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盛況だったよ。
用意したばかりの湿布が半分になっちゃうくらいにね。
[ディーノには肩を竦めて答え]
[シャロンの言葉が聞こえてくれば]
あれ、クローディアさん風邪も引いちゃってるんだ。
あれだったら喉飴とか持ってこようか?
食事取りにくいなら、砂糖菓子のような類とか。
[疲労回復には甘いものがいいって言うしねと]
[小さく笑った]
はい。
それでは、風邪薬だけ先にもらっておきますね。
それと、精神疲労の薬。
明日いただきにいきます。
・・・料金のほうはいかほどですか?
[そこまで話した後、そばから聞こえてくる少女の声。
確か・・・フランという名前の少女だったはずだ]
ん・・・。
そうですね。なんでもやっておいて損はないですから、喉飴頂戴いたします。
[パトラッシュが首を横に振るのを見て、そっか、と言葉を返し。視線を戻してワインを飲む様子にはどこかぎこちなさが残るだろうか]
うわ、随分減ったね。
仕入れしたばっかりでこれじゃ先が思いやられるや。
[フランが肩を竦める様子を見て苦笑いが浮かぶ]
うん、確かに大変だけど……でも、自分にできる事だから、ちゃんとやらないとね。
[頷くディーノに、躊躇いもなくこう答える]
それに、薬作る御師様の方が、ずっとずっと大変だし。
[続いた言葉は、やや、冗談めかしていたか]
[パトラッシュにじっと見つめられた黒猫は、ととと、とそちらに近づいて、にぃ、と一鳴き。
野生の感が、何か違うと感じているのか、金の瞳には好奇心の色が浮かんで]
わかった。
すぐに取ってくるから少し待っててくれるかな。
あ、砂糖菓子の方はどう?
この間の仕入れでちょっといいのが手に入っててさ。
甘いものダメじゃなければだけど。
[マスターからジョッキと小皿を受け取り]
[それをカウンターの端へと置きながら聞いた]
[フランの言葉に、シャロンが頷いた]
ええ。
お待ちしています。今はもう・・・急ぐこともありませんしね。
っと。そうですね。ついでですから、砂糖菓子も頂きます。
私は甘いもの苦手ですけど、クローディアは甘いもの大好きですからね。
きっと、喜んで食べるでしょう。
[クローディアが喜ぶ姿を見て、シャロンは幸せそうに微笑んだ]
うん、参っちゃうよね。
先生とエリカちゃんがいるからいいようなものの。
怪我にはもっと注意して欲しいね。
[思い出したのは怪我だらけだったレッグの姿で]
[ディーノに頷きながら二重に苦笑した]
えっと、ちょっと待ってくださいね……。
[言いつつ、先ほどのバスケットの隅に入れてきた包みを取り出し、中の薬包を数個、より分ける]
お代は、クローディアさんが回復してからでいいですよ?
[いつも出来高払いですから、と笑いながら、より分けた包みを差し出して]
大掛かりな事になりそうだから、って御師様、ずっとそれやってましたから。
[フランの言葉には、昼間の様子を思い出して、くすり、と微笑む]
[こちらに背を向けてワインを飲み直すディーノの様子に、若干妙な感覚を抱きつつ。その感覚が何を指し示すのかは判らずに。
近づいてきた黒猫には、姿勢を低くして愛想良く尻尾を振って出迎えた。わふ、と小さく挨拶する。
こいつは『パトラッシュ』の好奇心に任せるか、と人間の『俺』が呟く。]
…偉いね、エリカは。
自分に出来ることをやる、かぁ。
うん、確かに大事。
[躊躇い無く答えるエリカに感心したような表情で。パトラッシュに近付いて行く黒猫を見るとどこか微笑ましげに]
犬と猫なのに何だか仲良さそう。
[そんなことを言って小さく笑った]
[フランが浮かべた苦笑いがどこへ向けられたのか理解して、同じように苦笑が漏れる]
そうだね。
2人が居ないともっと大変なことになってたんだなぁ。
[そんなことを言いつつ、今度薬草採り手伝おうかな?なんて言葉を漏らしたり]
[シャロンに頷いて]
あれ、シャロンさんは甘いもの苦手?
じゃあ代わりになるものを何か探してこようか。
シャロンさんも看病で疲れているでしょ?
[急がなくて平気ならと]
[扉の方に向かいながらたずねた]
[エリカの言葉に少しだけ眉をしかめたが、自分の中の黒い部分を否定するように、軽く息を吐き、そして、ゆっくりと答える]
・・・分かりました。
それでは、あの子が完全に回復した暁に。
フフッ・・・。
遅くなっても知りませんよ?
大掛かりな事か。
先生は10年前のことも憶えているだろうし。
何よりもみんなの無茶さ加減は良く知ってるだろうしね。
先生の無茶はエリカちゃんが止めてあげてね?
意外とのめりこんじゃう人でもあるし。
[エリカの言葉には]
[笑いながらそう返した]
[ディーノの微笑み混じりの言葉を耳にすれば、あ、いつも通りかな、なんて(だから「いつも」って何時からだよ!)安堵して。
お前、それ素で俺のこと犬扱いしただろっ!
と、冗談交じりに咎める視線をちらりとディーノに向ける。]
[挨拶を返された黒猫はちょこなん、と座って尻尾をぱたり。
それでも、警戒心は持っていないようで、じぃ、とパトラッシュを見つめている]
偉い、かなぁ……?
他に、取り柄らしい取り柄もないから、っていうのもあるんだけど。
[感心したような表情を向けられれば困ったようにこんな事を言い。
黒猫とパトラッシュの様子に気づけば、うん、と頷いて]
リエータ、人見知りとかしないから。
[ちょっと、警戒なさすぎるかもしれないけど、と。
最後に付け加えて]
[フランの言葉に、そう言えば、自分はどれだけ休んでいないのか、ということを思い出した。
が]
いえ。
心配無用ですよ。
私も、クローディアに食事を上げたならゆっくり休むことにしますので。
それに・・・正直、今はそんなに疲れていませんから。
[そう。
希望の光を信じれるようになったせいか、体も心も、嘘のように―――軽い]
ええ、それで構わないです。
遅くなっても、全然平気ですからっ。
[シャロンににこ、と笑ってこう返す。
直前に寄せられた眉には、気づいているのかいないのか、それは定かではなく]
うん、御師様はあの時も凄く忙しそうだったから……。
あ、大丈夫です、寝ないようなら、フライパンで殴って寝かせますから。
[止めてあげてね、というフランには、やや物騒な一言を]
[何だかパトラッシュから視線が突き刺さっているような気がしてふと振り返る。振り向いた先で咎めるような視線のパトラッシュと目が合った]
(…あ、何か怒ってる?)
[しばし考えて思い当たる節を見つけると、失笑のような苦笑いで唇だけ、ごめん、と紡がれた]
僕は偉いと思うよ。
自分に出来ることをやる。
簡単なように見えてそうじゃない。
それが出来るエリカは偉いと、僕は思うよ。
[にこり、穏やかな笑みでそう告げて。黒猫─リエータが人見知りしないと聞けば、そうなんだ、と言って視線をリエータに]
うわ、それは効くわ。
手加減にご注意?
[エリカの言葉にはケラケラと笑って]
そう?
じゃあ取ってくるね。
ちょっと待ってて。
[扉を開けて店に向かった]
[こちらを見つめる黒猫にはひょいっとじゃれかかってみせる。
前半身を低くして、遊ぼう、と誘う。
『パトラッシュ』は基本的に人懐こいし、他の動物とも仲良くできる奴だ。ほんと、社交的な性格だよな、と。
『俺』は分析するように考えて。黒猫に注意を戻す。
きらきらと瞳を輝かせてこちらを見るリエータが、一瞬『俺』と視線を合わせていた気がしてぎくりとした。]
〔じっとりとへばりついた肌着が冷たく感じられ、ぞくりとした感覚とともに目が覚める。がば、と身を起こすと、外はもう日が暮れていた〕
〔眉間の辺りに手のひらを置き、肩を落とす〕
あー、もったいねぇ…。
今日は一日寝てるだけだったな…。
〔本当は寝不足が溜まっていたので、身体のためには必要な時間だったのだが、貧乏性なのか、本心からの呟きだった〕
〔濡らしたタオルで身体を拭き清め、新しい肌着に着替える〕
しかしよく寝たな。俺もまだまだ若いじゃねぇか。
明日鉱夫連中に自慢してやる。
〔にい、と笑いながらスケールの小さい、いかにも小市民的な発想を口にする。戸口のジャケットを羽織り、空腹を満たすため酒場へと向かった〕
なんか、実感わかないんだけど……でも、ありがとっ。
[穏やかな笑みと共に向けられる言葉に、ふわ、と嬉しげに笑んで。
けらけら笑うフランには、はーい、と言いつつ頷いた。
……年々、加減がゆるくなっている事は、恐らく当事者同士しか知らない秘密だが]
[じゃれかかられた黒猫は一瞬、瞳をきょとりとさせた後、誘いに乗るようにこちらもじゃれかかる。
金の瞳の好奇心は、果たしてどこに向いているのやら]
―雑貨屋―
[奥に積まれていた缶を取り出して]
[一つ口に含んで中身を確かめる]
ん、よし。
間違いなくこれだよ。
[更に奥の自宅部分へと向かって]
[綺麗な細工箱を取り出した]
余分に買っちゃったけど。
ちゃんと必要になるもんだ。
[クスリと笑って]
[それらを袋につめ]
[再び外へと]
[薬が効いたのか、いつしか深い深い眠りの淵へ。
夢に浮かぶは、忘れかけた幼い頃の思い出。
寂しげな目をした女の子に出会った時のこと。]
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