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焔。
[その言葉を聴いて、ナターリエが苦虫を噛み潰したような顔になった]
此方としては、焔に頼るような手段は、やりたくないですわねぃ。
野蛮な焔に、恩を売るような形にもしたくないですわ。
……此方は此方で、考えたほうがよろしそうですわねぃ。
[水と炎。
当然のことながら、明らかな敵意しか、炎には持っていない]
[その後に続く言葉には]
あらぁ?
遠慮なさらなくてもよろしいですのにぃ。
ま。
流れに身を任せる私としては、嫌がるものに無理強いは出来ませんけれどもねぃ。
それに―――。
[オトフリートとクレメンスの様子に、にぃと目を細めて笑った]
―――仲のよろしそうな方もおられることですし?
[鼻から顔が潰れ、華麗に血を噴きながら倒れ頭から撃墜。]
今日もいいちち…一字違うか。ひじしてるなオトたん。
[言葉間違いは軽くワザとだ。ぎりぎりの地雷を踏んでいる。
ちなみに当然3秒で立ち治るのはもはや通例。
立ち上がればナタにひらりと再び手を振り返す。]
よぉ、数刻ぶり。
変わりないってことは、いい知らせなのかね?
変化の司には訃報になるのかも知らんが。
海って、狭間の滄海か?
…まずいな、こっち側にまで影響出るかもな。
[思うはある意味での己が故郷、生命の海。
滄海と隣接するそれにまで影響が出てはと、僅かに顔を顰める。]
[そこまで火炎のことを嫌っているのかと、驚いたように流水を見た。
対である陽光に対して、少々苦手意識はなくはないが、嫌悪までいかぬから。]
[だが、驚いて言葉を返せずにいると。]
――いえ、それは勘違いです。
ありえません。目の錯覚でしょう。
[淡々と、否定の言葉を次から次へと繰り出した。]
― 竜皇殿・中庭 ―
[ 集う存在が多くなるにつれて口を閉ざし、水竜の艶を含んだ眼差しにも口許に指先を添え首を傾けるばかりで、稚さすら感じさせる態で佇んでいたが、命竜の出現に、ノーラの手が出た。
しかし次の瞬間には先と変わらぬ様子に戻り、被害者たる闇竜の視線にも、黒の瞳を一度瞬かすのみだ。]
はっはっは。俺オティーリエのが可愛いからそっちのがいい。
[あっさり笑って言い切った。
笑みは常。絶やす事があまりないのは、仮面が馴染みつつあるからか。]
ナタは棘どころか牙持ちだから、注意しないと危ねえしな。
[喰われかけた記憶は当然、良いものではない。
思い出すと快楽と酷い目とが交互に現われ、若干、遠い目になった。]
[が、次いだ言葉に、殺意ゲージがぴっとMAXを指した。
それを止めたのは、日ごろからの感情を抑える訓練の賜物だったのだが。]
いつもお変わりなく、あなたは変態ですね
[殺意を抑える代わりに、吐き捨てた。
さすがに理性だけで押さえきれず、掌に爪がくいこむほどに手を握る。]
変化を司るものが、変化に戸惑うようなことはありえませんからぁ。
この先、変化が無く、膠着するようなことのほうが心配ですわぁ。
それこそ、海が荒れ狂う事態になりますわねぃ。
生命のも巻き込んで。
……全く。
何故、このような事態に。
[最後は笑みを含んだままのため息と共に]
わたしはいやです。
それに、かわいいとは何を言ってるんですか。
ついに頭までおかしくなりましたか?……元からでしたか。
[そして流水の竜を見る。
背筋を伝うものを思い出したが、]
嫌がる人には何もしないといっているじゃないですか。
あなたより安全です。
にしてもノーラ殿の一撃も思ったより早いのなぁ。
攻撃力高い竜が多くておじさんは嬉しいぜ。
[叩かれた頭を軽く擦りながら。
他者を傷つける事をしない、正確には『出来ない』自分はへらり笑う。その奥には、微か羨望のようなものも混じったか。が、次の瞬間には消えうせ。]
えー。俺とオトの仲じゃないか。
[前もいったぞこの台詞。
否定の言葉にめげることはない。ええ全く。]
やぁそんな、褒めるな。
[以下略。
オトフリートが力を入れている手に気づけば、遠慮なく触れて開かせる。
動作に反撃を受ける前に、軽く、爪の後の滲む手の平はその時瞬時に癒しておいた。
動作中も、軽薄な笑みは変わらなかったが。]
[驚くオトフリートの様子を見て、ナターリエが不機嫌そうな顔を隠しもせずに言葉を紡ぐ]
炎は。
何も変化をもたらさない。あるのは、破壊、という結果だけ。
破壊されたものは、その後停滞を起こす。長い時間。
変化は、長い時間を経て、ようやく起こる。
そのような存在……好きになれるはずもない。
……水は高きから低きへと流れるけど、炎は低きから高きに登る。
案外、炎のが、高きを目指した結果が、このような事態なのかもねぃ?
[そこで、一息置き、次の言葉を吐き捨てた]
ふん。冗談よ。
[元々の形態が、軟体動物に近いものだった故に、炎を苦手としていたことも、炎が嫌いな要因なのかもしれない]
[まったくもってクレメンスにはこたえない。
何度あきらめることになるのかとため息を吐いたときに手を取られ、]
……たいしたことないんですよ、これくらい。
だいたい、誰のせいだと思ってるんですか。
[疲れたけれど、そのまま手を引いた。感謝の言葉は、なかなか出るものではない。]
[それから、ナターリエの様子に、言葉に、そこまでかと内心奥深く、思いながら。]
申し訳ありませんでした。
…ご気分を害しましたようで。
[*深く礼をした*]
[クレメンスの言葉に、ナターリエがぴくりと反応した]
攻撃力が高いことが、そんなにいいことかしらぁ?
破壊する力が。
……まさか、生命のから、そんな言葉を聞くとは思ってもいなかったわ。
[不機嫌そうな表情も、とげのある言葉も隠しはしない。
水面に移る変化は、誰の目に見ても明らかでなければいけない]
そっちの影響受けて…いや、受けなくてもそもそも姐さんが居ない。
俺らの方が止まれば、全てのものの命の循環が滞る。
止まれば緩慢な死の始まりだ。
さてそいつは困ったな。
[ふぅと、一度天を仰ぐ。]
…向こう、戻れるようなら一旦戻りたいんだが。
今はまだ、駄目なんだよな。さて。
[どうすっかなと、言わんばかりの息をついた。]
何でだろうねぇ?
[ナタの最後の言葉には、こちらも笑みを含んだ言葉で返し。]
攻撃力の問題でもないだろ。
生命力が有り余っているんなら、
ナタに謙譲したらどうだ?
需要と供給が満たされるんじゃないかね。
[ 彼の奥に秘められた色に、ノーラが気づいたかは定かではない。一連の、恐らくは幾度も繰り返されているであろう遣り取りが終わった後、変わらぬ茫とした表情と命竜の口真似で言うと、影は相対する二人の間に入る。一通りの会話が終わるまで、退くつもりはなさそうだ。何処までの効果があるかは知らぬが。]
海が荒れれば湖に浮かぶ島に築かれたこの竜都も、
ただでは済まないでしょうねぃ。
他の属性にも影響は及び、均衡は崩れ、混乱は広まる。
面倒な事ですわぁ。
[ 困ったような写しの口調で言うも、表に出ることはない。
月闇の竜に眼差しを向けると、黒布の下より伸びたノーラの手が、その頭を軽く叩いた。撫ぜるというよりは、土を均すに似た態だが。
そうするのは、影としての役割故か、それとも他のものか。*我も知らぬ*]
[オトフリートが深く礼をする様子を見て、先程までのような笑みを浮かべ]
ええ。
御気分を害しました。
[単刀直入に言った]
ただ、貴方が悪いというわけではないわぁ。
話の道の上に、焔のが陣取っていただけですからぁ。
だから、貴方が気にする必要性は無いのよぅ?
―――それでも、気にするというのなら、今度、一夜の戯れのお相手をお願いしましょうかしら?
それで、私の気分は、確実に晴れるのですから。うふふ……。
[冗談交じりに。しかし、了承が取れれば実行はするだろう]
あっはっは!
俺の意見だけじゃ不満なら、アーベルに同じ事聞いてみればいい。
さてオティーリエは可愛いかどうか?
[おそらく傍観しているだろう精神に振っておいた。
アーベルがどう応えるか。実に楽しみだといった様子。]
別に俺、安全じゃない事は何一つしてないんだけどな。
[そんな台詞をのうのうと吐いた。吐ききった。]
極端に、過ぎたる力は何とやらだ。
[ナターリエの棘にもへらりと笑み返す。]
高すぎれば問題だろうが、無さすぎるのもまた問題、ってな。
それが破壊であれ癒しであれ。
例えば俺は、目の前で王が殺されようとしてもそれを止める事すら出来ん。
俺にあるのは癒しと自分への無限に近い回復力、それだけだ。
姐さんが傷つくだけなら癒せるからいーんだけどよ。まぁ良くないが。
まぁこんな事体だ。
万一まかりまちがって荒事が始まったら、俺じゃそっち面の力にゃなれないからな。
そういうことだ。
ええ。困ったものよ。
此方としても、そのような一時の変化は望んでいませんですからねぃ。
早急な解決が望まれるってところかしらぁ?
そのための、原因―――水が生まれる場所を見つけ出さなければねぃ。
見つけ出したのなら、次は、水を止める手段。
さて、うまい具合にことは運ぶのかしらねぃ?
嗚呼。大変大変。
[言いながらも、顔には笑みが浮かんでいる。
一時とは言え、変化が起こるトラブルというやつはとても楽しいから]
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