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……ラウル?
[現れた人物の腕に泊まるサエーナ鳥を見やると、紫のリボンが目に止まった。僅かに警戒色を弱めて]
……ううん、邪魔なんて、してない。その子の……友達?
―――――…。
そうですか。
[ そう言った後、僅か頭が痛む。]
ぐっ…、思った以上に真っ黒ですわね、貴方。
期待していますわ、グレイ殿。
こう見えてもか弱い女子ですので。
[ 返す声もまた他人事のように。]
[そして山のふもと。]
あは、速い速い〜あったかあったか〜♪
[陽気に笑う。既に球体はそこにはいない。]
今日は何しようかな〜、あはは
[手前の木に素早い動きで登って、眺める。
やはり目を引くのは島の中央の結果樹]
あれで清めるのか〜あははは〜。じゅぷじゅぷごしごし〜♪
……あは
清めるって何をだろうね
真っ黒、か――
黒くなければ虚に捕らわれることも無い、だろう?
お互い様、だね。
[くくくと咽を鳴らす音。
どこか楽しげな。]
[ラスの表情の変化に楽しげに笑みを浮かべながら、最後に小さく冗談だよ。と口にした。
しかし、ジョエルのカルロスに対する言葉には、少しだけ眉を潜めた]
ジョエルん、人を見かけとかで判断したらダメだよ? カルロスさんだって、女好きで、何人泣かしてきたかわからないけれど、いい人なんだから!
[そう、自分だって……と一瞬だけ表情を暗くしながら、すぐさま笑顔で泣いてたのは自分のせいだから大丈夫。と、訂正した]
そう、ラウル。この子の名前。
[にこり、と笑いつつ、ラウルの小さな頭を撫で]
邪魔じゃないなら、良かったよぅ。
ラウルはすぐにはしゃいじまうからね。
ああ……友達……ってぇいうか、まあ、相棒、かねぇ。
独りになってから、ずっと一緒にいるから。
アタシは、アヤメ。機織をしてる。
アンタは?
だーれもだーれも逃げられな〜い〜♪
笑えばそこについてくる〜♪
負〜はふふふの負〜♪
[陽気に出鱈目に歌いながら、結界樹のほうへと歩く。]
なんのために、なんのために……?
[ 返ってくる笑いに応えるかのように。]
ふふっ、失礼ですわね。
こう見えて純粋ですわよ、私。
……まぁ、冗談はここまでですね。
そうですか、付き人殿は貴方とご一緒ですか。
分かりました、私が動きましょう。
巫女姫殿ぐらいの気配であれば、すぐに見つけられます。
そちらはお願い致しますわ、グレイ殿。
[ そう言って、金色に光るように見せている羽根を広げた。]
お前は、少しお人好しが過ぎるぞ。
[ラスには少し呆れたような言葉をかけ、冗談というリディアの言葉には息をつく]
あまり感心しない冗談だな。
それに、見かけで判断しているわけじゃない。
あいつは、以前から女好きのいい加減な男だった。
とても信用する気にはならん。
[頭を撫でられるサエーナ鳥の様子を見て、警戒を解く]
……うん、その子……ラウル、大人しかった。
独り……?
[その単語を耳にすると、僅かに瞳を曇らせ]
……おーふぇん
森に住んでる……
あははは〜! ラスさんもカルロスさんもそんな事しないもんね! 二人とも合意がなきゃ絶対にしないもん!
二人ともごめんね〜♪
[と、笑顔で反省しているのかしていないのかわからない謝罪を述べた後、ジョエルの言葉に片眉を跳ね上げて]
でも、それって結局そういう表面しか見ていないと同義じゃないかな? 少なくとも私はそう思うよ?
[どうかな? と半分意見を求めるようにジョエルを見上げてみた]
[ 海をぼんやりと眺めてどれほど時間が経ったか。]
………巫女姫殿に話しでも聞きに行きましょうか。
やはり無作為に人は疑いたくはありません。
彼女が何か知っているといいですが。
[ 部屋の中の扉の向こうにいる母の気配を探る。
といっても、部屋の中の様子までは気にはしないだろう。
羽根を広げて、飛び上がり聖殿を目指す。]
…隈作って寝ずの番誰とも代わらずにやってるジョエルに言われたくねぇけどさぁ。
[怒られた子供のように、ひょいと肩を竦め、リディアの言葉には細い目を見開いて]
…合意って…何の話だ…
[少し赤くなって、自分の口を自分で押さえて顔を背けた。]
表面がいい加減なら、中身もいい加減だと見える。それを承知でいい加減なままでいるのは、そう見られても良いということだ。
そんな輩は、少なくとも、大人の男としては失格だ。
[リディアの視線に動じることはなく、淡々と答える]
大人しかったんだねぇ。
じゃあ、よっぽどさっきの演奏が気に入ったんだね。
[軽く言うものの、微かに陰った瞳に、ほんの少し目を細めるものの]
オーフェン、か。
……笛、吹くの、好きなのかい?
[黙り込む様子に、投げかけるのは、何でもないような問い]
……なんですか、その笑いは。
貴方、なかなかに失礼ですね。
[ 不満そうに呟く。]
とりあえず、お願いしますわ。
聖殿に一度、向かって様子は見てみますので。
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