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[全くじゃな、とクレメンスの言葉に同意しながら頷き]
何じゃ、お主も図書館か。
皆考えることは一緒かのぅ。
「揺らすもの」が干渉せしはその役目のため。
此度はそのために我らが竜王様達が捕らえられた。
これだけでも各竜郷への影響は少なからず出るが…果たしてそれだけに留まるか。
これは推測じゃが……竜王様達を捕らえることの他にも、確実に世界を揺らす事が出来る「何か」を狙ってくるとは考えられぬじゃろうかの。
[それはクレメンスだけでなく、この場に居る全ての者に向けた問い掛け]
うはは、オティーリエに殺されるのは悪くないんだけどなぁ?
ま、いっぺんくらいは死んでみたいもんだぜ。
[そのいっぺんは最後なのだが、軽く言い切った。
生命の竜でありながら、自分の命には無頓着もいい所の発言ではある。]
あら違う?
罪滅ぼしかどっちかと迷ったんだけどな。
[希薄な笑みは浮かべたまま。
だが内心予想は遠くなく、と受け取ってはいたが。]
[反する対にも関わらず、目の前の風竜の子に対しては肉親にも似た感情を有していて。相手も懐いてきてくれるために普段は対であることも忘れそうになる。会う度に撫でるのも、その意識がやや薄れつつあるためであろうか]
正しくは竜皇殿に戻るための土産、かの。
飴玉を調達しようと思うてな。
[ティルの問いには何を買いに来たかも口にする]
お、よおティル。ああ、さっきから聞こえてた音はお前だったのか。
あー、いいな。ここからでも風なら何とか抑えはきくのか。
こっちは何にするにも、一旦戻らねぇと拙いのがなぁ。
[もっとも自分は王とはちがう。戻って何をするにも、どこまで知から及ぶかは分からないが。
元々少ない生命竜、手が足りないよりはましだとは思った。
尤も今は、まだ帰れないが。]
ん、ま、買い物は後から、かな。
東殿で休めるんだ、あんがとね。
[別に野宿でも気にしないけど、とは一応言わず]
んー……別に、敬称なくてもいいんだけど。
ま、様よりはそっちのがいっかな。
[正直、エーリッヒに『さん』づけされるだけでも大概こそばゆかったりする]
飴玉かあ。
爺ちゃんの定番だもんな、それ。
今は、ちっちゃいのも多いし、あるといいかも。
[問いの答えに納得しつつ。
ザムエルが場に向けて投げた問いには、やや、思案の素振り。
肩のピアも一緒に腕組みポーズ]
ん、いちお、『風鎮め』をねー。
抑え、っつっても、こっからじゃ一時的。
本気でやるなら、蒼天の座までいかねーと。
[クレメンスには、ちらりと空を見やりつつ、こう返す]
いっぺんだって殺したくはありません。
あなたのせいで自分の手を汚すなど。
[いつもどおりの装いは、まだ被ったまま。
それでもどこか、いつもよりも少し深い場所から、感情があふれ。]
……わかっていても、割り切れないだけですよ。
本物が二人でなければ、意味はなかったのに。
[最後の言葉は、闇の中に消えるように、ほんのかすかに零れた。]
「何か」ね…。そんな大事なモンってあったっけ?
少なくとも俺は聞いた事無いんだが。
[知識はそれなりに持ち合わせてはいるはずだが。
知らないと、肩を竦めるさまは本当に知らぬよう。]
爺さん心当たりねぇのか?
[んーと、先ほどまで図書館にいたと言うザムエルに、成果を尋ねる。]
まぁ年の功の言う事はたまには素直に聞くといいんだぜ。
[感じる不満の色にもへらり、軽く告げ。]
まぁ今現在大嘘ついて竜都騒がしてる張本人だからなぁ。
騒ぎの方は…まぁ結果次第だ。
適当に気をつけれ。
あなたのいう事を素直に聞いては、自分がだめになる気がします。
[軽く言い切った。
それから少しの間をおいて、すこしわらう。]
嘘はつきなれていますから。
――はい。気をつけます。
そうした呼び方には慣れておりませんもので。
よろしければこれでご容赦下さい。
[僅かな困惑の色を瞳に浮かべながら、ティルに謝った]
[三人三様の反応を見てから、言葉を発すために小さく息を吸う。エルザの返答には一つ頷き]
……竜王様達が所持せし「力ある物」。
数ある中でも強大すぎるが故に分かたれた二つの剣。
「力ある剣」の存在を、聞いたことは無いかの?
[再びの問い掛け。目の前に居る三人を順繰りに見る]
あら愛されてるわ俺。
[真逆の意味をさらに回転させて良い向きにして受け止める。
オティーリエから溢れかける感情には気づいたか。
気づいたところで、態度は薄ら笑みのそれを崩さないが。]
そんな二人に拘るものかね。
片割れと一つである事はそんなに不服か?
『本物』が、何を指すかは知らんけど。
俺は――――
[と、口にしかけた言葉に、笑みとは違うものがまざりかけて。]
…っと。何でもない。
[再び、へらと笑いの感情をのせて、言いかけた言葉を閉じた。
混ざった感情は、波のように今は引いた。]
― 竜皇殿・中庭 ―
……また。
[ 投げられるそれぞれの科白に、ノーラは首を縦に振るか横に振るかで応じて、一人、また一人と離れ行くを、再会を願う別れの言葉を短く告げ、見送った。
誰の――対の一たる闇竜オトフリートの感謝に対しても、それは同じだった。
異なる様子を見せたのは、心竜アーベルのレンズ越しの紺碧へと向けた、物問いたげな眼差しくらいなものだったが、問いが明確に発される事はなく、合わぬ視線故に、彼が察したかも分からぬ。
話し相手が去ろうと、影は其処から動く様子もなく、樹の傍らに、再び*腰を下ろすのだった*]
や、謝らなくてもいいんだけどー。
[エルザに向け、困ったように言って。
ザムエルの言葉に、軽く、首を傾げる]
力ある……剣?
人間界の伝説で、たまーに聞いたりする、あれの事かな。
……あれって、竜王管理だったんだぁ。
[場違いなくらいしみじみと言ってみたり]
……そうですか。
[もうそれ以上言葉を重ねたくないというように。
その話題は切って。]
一人は、半分でしかありませんよ。
[彼の事情など知らない。ただ、身のうちを見るように、下を見て。
ふと、続く言葉が途切れ、考えずに言葉はついて出た。]
――あなたは?
[何でもないと言われ、問いを重ねることもないけれど。]
剣?
…………あー!あるある。聞いたことくらいは。
興味ないからド忘れてた。
[元々、長き時により蓄えた知識は膨大。故に多い引き出しから該当するものを選びだす事は容易ではなく。
また傷をつけるものにはあまり興味をしめさなかったからか、奥底にしまわれた知識はすっかり忘れられていた。
ぽんと手を叩いて。]
…で。
それを揺れるものが狙ってるってことでいいのかね?
はい、私は我君より聞いたことが。
その力は半端な者では支えることもできないと。
[ティルやクレメンスの反応を見ながら*そう答えた*]
[再び三人の反応を確認してから]
「揺らすもの」が狙っているかの確証は無いが、影響を与えるに十分な代物ではないかと思うて居る。
分かたれた二つの剣の片方だけでも大きな力を有する。
そして「分かたれた」と言うことは、元は一つであったと言う事。
仮にそれが一つとなり揮われたとしたら……。
[一度言葉を切るが、直ぐに調子を戻し]
と、そこまで行くのは考えすぎやも知れぬが。
しかして強大な力を有する物が奪われるは事実大事。
狙うに値するものなのではないかとは思うのぅ。
んでも便利っちゃ便利だよな。
こっちは向こうの、生命の海の詳しい様子も不明瞭だし。
1日2日で腐るようなもんでもないが。
ちと他の奴等にも状況話してやらんと、姐さん信者が悲鳴あげてるだろうし。
[信者=側近だが。
ティルが見た空を、こちらもちらりと見上げる。
今は疾風竜が吹いた笛の音の為か、見える範囲で変容は見当たらない。]
[基本的に剣は使わないせいか、やっぱり興味は薄かった。
更に、伝説の類にもさほど興味があるわけではないため、必死で記憶を辿りつつ]
んー……。
人間界で聞いた伝説じゃ、最終兵器扱いだったしなぁ。
っつか、そーゆーのが飛び込むとか、それだけで人間界とか大揺れだし。
世界揺らすのが目的なら、それ狙いってコト、なのかなぁ。
[薄い笑みは続いていたが。オティーリエの問いに、それはゆっくりと消えていった。
代わりにゆらりと、首をもたげるのはほの暗い。乾き。]
それでも始めから一つなら。失ってから苦しむ事はない。
[それから再び、笑みが浮かぶ。
だがいつもの軽薄で軽いそれとは違い、暗く深い、どろりとしたもの。
仮面の下の、その一部。]
…俺も、双子に近い『片割れ』が居たって事だ。
[告げた言葉はそれだけだった。
告げ終えれば、暗いものは引いていき、沈黙の後、再び常の彼にもどった。
正確には双子、ではない。
自分と片割れの関係を、この世界の言葉にするのは少し難しかった。
半身であり、妻であり、子であり、そして己でもある。
今は裏切りにより失われた、己が真の対。]
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