い花はいつも咲く。
ひっそりと揺れる花は、春先にとても良い香りを放つのだ]
逃げ足が遅いのは事実。
[悲観的でも楽観的でもない、と、淡々と告げる。
目を瞑る様子を、頷く様子を見上げた。
ゆっくりと首を傾けると、烏色の髪が視界を縦に割る]
でも、やっぱり。
キリルは知らないかもしれないけど、
俺も一応年頃の男だから。
君とカチューシャの世間体とか。あるし。
[きょうだいのように育ってきた、その通りだけれど。
家に行けばよい、というのには遠慮すると首を横に振った。
幼馴染で同い年の彼女がイヴァンの前でする女らしい仕草に、
少し置いていかれている感を感じているからなのかも、しれない]
…俺はキリルに怒ったりしていないよ。
[もう一度、口の中で転がす風に言葉を投げる。
僅かに柔い色を添え、何度か目を瞬いた]
…そう。
――咲いたら、
[見れるかな。
続く言葉は音にならず、緑色の風に浚われた]
本心からなのに。意地悪なんて心外ね。
町も楽しいから、一度くらい行っても損はないと思うのよ。
[言葉は拗ねたようにも聞こえるのに、笑っていては信憑性の欠片もない。
子供の頃なら撫でられた頭が、自分より高い位置にあるのは当然の話だと、此処に戻ってきた時からわかっている。
そうね、と。苦笑めいた笑みが浮かんだ]
もう、大人ね。みんな。
お酒も飲めるし。……あ、でも若い子にはだめよ、大人の特権。
[若い子にはジュースね、なんて、話を進める。
邪魔じゃないと言われれば、嬉しそうににこにこと笑って]
またあとでね。
[小さく手を振った。
それからすぐに墓に向き直ったから、振り返りこちらを見たことには気づいていなかった]
[夫、メーフィエはとても軟弱者だった。一見、イライダの尻に敷かれていた。
二人、どちらもなれそめを語ったことはないけれど、彼女は彼が良いのだと語ることはあった。
どうしてそんな男をと言われたことがある、とも。
言われても怒りはしないが、好きだから以上のことは答えようとしなかった。
此処に来てから、野菜を作ることを学び、最初は腰を痛めた。
猟の体験を願い、銃の重さに筋肉痛になった。ついでに撃てなかった。
ただ一年経っても、へこたれなかった。ちなみに酒にも滅法弱かった。
体調を崩すまでの間、馴染もうと努力はしていた。
イライダ自身はそういう時、誰に対して何を言うでもなかった。
娘で手一杯だったともいう。
どうしてわざわざ此処に来たのか。メーフィエに尋ねた人がいたら、彼は笑ってこう答えていた。
「イライダの育った所だから、過ごしやすいだろうと思って」
彼の口から、親の話や兄弟の話が語られることはなかった]
―ーさて、旅人さんにお悔やみは伝えたし。
暗くなっては困るから、そろそろ戻る?
[旅人の墓に手を合わせた後、夫と娘の墓を少し掃除して、手を合わせて。
合間合間に会話をはさむ。
そしてレイスの様子を見て、大丈夫そうなら、そう声をかけた]
騎士の役目をまっとうしてくれたから、何か御馳走しましょう。
何か、飲みたいものとか、食べたいものはある?
甘くないクッキーは作ったばかりだけれど。
[甘い物を好んだ幼少期とは違い、この村に戻ってきてからはあまり甘くないものしか作っていない。
無理強いするようではなくお礼として、軽い誘い文句だった**]
そんなものかな…。
[世間体と言い切られてしまうと、自信がなくなる。
言い含めるかの幼馴染の声は大人っぽくて、
ボクの語尾は尻切れトンボのように小さくなった]
それじゃ、何かあったら呼んで。
何もないとは思うけれどさ。
[淡々とした声に、頬に当ててた手をそろりと外す。
未だ少し唇の両端は下がっていたけど、
それよりさすがに、手の置き所が気になってきた]
…うん。気になってたから、
[ふと、視界の端をまた黄色の花弁が通り過ぎる。
次はほんの少し、そちらを見た。春の匂いがする]
咲いたら…ロランのところに持っていく。
いい香りがするんだ。可愛いよ。
きっと気に入る。
[小さな鈴を連ねたかのような白い花。
幼馴染の和らいだ表情に、ホッとボクの頬も緩む。
やっぱり、変な顔なのかもしれなかった]
それじゃ、ボク行くね。
カチューシャのところに行って、料理教えて貰わなきゃ。
上手く行ったら…楽しみにしてて。
あ…っと、兄貴も薬のことは分かってると思うけど。
何か特に伝えておきたいこととかある?
[兄貴が何時もあわせる薬。
その他を問い、何もないなら行こうとボクは首を傾げる]
[キリルがロランに頼んだ花のことは知らないけれど、ロランが事故にあったことは覚えている。
怪我をして戻ってきた少年を見て泣いて泣いて大変だったと、後から親に聞かされた。
幼馴染の二人がどこかぎこちなかった時期もあったけれど、二人の間をとりもつつもりはなく当たり前に二人共を遊びに誘ったり。
いつのまにかお爺ちゃんと二人暮しになっていたロランのところに、母親が料理を届けに行くのを見て料理の手伝いをはじめたりして過ごした日々。
5年前の流行病で両親が突然亡くなった時には悲しみに沈んで泣き暮らしたけれど、兄もいたし幼馴染たちだって支えてくれたから元気を取り戻して。
そして母親がやっていたことを引き継ぐようにして、今がある。
そんなことを思い出したのは、幼馴染二人が話し込んでいる姿を見かけたから。
ちょっと深刻そうにも見えたから声はかけずにいた]
……ん。
[何かあったら、キリルよりも。
ミハイルやユーリーの方が呼ぶべきなのじゃないか、
と過るも言葉にする事は無く、ただ、小さく頷いた。
そろりと下ろされる手を視線で追って、目を眇める。
記憶の中、もう白い花のかたちは良く覚えていない]
カチューシャのサンドイッチを食べながら愛でる。
[花壇の花を、と言っていたのを思い出して。
頬緩む様を胡乱げな眸で見詰めた]
[料理については、カチューシャの腕を信じてはいたが
目の前の彼女がどうかは判らないから、返答せずに。
続く言葉にだけ、傾けた首をそっと戻した]
熱冷ましが、もう無いんだ。
また、もらいに行く。
[少し、苦いけれど、良く効く薬。
それだけ告げると、去っていく彼女の背を見送る態]
[幼馴染の内心は知らず、ボクは頷く。
ひとまず、否定以外の言葉が返ってきたことにホッとした。
続く言葉に一度瞬く]
カチューシャのサンドイッチで、花見する?
[カチューシャに言った言葉を、きっと彼も聞いたのだろう。
こんな風にして彼女はずっと、それとなく間を繋いでくれる。
14年前のあの時だって、カチューシャの存在がどれだけ大きかったか]
それもいいな。
[笑う。料理にコメントがないのは、気付きそびれた]
熱冷ましね、分かった。
兄貴にロランの分、用意するように言っておく。
[兄貴の薬はとても良く効く。
うんと請合って踵を返しかける、その先に柔らかな髪が揺れていた]
あ、カチューシャだ。
[向かおうと思っていた、もう一人の幼馴染の名を呟く]
[幼馴染たちを見ていればロランと視線が合う。
笑みを浮かべて手を振った。
話しおわったのかキリルもこちらに気づいた様子に]
ミハイルさんとこにいくのー。
[口元に手を当てて叫ぶ]
たぶんそろそろイヴァンさんがお野菜持ってきてくれるから、
キリル受け取っといてー。
[つまり家で待っていてと。
ちょっと離れた位置のまま叫ぶ横着をしていれば、広場で手伝い中の兄がため息をつく様子が見えた]
[カチューシャの大きな声に、眉と口角が少しだけあがった。
口元に手を当てなくても聞こえるよ、とは返す事無く
手を振られるに膝の上で手を振り返して。
両手を両側に下ろして車輪を掴み、ぐいと力を籠めた]
俺、ちょっとその辺。
[キィ、と高い悲鳴のような音を立てて車椅子を操ろうとして、
振り返られるのに、手を止めた]
――別に、
[礼を言われる事なんてしていない。
むしろ不安を煽っただけだ。
そう思うから、どういたしまして、とはとても言えず。
不機嫌そうに小さく呟くだけで。
離れて行くキリルの背を暫く見送ってから、
車椅子の音はまた、木組む音へと重なった]
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