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やっぱり、思い出しませんか?
記憶を失うのに効くような薬草はないから…。
[すみませんと謝罪し。][年ですかねと呟く声には、年、の基準が判らなかったので。]
首は自然横へと振られる。][他意はない。]
何か肩からかけるような鞄があれば、少しは減るかもしれませんね。
[でもきっと、ボタンまで鞄はカバーしてくれないだろうと。][思ったけど、やっぱり口にはしない。]
[体中の傷を一つ一つ、沢山の薬草を作ってアベル達と一緒に怪我につけて。]
[最終的には暫くミイラのようになっていたが。][骨まで折れていなかったのは幸いだったが。]
[とはいえ倒れていた原因は、軽装備で長旅をしていた(だろうと見られている)せいなので…ある意味自業自得なのだが。]
……。
[イレーネの様子を見て、考える。
彼女が反応を示しているように、見えるもの――]
それじゃ。
心配性のにーさんが戻れってうるさいから、
代わりにお願い出来るかな。
[笑みを浮かべて]
逆に、身体を動かしていたほうがいいこともあるしね。
[アーベルに同意を求めるように続けた]
…そうですか?
[逆に邪魔になってしまうのかな、と。
食事がまだなのはその通りだったから小さく頷いて]
掴まれた…?
[ユリアンの言葉に目を瞬いた]
[クレメンスから上着を受け取る]
いえ。おせっかいでごめんなさい。
ボタン、部屋に置いてありますの。ちょっとお借りしますね。
[上着を持って部屋に向かう]
掴まれた……って。
[今、そんな事をしそうなのは、というのは。
考えるまでもなく、答えが出る]
……あいつら、加減とかしてないだろうから。
ちゃんと、手当てしとけ。
て、ずるいってなんだよ、それ?
[呆れたように言いつつ。
ユリアンがイレーネに向けた言葉に一瞬きょとりと瞬いて]
……動いてた方が気が紛れるってんなら、まあ、話は別かな?
怪我人疑惑があるのが動き回るよりは、安心して見てられるし。
[『動いている方が気が紛れる』。
それは、今の本心。
そうすれば、緋色の意識で感じているモノ。
内なるモノの鼓動も。
少しは忘れていられると思ったから。
疼きが止められないのは、既に、感じていたけれど。
それでも、まだ、認めたくない意思は残っていて]
[強い違和感は一体何を意味するのか。
気にしたくなくとも気になるのは止められず、襟元からそっと覗く。
蒼色は間違いなくそこにあった。]
・・・・・・・・
[膝を立て、顔を半分埋める。ぼんやりと見つめる炎は朱い色だった。]
ええ。まあ…思い出せませんねえ。
一体あの手紙も何のために書いたのかとかねえ。
[ギュンター宛の手紙の内容も、詳細は書かれていなかった]
[直接口でのみと言われているということ、共通の友人のサイン、それだけ]
いやいや、ゆっくりと思い出していきますから。多分。
ついでに色々、ドジなのも直るかもしれませんし?
[横に振られた首には少し嬉しく、ありがとうございますと感謝した]
なるほど、肩からかける鞄ですか。
あれば便利かもしれませんね。
鞄ごと落とすことはないでしょうし。
[感謝の気持ちにと、怪我が癒えた後、黒真珠が一粒入った袋を治療にかかわってくれた皆へと渡していた]
[断られても押し付けて]
[これのお蔭で助かったのかもしれませんねぇと、笑って、お守りにと差し出したのだった]
[ギュンターも、今も持っているだろうか]
[小屋の代金としての細工――それもまた月と金の、精巧なものと一緒に]
[しかし、それでも。
聖なる印を身に帯びた少女と近くにある事で。
それとの同化は、加速されてゆくのだけれど。
遠い、とおい、呪縛に従うように]
〜自室〜
[荷物からボタンを入れた袋を引っ張り出す]
[それっぽいボタンをいくつか取り出す]
これなんかシンプルな十字架だけど、似合うかしら。
・・・あら。
[床にボタンが一つ転がった。それを拾い上げた時、一瞬目が険しくなる]
[ボタンにはこの辺りを治める領主の家の紋章が刻まれていた]
[そのボタンをぐっと握り締めた後、荷物の中にしまい込む]
[結局、猫の紋様の入ったボタンを右袖につけた]
[ボタンをつけ終えると、クレメンスの上着を持って階下に向かう]
ありがとうございます、レディ。
[彼女にもお礼に何かをしなければと考える]
[己が身につけていたものは、小さな宝石の類ばかりだった]
[一体なんでこんなものを持っているのか理解していなかったが、あるものは有効に使うべきだろう]
[彼女を追うか悩んだが、広間に留まって見送った]
[人の心を守る小さな砦。]
[ヴィントの戸惑いと、迷いと、怯えと。][恐れは。]
[おそらくそれの所為もあっただろうから。]
そうだ、我らには不要。
…さぁ、恐れるな。
お前にかけられた枷は解き放たれた。
内なる声を聞け。
望むままに動け。
誇り高き人狼の末裔よ。
[低い雑音はヴィントから離れ。][少し離れた場所でゆっくりと伏せた。]
[久しく、近い者に会う事も無かった為。]
[自らを焼くかのように。][聖印の傍に寄るヴィントを。]
[その苦悩をわうように。][楽しげに、興味深げに。][じぃと見ながら。]
……なんでもなーいよ。
[へんにゃり。
頼りなさげな笑みを作って、二人に向ける]
うっかり忘れっぽかったから、叱られただけ。
[最初の問いにはそう付け加えたけれど、後の問いには答えず]
てか、僕ももうすぐ19なんだしさ、
女の子の前でそういうの止めてよねー。
[恥ずかしいじゃん。
更に重ねられた皮肉っぽいアーベルの言いように、若干むくれたようにして、舌を出した]
それじゃ、よろしく。
[左手をひらひら振って、広間に戻る]
スティグマ…保護対象…人狼対策…なぁ
[とだけぽつりと呟くと。
充分温もった体を起き上がらせ木箱を背負い、*自室へと引き上げていった*]
あいつら…まさか、自衛団の?
[アーベルの言葉に小さく震える。
そもそも武装をしている人は苦手なのだ。記憶が無くても。
いや、無いから、だろうか]
頭痛は何かしてる方が、気にならないと思います。
一応、料理したことないわけじゃないし。
運ぶのとかは幾らでも。
[広間に戻ってゆくユリアンには小さく微笑んで頷いた]
[ブリジットに頼むべきかと思ったが、その前に、話の輪に加わりもせず、暖炉の前にポツンと座っているリューディアが気にかかり、そちらに歩み寄り]
リュー? どしたの。
お腹すいた?
朝、ちゃんと食べた?
[上から覗き込むようにして、問いかける]
[耳元で囁かれた言葉に、びくりと震えたのが伝わってしまったかもしれない。]
そういうのは…習って使えるようなもんじゃないさね。
…血筋ってぇか…素質を継いで居ないと、ね。
[出逢った時を思い出す。
だからあの老人は、俺に来るか?と問うたのかもしれず。]
……っとに。
[広間へ戻るユリアンの様子に、さっきまで頭に置いていた手で、ぐしゃ、と前髪をかき上げて]
だったら、そういう行動とるなっつーの。
[低く、笑う。
蒼の瞳は、少しだけ楽しげで]
……ま、気が立ってるからな、外の連中。
[イレーネの様子に気がつけば、軽く肩をすくめてこう言って]
さて、んじゃま、料理するとしますか。
待たせすぎて飢え死にされちゃ、敵わんしね。
何か、食べたいもの、ある?
[冗談めかした口調で言いつつ袖をまくって流しで手を洗い、料理の準備に取り掛かる]
うん、それもそうね。
だから、素質がなかったら、弟子にしない。
師匠と、呼ばせないわけで。
[動揺するような瞳をじっと覗き込み、にこりと笑った。
まわりに聞こえるのを恐れてそこらで切り上げる]
あはは、びっくりしたー?
気にしないでー。
[はたはたと顔の前で手をふって、ごまかすように笑い上げた]
[やはり思い出せないという様子には、こちらもそうですかと溜息を。]
[打ちつけた場所が悪かっただろうか。][口伝が間違っていただろうか。]
[そんな不安もあったが。][返された言葉には。]
そうですね、えっと、頑張って下さいね。
[そう返した。][ほんとうにそうなるといいなとは、心から思いながら。]
[鞄を便利と言う様子には、頷いて同意して。]
[だが鞄ごと、には一拍間が空いて。][少しの後、そうですね、と朗らかに大人びた笑みを浮かべた。]
[お礼にと小さな袋を渡され。][その中に小さな黒い珠…真珠が入っているのを見て、受け取れないと返そうとしたが、感謝の証ですと言われれば無碍に断る事も出来ずに。][お礼を言って、袋は大袋の中に入れておいた。]
んー?
[気怠げに上を見る。覗き込んでくる目と目が合った。]
ううん、ご飯は食べた。
・・・・・あ。
[何処か覇気のない返答をしていたが、思い出したことがあり表情が変わる。]
ところであれはぼくへの嫌がらせかな、ユーリィ。
[じとり、上目遣いに見上げた。
相変わらず肩に添えられた手は動かないけれど。]
不要な枷……。
[緋色の意識に響く、囁き]
内なるコエ……望むまま……。
[自分の望み。
それは。
束縛からの解放。
その束縛は何か。
祈りの藍玉に瑕がついた今。
押し止める痛みはなく]
……俺は……。
[コエの震えが鎮まりつつある事に。
銀の意識は、容易に気づくだろう]
…そう、ですね。
[気が立っている。それはそうだろう。
殺人事件の容疑者が集まっているのなら。
…実際にはそれ以上の恐怖を覚えているのだろうけれど]
はい、先生とか、騒ぎ出すかも。
ええと、辛いものとか苦いものじゃなければ…。
卵あったらオムレツとか?
[軽い口調で言われればクスリと笑顔を見せて。
食べたいものを問われたが、咄嗟に思いつけるものは少なく。
最後に自分が作ったものを答えていた]
アーベルさん、お料理得意ですか?
それなら私は準備の方を手伝いますから。
[こっそり得意ではないのです宣言]
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