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……え。
[問われた言葉に、一つ、瞬く。
とはいえ、村の者には機知の事でも、他所から来た彼が知らぬのは道理と。
それに、思い至って]
ああ……昔、ね。
あのじーさんが、『村のために』とった方法で、俺の父さんが犠牲になった。
『決めた事』のためには、娘の夫だろうと何だろうとばっさり切るじーさんだから。
俺は、好きじゃないってだけだよ。
[口調だけはなんでもない事のように。
さらりと、それは告げられて]
……何を恐れる。
可能だろう。
全てを、食らいつくせば、貴様の邪魔をするモノは、無い……
[雑音が響く。][途切れがちなのは、彼女が深く眠っているからだろう。]
[緋色の意識に響くコエ。
唐突なそれに、微かに震えたのは伝わっただろう]
な……。
ナニソレ……。
くらいつくせば、って、そんなのっ……。
[出来るわけない。
思いはすれど。
否定はコエにならず]
[決まりのために父親を切り捨てた――。
それは...にも覚えがある事だ。
元々立場が上になればなるほど、情以外の柵が増えてしまう。結果として家族や知り合いが犠牲になる決断をしなければならない事もしばしばだ。
...の父も同じ苦悩を強いられて、情を捨てた事もあった。
尤も、...はやはり納得は出来なかったが]
……すいません。余所者が口を出すべきことではなかったかもしれませんね……。
[そう言って申し訳なく頭を下げた]
あー……別に、気にしなくても。
[頭を下げるミハエルの様子に苦笑しつつ、言って]
ま、それがなくても、元々俺の両親とじーさんの折り合いは悪かったみたいだし。
[そんな大事じゃない、とでも言いたげに、口調だけは軽く]
……それより、せっかく温めたのが冷めるのもなんだし、飯、食っちまわない?
……そうですね。遅くなりましたが食事にしましょうか。
[再度スープを少し温めなおして、皿に盛りなおすとにこりと笑ってアーベルの分を差し出した]
…っは!
[慌ててガバッと飛び起き、]
……ぅぁー……首いてぇー…。
[盛大に寝違えたらしく、首を抑えて呻いている。
それでも、落ちてた手帳に気がつくと、慌てて拾って胸ポケットに。]
ああ。
傭兵の旦那も言ってたけど、しっかり食べとかないとね。
[こちらも笑いながら、スープを受け取り、広間へと向かう。
例によって椅子の背で待っていたカラスがばさり、と、出迎えるように羽ばたいた]
[視線を感じたカラスはこてり、と首を傾げてそちらを見つめ]
……ていうかさ。
なんでみんな、そーやってザフィーアと見詰め合うわけ……?
[そしてその様子に、思わずこんな呟きが漏れる。
普通、こんな所にいるものではない、とわかってはいるのだが]
[震え。][困惑と、否定。][だが否定の言葉はカケラしか口にのぼらず。]
何を恐れる。
何を、迷う。
邪魔なのだろう?あの爺が。
貴様には、我等と同じ、
屠る爪がある。
食い裂く、牙、もある。
恐れるモノなど、何もあるまい。
[誇り高き。][つまりは人狼という獣の本能に忠実な声が。]
[赤い世界で囁き続ける。][生まれたばかりの幼い獣に向かって。]
内なる声に、耳を傾けろ。
貴様の望みは、ナンダ?
貴様の真の望みは。
答えろ。
ヴィント。
やー…なんつーか、その。
[思わずカラスとにらめっこ。
相手が首を傾げた方に傾げようとして痛がるとかアホすぎる。]
…誰かシップあったらくんない?
あと…喰うものとか。
[なんだかんだ言いつつ、おいしそうな匂いの前に、肉体の反応はあまりに素直だった。]
[鏡の前で髪を掻き揚げる][首にかけたロケットを開ける]
[夫の肖像画をじっと見つめる][笑顔を作る]
あなた・・・
どうかわたしたちを、守ってくださいね。
[ロケットを閉め][服の中へとしまい込む]
[部屋を出て、階下の広間へと下りていく]
俺は……じーさんは……それは……。
[父を見殺しにして。
母の嘆きも切り捨て。
だから、一人になった時、その手を振り払った。
そうして、今は自分の動きを縛り付けて。
そういう意味では、『邪魔』なのだけれど]
俺は……でも……。
[自らを獣と認められない意思は、『力』の存在をも、未だ否定して]
内なる声……望み……。
俺は……。
自由に……なりたい。
[小さく、小さく。
消え入りそうに、コエは呟く。
それが、何からの自由であるかは、はっきりとは言えないままに]
おはようございます。
・・・少し寝すぎてしまいましたわ。
[実際にはあまり眠れてはいなかったが][時間だけは経っていた]
[広間には美味しそうな匂いが漂っている]
[スープの入ったお皿が見える][広間にいる面々を見回す]
[そこにいる中で料理ができそうな人を見つけた]
お食事、アーベル君が作ったのかしら。
わたしもいただいてよろしいかしら?
[相手の首の状態とかは気づいた風もなく、カラスはじぃ、とにらめっこ]
……湿布……ブリスなら、持ってるかも知れないけど。
その位なら、備え付けの救急箱にもあるんじゃないかな。
[その様子に呆れつつ、こう言って]
と、おはようございます。
いや、俺じゃないですよ。起きた時には、もうできてたし。
多目に作ってある所みると、みんなが食べるの考えてあるだろうから、いいんじゃないかと。
[やって来たノーラの問いには、挨拶と共にこう返す]
[アーベルに挨拶された][アーベルに微笑んだ]
あら、そうなんですの?それじゃ、いただいちゃおうかしら。
起きたらご飯ができてるなんて、いつ以来かしらね。
ええっと・・・あなたも召し上がりますか?
[名前は出てこない][カラスとにらめっこしている研究生に声をかける]
[食事を取りにキッチンに向かう]
起きたらご飯、ってのは、俺も久しぶりですけどね。
[キッチンに向かうノーラにこう返して。
取りあえず、食べてしまおう、と改めて向き直り]
……ってゆーか。
[ミハエルによそってもらったため、今まで気づかなかったが。
野菜のスープの中には鮮やかなオレンジ色が大量に潜んでいた]
……これ、作ったの……ユリアンかぁっ!
[彩り、というには多いニンジンの潜伏率は、既に作為の領域。
それをやりそうなのは、と考えれば自ずとそこに行き着いた]
[キッチンでスープを温めなおす]
あら、ずいぶん沢山にんじんが入ってるわね。
[昨夜の珈琲が残っていればポットに追加して温め]
[所望されれば2人分、そうでなければ自分の分だけスープとパンを用意]
[食事と珈琲ポットを手にして広間へ戻る]
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