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(それならそれで―――大歓迎。
私や、貴女が死んでしまうかもしれない恐怖はあるけど、それ以上に、面白い何か。
例えば―――世界への復讐の方法も見つかるんじゃないかしら?)
[思わず、クスクスと小さな笑い声が漏れた]
・・・うふふ。楽しみじゃない。
[少女のように笑う彼女の声は、誰にも聞こえることなく闇に消えた]
…御伽噺なんかじゃない!
その人狼騒ぎのせいで僕の家族は僕を残して死んだ!!
あれが御伽噺だとしたら、僕の家族はどうしてっ…!
[レッグの軽い言葉に流石に耐え切れず声を荒げ、ぎりと握った拳をカウンターに打ち付ける]
…っ!!
[無意識に叫んだ言葉。自分が漏らした言葉に息を飲み。徐に立ち上がると荷物もそのままに宿の外へと飛び出した]
……あ。
[零れた声に宿る困惑は、突然声を荒げたディーノの様子への驚きか、それとも言い放たれた言葉の内容への戸惑いか]
……家族……残して……残されて?
[ごくごく小さく呟けば、それに伴うように頭痛が増すような気がして。
軽く唇を噛んで、ふるりと首を左右に振る]
[宿屋を飛び出して着いた先は広場の中央]
…あれが御伽噺なら…実際には居ないんだったら、何で僕の家族はあの村で殺されたんだ…!
僕の大切なものは何故奪われたんだ…!!
[低く押し殺した声。広場の中央で立ち竦んだまま、俯いて涙を堪える]
あっ、おい。
…あー、悪い事聞いちまったみてぇだな…。
〔傍らに置かれたジョッキに今気づくが、口をつけようとは到底思えなかった〕
…すまん。今日はもう帰るよ。
〔と、席を立つ〕
[走り去ったディーノを目でちらりと追いながら]
あーらら、あららぁ。
だーめだよぉ。
御伽噺なんて言っちゃあさぁ?
君らは知らないかもだけど、人狼はほんとに居るさ。
実際に人狼に滅ぼされた村はいくつもある…
ま、もっともぉ?そんな物騒な話、きっちり表に出てくるこたぁ無いけどね。滅んだ村の情報が出てこないのは勿論の事、人狼を駆逐できた村だって…ま、表に出したく無いだろしねぇ?
[すーっと目を細めた後で]
めでたしめでたし、って訳にはいかないのさ。
御 伽 話 じ ゃ な い か ら ね
[響いた音に驚いて]
[ジョッキを置いてディーノを見た]
ディーノっ!?
[飛び出してゆくのを見送って]
[溜息をつく]
誰しも過去はある、か。
拙かったかしらね。
[カウンターに拳を叩き付ける激しい音に、身を起こす。
飛び出したディーノの後姿を視認すると、全開に開けたドアが再び閉まりだすその前に身体を隙に滑り込ませ、闇の中へ駆け出していった。
ディーノの背を、ただ、追いかけて。]
おやすみ、ランディ。
[席を立ったランディには小さく手を振って]
悪かったわね。
あたしの中じゃ御伽噺だったのよ。
そりゃ言い方を失敗したかとは思うけど。
[ノブの言葉には顔を顰め]
御伽噺じゃないから、ね。
[扉の方へと視線を向けた]
〔どうしたものかと逡巡したが、思い切って宿屋の主人にそっと耳打ちする〕
彼女が…目を覚ましたら…知らせてくれ。
〔それだけ言うと、飲まなかった飲み物の代金を支払い、宿を出て行った〕
[広場の中央に辿り着く。
立ち竦んだ影が見えた。
その後ろから、ゆっくりと近付いて。
だらりと垂れた手に、頭を押し付けるようにして自分の存在を解らせる。]
知ってるわよ、そんなこと。
でも御伽噺にしておいて欲しかったのよ。
ったく。
これまで平和にやってこれたってのに……
[顔を顰めて苦々しく囁く]
[飛び出したディーノに驚きながらも考え込む。]
人狼か・・・。
まさかこの村に出るかもしれないってのか・・・?
バケモノどもが・・・。
[やがて目を伏せると、小さく呟く。]
・・・・・・上等だ。
[響く頭痛を堪えていると、主人が声をかけてきて。
どうやら、先ほどの注文が出来上がったらしい]
あ、じゃ、届けないと……。
え、大丈夫だよ?
[少し無理矢理笑顔を作るものの、異変の様子はすぐに察知され。
こちらが届けるから、休んでいろ、という言葉に、結局頷く事となる]
うん……お願い……。
[小さく呟いて、ぱたり、カウンターに突っ伏す。
これじゃ、一人で帰れそうにないなあ、また御師様に怒られるなあ、と。
そんな事を考えつつ、*小さくため息をついて*]
〔まだ冷たく冴え冴えとした月光が降り注ぐ家路を急ぐ。広場を通ると、先ほど宿を飛び出した一人と一匹の姿が目に入った〕
…。
〔声をかけようかどうしようか迷ったが、どう考えても今の自分では役不足である。明日、非礼を詫びて、改めて話の続きを聞かせてもらおうと思った〕
[きつく目を瞑り、泣かないように食いしばるも少しずつ涙は滲んで来て。左腕の袖で目元を拭うと垂らした右手に柔らかな感触を感じる]
……ぱと、らっしゅ……。
[涙声でその名を呼び、涙で滲む瞳を開ける。その目には白くぼやけていたが、それが彼だということは理解出来て。その場にへたりと座り込むとパトラッシュの首に縋り付いた]
…我慢出来なくて叫んじゃったよ。
皆驚いてたかな…。
[ふわふわとした毛並みに顔を埋めて、くぐもった声でkと場を紡ぐ]
〔人狼…その言葉を聞いて、胸がざわついた〕
〔10年前の事故のときも、まるで獣に襲われたようだったと、当時は噂されていた〕
…いや。
あいつは…ジュリアは、村の外へ出て行く崖道から転落したんだよ…。
こんな月明かりの日は、いけねぇや…。
〔またおもむろに煙草をくわえながら、家の鍵を出す〕
あらら、エリカちゃんもお疲れか。
今日はここに泊めたほうが良さそうかな。
[小さく苦笑して]
あの人には明日の朝一であたしが伝えとくよ。
ちょっと頼みたいこともあるからね。
そうじゃないとまた怒られちゃうでしょ。
[マスターがこちらを向くのに]
[そう言って頷いた]
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