人狼物語 ─幻夢─

89 赤き果実る崖の上で


書生 ハーヴェイ

─ 吊り橋 ─

……いつも、思うんだが。

[風に揺れて軋む吊り橋。
慎重に歩みを進めつつ、零すのはため息一つ]

なんで、こんな行き来のし難い所に住んでんだ、あの旦那は。

[文句を言いながら、一度足を止めた。
以前借りた本と、祖父から預かってきた荷物の入った鞄が重い。
肩にかけたその紐を握り直して、また、ゆっくりと歩き出す。
吊り橋を渡りきるのと同時、零れ落ちたのは深いふかいため息一つ]

……さて、もう一頑張り、と。

[自分を鼓舞するように呟いて、先へと進み。
屋敷の傍ら、風に葉を揺らす林檎の木の下まで来ると一度立ち止まり。
未だ青さを残す実に気づいて、僅かに目を細めた。**]

(1) 2013/12/03(Tue) 21:31:13

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