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[蹴りを弾かれ、後ろによろめき。
それでも、勢いは留まらず。
束縛に繋がるものへの苛立ちその他で頭に血が上っているのか、手は背負った銀のロッド──『風雷棒』をがしり、と掴み]
っつーか、わけわかんねぇもんの分際で、蹴り弾くとかっ!
[その理屈も大概無茶すぎます]
[揺れる感覚。実際には揺れては居ないのだが、感じ取るのは『揺れ』。『安定』を司るが故にその変化は如実に感じ取っていて。己を律するがために再び手は額へと向かう]
幸であるか不幸であるか。
今ではまだ分からんな。
「我が成すべきこと」、それは如何なるものや?
[聞こえたノーラの言葉に返すは、やはり問い掛け]
内側からは解けませんか
[一応情報を聞き出して、本を持ったまま、西殿のほうへと足を進める。
だが、ぴたりと足を止め。]
王。楽しんでいないで下さい。
[少し闇を帯びた目は、ついで閉じられ、元に戻る。
そうして今度こそ、西殿へと足を進めた。]
…あぁ。
流石にこの形式は…触れるのは初めてだ。
[多少触媒でぼうっとした頭を押さえ、エリィの言葉に苦々しく首を振る。]
過去のデータの中で似ているのは…
[人間界でいくつか起こった騒乱の原因となった事件の数々。
どれも、長い治世を経た王国を滅ぼしたものだ。]
…まさか、いや…それは。
[まとまりきらぬ、不吉な予感。]
[合わない視線。
そういえばずっと逸らされているような、と頭の隅で思う]
このままでは竜郷全てに影響が出るかもしれません。
そうなる前にどうにかできると良いのですが。
[西殿の方へと足を向けながら、呟く]
我は影。
影輝に属する者。
故に、司るは均衡。
それ以上でもそれ以下でもあらぬよ。
[ 乱れを均す。全てを、とは到底、成るまいが。
歩みを進めながらも振り返り、そういったことだと、翁に示す。]
氷破の。
そっか、そっちでも駄目ですか。
[にらめっこしているブリジットの隣に、結界にべたべた指紋をつけながら近づいて話を聞く。]
焔って事はダーヴィットか。
[と言いながら、ちらりと焔竜を見るが。
いくつもの炎が揺らぎ、叫びと共に消えた結果を見る限りでは、諸々思わしくなさそうだ。]
[別へ向かうノーラは視線で送るだけに止め。己は阻まれる物に怒りをぶつける竜達の下へ]
ティルや、それは儂らにどうこう出来るものではなさそうじゃ。
竜王達でさえどうにも出来んのじゃからな。
[更に食って掛かろうとしているティルの制止に入る]
…いや、何処からか供給されている力で維持されてるから、
たとえ風穴を開けられても、すぐに塞がれるのがオチだろうさ。
[氷竜の声に応じて、集束した息吹きを一点に向かって放つが、
結界へ深く食い込み焦げ目を作るものの、すぐさま薄れて消えるのみ。]
…な?
ほむ、道理じゃな。
[返されるノーラの言葉。彼の者の属を考えれば納得のこと。先に投げた問いは何を危惧してのものだったかはを知るは、問いかけたザムエルのみ]
封印?
中から破れないものでしょうかね?
[声は頭の中へも響く。
かえる声には、溜息をひとつつき、げいんっと音を立てたティルの足をチラリ、見て。
続々と集まる他竜達へも目を向けて、無言のまま手から雷を封へと向けて発した。
バチバチ、と大きな音を立て、白い稲妻が弾かれ、散る。]
…無理、そうですね。
[眼鏡を、片手であげる。]
[緑柱石と金剛石を埋め込んだ精霊鋼のロッド。
それに気を込め、打ちかかろうとした矢先に聞こえた、制止の声]
だってさあ!
これ、なんかイラつくしっ!
バカ兄貴は中でぎゃーぎゃーうるっさいし!
[苛立ちの原因は何なんだ、と突っ込まれそうな事を口走りつつ、それでも動きを止めるのは、相手が慕う相手であるが故か]
何か法則性があると思うのですが、いかんせん歪みのようなものが。
[唸りながら、命竜を見上げて]
今は駄目にしろ、時間があれば……。
そもそも、氷破が司る"封印"とは別の封じる力と言いますか、
封印と言うよりは……"束縛"?ううん……何か違いますね。むう。
[ふと周りを見て、まだ挨拶をしていない者を見れば深く腰を折って頭を下げる。
お辞儀をする度に下がる眼鏡を人差し指であげつつ、ブリジットの横へと体を寄せて]
…こんなこと、初めてですね。
[ザムエルの方へも視線を向けながら
そのまま目は西殿を上まで見上げる。]
…えぇ、その可能性が。
[伝わる言葉に頷きつつ。]
干渉を受け、バイパスとなっている何かが…
いや、十中八九…何者かが居るね。
おそらくは、二つ。
[休職中とはいえ、封印管理の任にあった竜。
結界術に関しては、かなりの知識をもっていた。]
[ぱたぱた、 ぱたり。
乾いた足音と点々と草木の跡を残して、回廊の中央で仔が立ち止る。
何事かと巻きついた腕からゆるりと顔を見上げるも、何と言う事では無かった。
…父も居らぬ、見知らぬ場所で不安であるに違いない。
幼子は、酷く泣きそうな顔をしていた。
涙こそ零しはしないが――平然としているとは言えぬ顔。
先ほどから聞える王の声も、今では不安を助長させるばかりか。
嗚呼、私が姿を取った所でどれ程の慰めに足るか。]
あら心配してくれるの?優しいねぇ。
[何でもない、と言葉を途中で遮ったにも関わらず。
オティーリエに前向きに解釈するのはいつもの通り。
それでもへらりと向ける笑みの気配は、弱いものではあったが。]
…そういうそっちは、何を願ったんだ?
[問いかけは、軽い笑みと共に。]
[混乱は失った青年の力を速やかに補ってくれたが、同時に起こる大きな心の動きは波となり心話の声を遠ざけた。
記録に意識の一部を確実に割きながら後ほど声を返そうと決める]
詳しい話はまたいずれしましょう、クレメンス。
オティーリエも――…無理はせずに。
[返した心は疲れを覚えていますからと労い、*青年の声は消えた*]
実践ありがとうございます、焔の。
[少しだけ熱気に当てられながら、得心したように頷く。
老地竜の発言には、ゆるりと首を振って]
封印の中であれば、力も抑えられてしまっている、というのもありですね。
……といっても、本当に現状対応策が見つからないのもまた事実、なのですけど。
遠くに見ただけだが。
容易に解くことは出来なかろうな。
此方にも同様の言が伝えられた。
もしかすれば――「あれ」の干渉か。
[ 揺らすもの。
口にするのも煩わしいと明示はせぬが。
一度緩めた歩を、再び、外へと向ける。]
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