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クレメンスのだったのかー。
ごめんねぇ。
そのうち、掃除しているときにでも見つかるんじゃないかと…
[たはは、と頭をかいて謝る。
階段にボタンが落ちていたこと、先ほどの大きな落下音とが符合した]
あ、ええと。
そっちの方に転がっていったんですけれど。
[ハッと聞こえてきた会話に反応する。
途中まで見ていた方向を右手で指差して]
もっと転がっちゃったかしら。
クレメンスさんのだったんですか。
[左手は無意識に右肩を押さえていた]
[思い切り否定するアーベルを、反撃がてらからかおうとして、いつもなら(いや、昔だったら、というべきか)加わってくる、もう一人の幼馴染みの声がないのに気づいた]
リュー?
いえいえ、すみません。
俺がちょっとほら、ドジで落としただけなんですよ。
[まさかそんな酷い落下音だったとは、自覚は今でもやはりあらずに]
掃除してる時に見つかりますかね。
ふぅ…まあ無くてどうしても困るというわけではないんですけどねえ。
[まだ見回す目は、エーリッヒの方には向かなかった]
あちらですか?
[イレーネの声に彼女を見上げ、その後ろのブリジットに気付いた]
おはようございます。
…こんにちはですかねぇ。
[そしてイレーネの指す方向を今度こそ見ようとしたのだが、]
…どうかしました?
肩、痛めたり?
ふたりとも、どうかしたの…?
[リディとイレーネの様子が可笑しいのを、
交互に見て気にしながら首をかしげる]
体調が悪くなったらすぐ言うのよ。
ブリジットもいるし、
なんならお医者様を派遣してもらいましょう。
[広間に入り、暖炉の近くにいって暖まり、喧騒に耳を傾ける
入ってくるのは野菜とか、ボタンとか、運動神経がどうとかで、昨日の悲壮な騒ぎはどこへやらと思わず苦笑する]
[広間に入ってきたブリジットの方を見て]
いや、まだあったと思うから。
なくなってたら俺が何か作るから、心配すんなー?
[手を振りつつ、軽い口調で言って]
……手袋好きじゃないってなぁ。
手先が器用なのはいいけど、その手が傷んだら意味ないだろうが。
[いじける素振りのユリアンに、呆れた口調で突っ込んだ]
[何かを気にする様子のリディと、肩を押さえるイレーネを交互に見ながら]
あの、お二人ともどうかなさいました?
肩が痛いのならばお薬をもらった方が…。
[かと言って自分にはどうする事も出来ず見守るだけで]
[他の人の言葉を聞き、リディの方にも目を向ける]
お二人とも肩が痛いんですか?
それは大変だ。
目も疲れたりしますし、肩は重要ですよ。
落ちるときにもかばわなければならない場所です。
[エーリッヒに名前を告げた後][ウォルの名前が聞こえて][耳を疑った][エーリッヒの顔を注視する]
・・・エリ君?
[食事をする姿を見ながら][その後の言葉に絶句する]
[顔が紅潮していたかもしれない][好きなのがお野菜と聞いて][しばし呆然としていた]
あ、あ、あのねっ。年上をからかうもんじゃないわよ。
[動揺を隠し切れない][誤魔化すように食事に没頭していた]
え?
ああ、いえ。何でもありません。
ちょっと、変な感じがしただけで。
[クレメンスに言われ初めて自分が肩を押さえているのに気が付く。
微妙な違和感はまだ残っていたが、特に痛みを感じたりしているわけではないので手を外して首を振った]
く、く。
貴様の内に何があるのか。
内が欲するものを知っても。
それでも、今までのように生きられるものならやってみるがいい。
[生きられない理由を聞かれたのに。]
[生きる事が出来ないのかと、問われたのかと取り違え。]
[ヴィントから、はっきりと伝わる恐怖には心地よさ気に。]
[銀の意識が、彼をぐるりと取り巻く。]
……っと……どしたんだ、二人して。
[それぞれ、肩を押さえ始めた少女たちの様子に。
どこか戸惑った声を上げる。
カラスも困惑したように、首を傾げて]
……それはそれ、これはこれ?
[我ながら言い訳になっていない言い訳だと思った。
アーベルに答えてから立ち上がると、様子がおかしいのは、リューディアだけではないらしかった。
肩を押さえるイレーネの姿が見えた]
[朱い色彩が、蘇る]
ちょっと…?
[クレメンスのちょっと落としただけ、の言葉に首をかしげ]
ごめんねえ。
次からちゃんとポケットにでも入れて持ち運ぶわ。
……あら?
みつかったのかしら?
[その目はエーリッヒの拾う仕草をみとめて]
変な感じ、ですか?
[イレーネを見て、首を捻る]
[捻り方を間違えて少し痛かったので、元に戻した]
[落ちるのには慣れているが手首といい首といい、少しはまずかったらしい]
何はともあれ、お大事にしてくださいね。
気になるようでしたら包帯を巻くというのもアリだとは思いますし。
[肩を押さえた少女が二人。]
あかいはな さかそう
しろいゆきのうえ たいりんの
あおいはな ちらそう
くるしまぬよう あかいろにそめて
[どこかぼんやりと呟く、伝承詩の一節。]
[言いながらもあたかも信じていないようなアマンダの言葉に彼女を見る]
もしかしてご覧になりましたかね?
[笑みは引きつっていると自分でもわかる]
[続いた次の言葉に頷いて、彼女の言葉に視線が釣られた]
おや。
エーリッヒ君、見つけてくれたんですね。
有難い。
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