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―宿屋の一室―
[朝の気配。ほのかで柔らかい朝日がカーテン越しに降り注ぎ
身じろぎを一つ二つ。寝ぼけ眼でぼんやり起き上がり、寝癖を軽く手ぐしで整え起き上がり、しばし身支度をしたなら、食事を取ろうと部屋を出る]
[孝博とすれ違ったなら、軽く挨拶の一つでもしただろう。
そして主人に食事を頼み。適当な席…につこうとして、カウンターに猫が寝そべっているのを見て、近くに座る
目を合わせないようにしながらもそっと撫でた…撫でた…撫でた…ちょっとご機嫌になった]
では…いただきます
[運ばれてきた料理…雑炊を食べ始める。その間主人は時間もあったのもあったのか。久しぶりにと会話をする。だがそれは近況を聞くだけでもなく]
いえ…まだ西行院家には顔を出していません。
綾野さんが宮司になるというのは聞きましたが…
[前者は当然として後者もこれまた微妙なものがある]
これからですか……どうしましょうかね…
[それは自分で決めること。という主人の言葉に頷いた
そして口うるさく言うわけでもなく忠告のようにいう主人に感謝をしながらも食事を終える]
さて……どうするか。
墓参りに行くにしても、手ぶらじゃなんだし、な……。
[道の分岐で立ち止まり、首を傾げて思案顔。
ぐるり、周囲を見回せば、目に入るのは、準備の進む桜の丘]
…………。
[ふと思い返すのは、昨日、桜の下で交わした言葉]
桜の……巫女と、魔、ねぇ。
[伝承については、一応一通り教えられている。
いずれ家を継ぐ者として、必要な知識だから、と]
別に、なんかおかしいとも、思えんのだが……。
ま、俺も事故ってから、色々と鈍ったっていうかなんていうかだし。
わからんでも無理、ないか……。
[出る前に蓮実が降りて来るのが見え、軽く手を上げて。]
・・・どっから行こッかねェ。
[矢張り無計画だったらしい。
祭りの準備の合間をふらふらと進む。
まるで余所者を見るような目の者も皆無ではなく、軽く肩を竦めた。]
はーい、はるちゃん!
しっかりくつろがせてもらいまーす!
[本当になんにもないけど、なんて、言わないよ!]
――ばいばーい!
[なんで鉄球持ってるんだろって不思議だけど、お見送りした。
その後、桜を見る。じ。花もないし。]
どーして、花、ダメなんだろー……
[おばーちゃんにもー一回聞こうかな。
それから、おばーちゃんちに戻る。りきっちゃんの話をして、それから、色々。色々、聞いた。
おばーちゃんとはあんまり似てない。っていうか、ぜんぜん似てないから、みんなびっくりだろうなー。]
ところで、他にも宿泊客がいるのですか?
[裕樹や小百合。他にも青髪の青年とすれ違っていたことから聞くと、もう一人。
確かに祭りの時期ではあるが、ここの祭りは…外を見ているからの対比からか、あまり外部向けではないと言えるだろう…と。考えるなら妙である
それをいったら己が戻ってきたのもまた妙であるといえるが]
祭りは…今日は準備の追い込みですかねぇ
[食器を持って去っていった主人を見送りながら、呟く。
コダマは答えてくれない。だからというわけでもないが、また撫でた]
……ま、行った所で、何がわかるってんでもないが。
もっかい、近場で見とくか、桜。
[桜からは違和感は感じていない、けれど。
微かに嫌な予感のようなものはあった。
それを払拭したい、という思いが働いたか、歩みは自然、桜の丘へと]
/中/
……何でかんで、元キャラがしぃちゃんだからなあ。
アレは恨み言とか残さないというか、まあ、だからこそ厄介なんだけど。
・・・・なァんか、たりィ。
[無意識の思考はついコエに出る。
戻って来たのは確かに卒論の為ではあったけれど、都会から出たかったという側面もあった。
最初のうちこそ懐かしかったけれど、閉鎖的な村の空気にも次第に飽きが生じて来たところで。
ましてや昨日急に交わせるようになったコエ、目覚めて尚身体に残る違和感、そして何かを予感するような琉璃の言葉。
やる気が出ないのも仕方の無いことかもしれなかった。]
[一段落ついて執筆道具から視線を上げた。ふぅ、と息を吐く]
…んー…。
続編にするから…あの辺も、盛り込まなきゃ、ダメかな。
[ペンの後ろを顎に当てて少し考え込む。見上げた視線の先に、花つけぬ桜の木が映った]
──……。
[じっと桜の木を見上げる。咲かない桜、咲かせてはいけない桜。今まで当たり前だと思っていたが、改めて考えてみると不思議なもので。枯れるでもないその木を不思議そうに見上げた]
うーん、今日も田舎だ!
よし。
[こぶしを握る。ぐぐっとな!]
どっかいこー。
どこいこー?
[んー、悩むけどてきとーかなぁ?あんまりずっとりきっちゃんといると、りきっちゃんがほんとにロリって言われちゃうし!]
/*
コダマの名前の由来は、親猫の名前がタマだったから、タマの子→コダマとかいうどうでもいい裏設定があったりします。
足の先尻尾の先が白い灰色猫なイメージ。
[足早に、丘を登っていく。
準備も追い込みという事で、行き交う人の数は多い。
その邪魔にならぬように気遣いつつ、桜の近くまでやって来て]
……あれ、榛?
何してんだ?
[桜を見上げる姿に気づいて、声をかけた]
[昨日もなんだか色々聞こえてはいたけれど、少女にとってこの聲はまだ馴染みの浅いもの。
なんだか遠い、遠い場所での言葉みたいに聞こえています。
それはまだ、少女が、染まりきっていないという証拠なのでしょう。]
―― たかひろ?
[聲の感覚が、なんとなく、そんな気がしました。
ちょっと思ったら、それは聲になってしまって、なんだか不思議な感覚を覚えてしまいます。
義理の祖母が、ちょっと目をそらした少女に不思議そうにしましたが、少女はふるふると頭を横に振っていました。]
……あ、史人。
[別の木の根元に座り見上げた状態から視線を史人へと移す]
小説、書いてた。
もう少ししたら、ここに近付けなく、なるだろうから。
祭りを題材に、書くつもり、だったから、ここで書いて、インスピレーション沸けば良いな、って、思って。
ん、・・・あァ。
涼チャンか。
[別のコエ。
慣れてはいないが故に、その名を呼び返すのは遅れる。]
聞こえてた?
悪ィね、つい。
[コエに乗せるよう意識するも、未だ不明瞭な部分もあるかも知れない。]
[小説書いてた、との言葉に、なる、と短く声を上げ]
確かに、神楽舞台の設置が始まると、もう立ち入れねーからな。
……祭りって、今年の?
まあ、今年は色々とあるし、題材としちゃ面白いんかね。
[そこらはよくわからんけど、と。
軽く言いつつ、桜の幹に軽く、手を触れる]
――ううん
[家から離れ、少女は少し笑いました。なんだかこういうつながりはとても嬉しかったのです。]
――たかひろ。
――たかひろは、き う、桜の ころ いた?
[言葉を交わそうとすると、やっぱり少女は少しぎこちなく。]
――もしか、してって。
――思っ んだ。
――るり は、 この村の 人な でしょう?
そう、今年の。
前作が、村全体を、題材にしたもの、だから、その続編って、形に、しようかと、思って。
祭りが、進むごとに、起きたことを、盛り込んで、書いたら、面白いかな、って思うの。
…と、これ、言っちゃったら、後で読む、楽しみ、減っちゃう、か。
[「失敗」と小さく舌を見せて笑った。執筆道具を地面に置くと、ゆっくりとした動作で立ち上がり、桜の傍に寄って]
…本当に、不思議な、木だよね。
ずぅっと、長い間、枯れるでもなく、花をつけない、なんて。
[途切れ途切れに聞こえるコエは、此方の所為もあったかも知れない。
意識を集中すれば、意味は取れないわけでもない。]
きのう、桜の・・・・、あァ。
りっチャンの傍にいた、よな?
んン、そう。
“話した”のは、初めてだったケドな。
では…散歩でもいってきます
[主人は一度振り向いてまた働きだす。コダマはやはり寝ている
じっとしているのは落ち着かない。と旅籠を後にする]
―旅籠→外―
[歩きつかれたのか建物の陰に避難し、行きかう人をぼんやりと眺めている。
片手でペンをくるりと回しながら、メモはまだ白紙のまま。]
・・・りゃ。
[見覚えのある小柄な影に視線を留めた。]
んンと。
涼チャン、だったッけ。
[昨日聞いた名を反芻しながら立ち上がり、其方に寄ろうと。]
――りっちゃん、
――りきっちゃん?
――うん、りきっちゃん、いたよ
――あ。
[少女は、嬉しそうに笑いました。それは少女を保護してくれた人を出されたからか、それともそこに、孝博の姿を見つけたからか、わかりませんでしたけれど。]
あー、確かに先にそれがわかると面白くねぇかも。
とはいえ、お前の文の書き方とか描写の入れ方は読んでて飽きねーから、そんなに気にはならんかな?
[失敗、と笑う榛名の様子にくく、と笑って]
……樹、自体は生きてるんだよな、コレ。
病害だとしても、こんな症状ってのは聞いた事ないし……。
ホントに、なんで咲かんのやら。
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