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[ その時のイズマルームの脳裏に過ぎっていたのは、闇竜王と交えた会話であろう。久方振りにあった彼女の様子に、洒落たことなど己には合わぬと切り捨てた事を悔いる気持ちが、少なからずあったに違いなかった。
しかしそれは億尾にも出さず、紫紺のドレスを身に纏った命竜王へと寄り、伸ばした手は肩口に落ちる髪を掬おうとしてか、微かに触れた。
気侭なる王は今ばかりは貴婦人を導く騎士が如く、彼女へと手を差し伸べる。
彼の事だ。取られなければ、その手は直ぐに引っ込められ、我先にと中に向かってしまうのであろうが、彼女が望めば、望むようにするのだろう。]
…一緒。
[影の答えに、何処か安堵にも似た響き。
父親が一緒とは言え、知らぬものに囲まれては緊張も聊かあったか。
それも、今し方までの懸念であったが。]
うん。
リーチェも、行く。
[父親の脚から数歩離れ、影の方へと。
一歩、二歩。仔の足跡を辿るようにして、一寸草木が芽生え、萎れる。
数秒後には跡形も残らないその場所へ、父である王は視線を落とし
しかし何事も無かったかの様に諸々の後へと続く。
…何を思ったかまでは、知り得なかったが。]
/*
あ、取れた。弾いちゃった方、ごめんなさいです。
そして中会話をいつ出すかで少し悩んでみたり。
ついでにメモで指摘してしまったことについて。
修正が変な方向に行く前にと思ったのですが、逆に混乱や停滞を起こしてしまったらごめんなさいです。
でもどうにも気になってしまって…。
さて、中は出来るだけ抑えるようにしないと。
そして念話との両立も頑張らないと。
―竜都―
逃げてないヨ。ウン。
[語尾がうそ臭いのは実際嘘だからではあるが。]
まーうちの海も水には大変世話になってますが―って。
何ぃお前も!?
[驚いて振り返る前に、首筋からぞくりと冷たいものが背筋まで走る。あはんとか気持ち悪い声をあげながらも、純粋な竜でない彼女―といってよいのか。ともあれ彼女が随行者の任に就いた事は、少なくとも衝撃的だった。]
…って事は会議終わるまで顔合わせる事になるのか…。
[主に上記の意味で。
以前、身体を重ねた時の記憶は―色んな意味で壮絶だった。快楽の後にアレが来るのならば、正直二度目は勘弁願いたい。
尤も、ナターリエに己が命の全てを吸い取られきる、とは思ってはいないのだが。]
あーっと、挨拶遅れまして水竜王お久しぶりです。
[今更ながらに、ナターリエに抱きつかれたままの大変情けない格好で水の王に辛うじて頭を下げ。
一緒と言われればどのみち目的地は同じなのだし、逃げた所でまた追いかけられるのは目に見えていたので無理をすることはせずに。そのまま道中を共にするはめになる。]
その窘めも己が糧と成すのじゃ。
お主は儂が教えることをどんどん吸収していったしのぅ。
先が楽しみじゃよ。
[出来が悪い子ほど可愛いとも言うが、出来の良い子も可愛いことに変わりなく。エルザを褒める間、その表情は嬉しげに、また穏やかに笑みを浮かべていた]
─無限なる虚─
[竜都から姿を消した彼女は、ほとんどのタイムラグなく慮竜王の眠るこの場所へと戻ってきていた。
眼前にはあさきゆめみし彼女の主。]
主様。
[短く彼女が虚竜王を呼ぶと、ゆっくりと瞼が開かれる。]
お気持ちにお変わりは……
「ええ、ありません。ではいきましょうか、ユーディー。」
了解いたしました。全ては主様の御心のままに。
[彼女が短くそう告げると、次の瞬間にはこの空間に存在するモノは何も無くなった。
そして同時に、主が還るまでの間、この無限空間は完全に閉ざされることとなるのであった。]
―竜皇殿:東殿の部屋のどこか―
……王。
私は戻っても良いですか?
[ぱたりと名簿を閉じて、オトは真剣な顔で尋ねた。
もちろん、色好い返事などない。
眉を寄せ、困ったようなため息を吐いた。]
出来うる限りあいたくない人がいたものですから。
嬉しくねぇとは言ってねぇだろーが。
……つーか、この程度でしょげるな、情けねぇ。
[一転、消沈した様子に呆れたよに言うと、ピアが怒ったようにてちり、と頭を叩いてきた。
気を使えとか、色々と言われたらしく、一瞬だけ軽く眉が寄る]
ま、そりゃ、知り合いに会うのは嬉しいもんだけどさぁ。
オレ、大分離れてたから、出くわす可能性とかあんまりないし。
[行く先に、両親の死後に懐いた地竜がいるとか、思ってもいなかったりする]
―竜皇殿/回廊―
いえ、顔を上げてください。
貴女は幼かったし不安定でしたから無理もありません。
名を覚えていただけていただけで嬉しく思います。
[下げ返されたエルザへと顔を上げるように告げ、申し訳なさ毛な気配をかき消すように小さく首を振る]
此方こそどうぞ良しなに。
[柔らかく告げて師と弟子の邪魔にならぬよう一歩引き、青年は口元に微かな笑みを浮かべた。交わされる言葉に興味を払う様子で耳を傾ける。
その姿が微かに動きを止め、巡らせた紺碧が会議場の方を向く。虹竜王の心話に無言のまま深く頭を垂れて返した青年は、顔を上げた時には変わらぬ穏やかな笑みを浮かべていた]
−→竜皇殿−
[文字通り白い翼で幼子を抱えた陽竜王はふんわりと裳裾を揺らして竜皇殿に舞い降りる。
幼子はいい気なものですっかり眠りこけていたのだが、頬に当たる風の気配がなくなったことで目を覚ます]
…んー…。
[布に埋もれた両の手が淡緑の瞳をこする]
…ヨン、ついた?
『着いたよ。
よく寝ていたね、空の旅は楽しかった?』
[幼子は首を傾げたあと小さく欠伸]
ぐっすり眠れた。
[まぁ、何とも肝の据わった子供だことで]
「酷い言い様だな」
[などと言いながら月闇王はどこかへ行く。
当然白い花を持っていったので――ほぼ間違いなく誰か被害者にわたしにゆくのだろう。
それから、オト本人もそこを出た。小さく呟いて。]
……あの態度さえなければ、良いんですけどね。
[心話で告げられたのはやがて会議が開始するであろう旨とそれまでの自由。
それと同時に青年の勤め――記憶するべき事を刻んでいくようにとの今一度の命]
御意。
王の務めが果たされるまで、全てを記憶に。
[会議中なにか異変の気配あらば、何が起こるか全て刻むと誓う]
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