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封印?
中から破れないものでしょうかね?
[声は頭の中へも響く。
かえる声には、溜息をひとつつき、げいんっと音を立てたティルの足をチラリ、見て。
続々と集まる他竜達へも目を向けて、無言のまま手から雷を封へと向けて発した。
バチバチ、と大きな音を立て、白い稲妻が弾かれ、散る。]
…無理、そうですね。
[眼鏡を、片手であげる。]
[ローブの下、気付かれぬように抱えた剣。
それは今は短剣のような形を取っていて]
更なる騒動と申しますと。
「奪いに来る者があるだろうな」
[師のものでも王のものでもない声に、一瞬頭が白くなりかけた]
[緑柱石と金剛石を埋め込んだ精霊鋼のロッド。
それに気を込め、打ちかかろうとした矢先に聞こえた、制止の声]
だってさあ!
これ、なんかイラつくしっ!
バカ兄貴は中でぎゃーぎゃーうるっさいし!
[苛立ちの原因は何なんだ、と突っ込まれそうな事を口走りつつ、それでも動きを止めるのは、相手が慕う相手であるが故か]
何か法則性があると思うのですが、いかんせん歪みのようなものが。
[唸りながら、命竜を見上げて]
今は駄目にしろ、時間があれば……。
そもそも、氷破が司る"封印"とは別の封じる力と言いますか、
封印と言うよりは……"束縛"?ううん……何か違いますね。むう。
[ふと周りを見て、まだ挨拶をしていない者を見れば深く腰を折って頭を下げる。
お辞儀をする度に下がる眼鏡を人差し指であげつつ、ブリジットの横へと体を寄せて]
…こんなこと、初めてですね。
[ザムエルの方へも視線を向けながら
そのまま目は西殿を上まで見上げる。]
…えぇ、その可能性が。
[伝わる言葉に頷きつつ。]
干渉を受け、バイパスとなっている何かが…
いや、十中八九…何者かが居るね。
おそらくは、二つ。
[休職中とはいえ、封印管理の任にあった竜。
結界術に関しては、かなりの知識をもっていた。]
[ぱたぱた、 ぱたり。
乾いた足音と点々と草木の跡を残して、回廊の中央で仔が立ち止る。
何事かと巻きついた腕からゆるりと顔を見上げるも、何と言う事では無かった。
…父も居らぬ、見知らぬ場所で不安であるに違いない。
幼子は、酷く泣きそうな顔をしていた。
涙こそ零しはしないが――平然としているとは言えぬ顔。
先ほどから聞える王の声も、今では不安を助長させるばかりか。
嗚呼、私が姿を取った所でどれ程の慰めに足るか。]
あら心配してくれるの?優しいねぇ。
[何でもない、と言葉を途中で遮ったにも関わらず。
オティーリエに前向きに解釈するのはいつもの通り。
それでもへらりと向ける笑みの気配は、弱いものではあったが。]
…そういうそっちは、何を願ったんだ?
[問いかけは、軽い笑みと共に。]
[混乱は失った青年の力を速やかに補ってくれたが、同時に起こる大きな心の動きは波となり心話の声を遠ざけた。
記録に意識の一部を確実に割きながら後ほど声を返そうと決める]
詳しい話はまたいずれしましょう、クレメンス。
オティーリエも――…無理はせずに。
[返した心は疲れを覚えていますからと労い、*青年の声は消えた*]
[託されし剣はその姿を変え、今は小袋を持つ左腕の腕輪へと変化している。今はローブの袖に隠れ、他からは見えぬようだ]
剣を得ようとして起こしたのなら、
[言いかけて、それを補足するように発される言葉。己はまだその先を語っていない]
……何ともはや。
彼の剣は智ある剣であったか。
[それに遭遇したことが無いわけではないため、直ぐにその可能性が浮かぶ]
実践ありがとうございます、焔の。
[少しだけ熱気に当てられながら、得心したように頷く。
老地竜の発言には、ゆるりと首を振って]
封印の中であれば、力も抑えられてしまっている、というのもありですね。
……といっても、本当に現状対応策が見つからないのもまた事実、なのですけど。
遠くに見ただけだが。
容易に解くことは出来なかろうな。
此方にも同様の言が伝えられた。
もしかすれば――「あれ」の干渉か。
[ 揺らすもの。
口にするのも煩わしいと明示はせぬが。
一度緩めた歩を、再び、外へと向ける。]
[エルザの怪訝な心を感じ取るも、今は説明する時間はないと判断し青年は先を急ぐ。エルザの足に無理がかからぬ程度に様子を見ながら]
そうですね。
傷跡が深くならぬ内に決着をつけないといけません。
[口元の笑みが薄くなり、重い息を吐いて前を向いた。目の前に西殿と封印の壁にレンズ越しの紺碧を細め見上げる]
[ダーヴィットの放つ炎が焦げ消えていくのには小さく溜息を。]
力ずくじゃ駄目って事か。
まー力で解決するんなら、中の姐さんらがめいっぱいふんばれば何とでもなるんだろうけど、それしないってのはそういう事なんだろうな。
[内側からは駄目。外からも力ずくでは駄目っぽい。
えー。これどーするよと若干疲れた様子でいながら。]
法則性ねぇ…。
俺にはさっぱり分からんから役には立てそうにないんだけどさ。
封印じゃない?束縛?
んー…やっぱ難しいのかね。
[ブリジットを丁度見下ろすような位置で見ながら、紡がれる言葉は頭の隅に記憶してゆく。]
そうですか。
……あれ?
[何か思い当たるものがあるようで、そしてすぐには思い出せずに、眉を寄せる。]
ノーラ殿は、影輝王の声をお聞きになりましたか?
[外へ向かおうとする様子に、もう一度、声をなげて。]
――ご機嫌がよろしくないようでしたら、我らが王の責も多にありましょう。
お詫び申し上げます。
心配などしても無駄でしょう
[途切れたこえが伝わっているという事実に、いつものような言葉をかえせど、そちらもどこか力なく]
――わたしの、願いは。
[されど問われたことに、身のうちの願いが、ゆるりと起き上がる。]
あるべき、形に
[そうして届く精神の竜のこえ。
確かに体と心は少し、普段とは違う。]
あなたも、アーベル殿。
わたしは、貸しただけですから……
ゆっくりと、お休みください。
ええい、落ち着かんかい。
苛ついても仕様が無いものは仕様が無いのじゃ。
[ティルを押えるようにその頭に右手を置く]
「揺らすもの」か…。
竜王様達を封じることで世界を揺らすつもりなのじゃろうか。
…全ての竜王様が集まるが故に狙われた、と言うところじゃろうかの。
[エーリッヒとダーヴィッドの言と、ミリィの言葉に思いつくままに言葉を発す]
ふむ、バイパスとなりし者が居るとなれば、それを探し出し干渉を断てばこの結界のようなものは解けるのじゃろうかの。
多分、古き竜の方々はもう気付いているだろうし、王達も考えているよね。
[ダーヴの言葉に、しばし考え]
干渉を受けた者が二人…王達を封じるのに王と無関係の者に干渉するとは思えないな。…て、ことはあ…
あ、あんまり人前でぺらぺら喋らないほうが良かった、かな?
[気付くのが遅い]
[気を使われているのを感じて、速度を上げる。
途端にバランスを崩しかけるものの、すぐに立ち直ってその速度で足を進めて]
ええ本当に。
…決着、ですか?
[問いの形となった部分は西殿に辿り着くタイミングで出た為に、喧騒の中へと紛れていたか]
[青年の願いは竜郷を滅ぼす事ではない。
自由に――それは青年だけでなく全ての竜に願っているのだから]
竜郷が傷付く前に、剣を手に入れなければ。
[十五竜王を封印した今、剣を手に入れるのは不可能ではなくなっていた。決して安易とは言えない、むしろまだ難問が山積しているのだが]
竜郷と引き換えにはしたくないが、差し出さぬなら――…
[既に確実に一人願いを叶えると約束した者が居る。もう一人も巻き込んだ。最早引けぬ位置に青年はいる]
どうかしたのか。
[ 発された疑問の声に、結局は足を止めた。]
……何があったかは、予想がつくが。
そなたが謝罪することではあるまい。
慣れぬイズマルームも悪かろうよ。
そも、身を固めればよいのに。
[ 今、そのような事を言うても仕方あるまいが。
ふと、視線は外ではなく内へと誘われた。心の動きなどは分からねど力の乱れは察せられる。それを均すが、己が役であるが故に。
自然と零れ落つ溜息一つ。向きを変え、オトフリートから返る言葉も待たず、歩を進めた。]
…おうよ、アーベル。
[名はどこで聞いていたのやら。消えゆく青年にはそう返した。
色々と、まずくて面倒で。
それでもほんの少ぉしだけ、面白いかもしれないと。
思うのはこれが記憶にある限り初めての出来事だからか。
それとも渦中に己が関わっているからか。
あるいはオティーリエが関わっているからか。
甘い毒のように、様々な感情は身体に染みた。]
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