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「…フェーン?」
[見つめていたネズミが、そう言った気がする]
「フェーンってだあれ?ヴィント」
[いつも、人の言葉の通じない友達にそうしているように、心の中だけで、囁きかける]
そっか、ならいっけど。
[ふるふる、と首を振る様子に怪訝なものを感じながらも一先ず納得して。
夢見る瞳には、何となくやれやれと]
いや別に、不服とかじゃねーけど。
[何となくため息をつく肩では、当の相棒がぴょい、と立ち上がり、思いっきり胸を張っていたりする訳だが、それはスルーして]
……ま、いいや。
とにかくいこーぜ、今日は特別、奢ってやっからさ。
[にぱ、と全開の笑顔で言い切った]
[振り付けは、辛うじて…覚えている、はず。きっと。
失敗しても、笑って誤魔化せばいいとも、言われた。
けれど、出番だと促されれば、緊張しない訳がなく……
震える手を、きゅ、と抱きしめて。
一歩、一歩、舞台の中央へと……足を進める。]
[呼びかけに、ネズミはくるっと大きな目を回し]
『フェーンはフェーンだよ。
ホラ、コレ』
[てちてちぺちぺち、自分を肩に乗せた青年の頬を叩く]
……ていうか、お前、誰と話してんだよ……?
[てちぺちされた方は、呆れたようにこう突っ込む。
さっきは誰かの声を拾うし、いよいよもってヤバイか、とか何とか考えつつ]
[ミハエルの言葉には小さく苦笑し…]
…この村にも、花火師さんが居るから、力を入れたいのよ。
こういう、お祭で…皆に、知って貰えれば…自分を、売り出す、チャンス、でしょう?
…あたしも、少し、気持ち…分かる。
[花火に視線を移し…また、ミハエルに戻す]
ん。だから…ここ、お気に入りの、場所なの。
[くすり、と小さく笑うと]
…そう…
でも、お祭も…良いモノ、でしょう?
[友達の、ごめんという言葉に、少女はふわりと笑う]
ううん。リディは、私を心配してくれたのね。ありがとう。
野宿は楽しいのよ。綺麗な星や、大きな月を森の中で独り占めできて、とても素敵。
今度一緒に泊まってみる?
[ふと、ミハエルの視線が花火から移っていることに気付き…]
…ぁ。
[ミハエルと一緒にいた少女…舞姫の衣装に身を包むその姿に、少なからず胸が躍る]
…
[が…立ちつくすその姿に、小さく首を傾げ…]
「だって、それは…ユリアン…でしょう?」
[青年の名の部分だけ、僅かに躊躇うように揺れたのに、ネズミは気付いただろうか?]
「二つの名前…て、もしかして…」
[―――視線が、集まる。
音が…ざわめきが、静まっていく。
誰もが『舞姫』を見上げる、その中に――主の姿を見]
[安堵したように、にこ、と笑んで。]
[最初の一音に合わせ、指先を、*高く上げる*]
へー…野宿とかしたことないけど、スッゴイ面白そう!
森の中って、ちょっと怖いイメージがあるけど…
ってホント!?一緒に泊まってもいい!?
ミリィが一緒ならすっごく楽しそうっ!
[夜の森には入ったことがない自分には、とても新鮮で。
投げられた提案にぱぁと笑みを浮かべれば、繋いだ手をぎゅうと握って]
って、わーいやった!
ユリアンにぃの奢りっ!
ありがと!今度何かお返しするからっ!
[きゃあきゃあとはしゃいだまま、その足取りは酒場へと]
―通り→酒場―
[少女の問いに、ネズミはやや、首を傾げたか。
恐らく、揺れは気がついていたろうけれど、態度に出さず]
『フェーン。ユーリィの、『本当の名前』。
妖精王の……』
って!
だから、てめえはどこに向けてナニ話してやがると……。
[いい加減気づけ、と誰か突っ込むべきだろうか]
お返し、ね。
ま、それなりに期待しとくわ。
[リディのはしゃいだ様子にくくっ、と笑いつつ、酒場へと。
そろそろ、儀式の時間だなーと思いつつ]
[進めば進む程ごった返す人]
[その先には祭りの華があるのだから、当然と言えば当然で]
[漸く辿り着いたその先]
……嗚呼。
[丁度舞い始めたその姿を見て、小さく微笑んだ]
ええ、私もリディと一緒なら楽しいと思うわ。
[にっこり笑って、少女は友達の手を握り返す。いつも他の人には夢のようだと笑われる、おとぎ話や神話の世界の物語を、彼女は笑わずに楽しそうに聞いてくれる。彼女に話すための美しい星の神話を探しておこう、と心の中で少女は決めた]
一体全体、何なんだよさっきから……?
何か妙な方向から、覚えのある声は聞こえてくるし、ヴィントはどっかに電波飛ばしてるし……。
つーか、やっべぇよなぁ……。
上手く逃げられりゃいいけど……。
ここの連中、巻き込みたくねぇんだけどなぁ……。
[ため息]
[遠くからでも、幾重にも重ねた白き花の如き衣装は闇の中にもよく映えて、天に満ちる星の光と色とりどりランプの灯に、淡い羽根がふわりと浮かび上がって見えた]
[舞台の中央で動きを止めたその姿に、あわやと思ったが。
彼女が微かに笑んだかのように感じられ、小さく息を吐いて、目を伏せた]
……お気に入りの場所か。
君のおかげで、よく、見えそうだ。
昨日といい、本当に、世話になっているな。
[再び緑眼を開いて、イレーネにそう答え]
……ああ。悪く、ないと思う。
[ぽつりと、言った]
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