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[示されていた金額を払い、丁寧な手付きで首輪を前掛けのポケットに入れる。現金で渡したのは、もちろん指一本分のみ]
あァ、そういや何かリクエストはあるかい?
今ならいい栗があるがねェ。
[特に無いなら渋皮煮にしようか、それを使っての菓子にしようか考えながら無口な青年に問いかけた]
─広場/少し前─
んん……そんなに大掛かりな事にはならないと思うから、大丈夫ですよぉ。
[手伝う、というエーリッヒの言葉に、思案をした後、こう返す。ヨハナの視線には、菓子へ意識を持っていかれていた事もあり、気付いてはいなかった]
それじゃ、ボクは一度診療所に戻りますね。
雑貨屋さんのお薬、用意しないと。
ちょっと、待っててくださいねぇ?
[菓子を平らげた所でアーベルに向けてこう声をかけると、足早に診療所へと戻ってゆく]
─診療所─
[診療所に戻ると、出迎えたのは何やら落ち込んだ様子の箒。それを訝りつつ、中に入って薬の準備をする。
その辺りの手際の良さだけは、普段の暢気さとは大分かけ離れているのだが]
これから、寒くなって、必要になる人が増えるといけませんし……。
少し、多めに用意しておきましょうかぁ。
御師匠様も、いつ戻られるかわかりませんしねぇ……。
[ふう、と小さくため息をついて作業を進め。
一回分に小分けした薬の包みを袋に詰め、色違いのリボンで口を結ぶ]
これでよし、と。あとは……。
[頼まれものの薬をバスケットにいれ。
その横に、色鮮やかな液体を満たした硝子の瓶を何本か入れる]
……試薬は、このくらいで十分かしらぁ?
[試薬って、なんですか]
ちぇー、しけてるにゃ。
―― 村の中 ――
[ぱりぽりぽりと固いクッキーを齧りながら、ぷらぷらと歩いている。ちなみにちょろまかして来たのは仕事熱心の余り留守がちな自衛団長の家からだったりするのだが、固くて(文字通り)湿気りかけたその味は、ヨハナの家の焼きたて菓子とは比ぶべくもない]
[ともあれ、用意した薬を持ち、再び、白い鳥と共に外に出る。
まだ落ち込んでいる箒を宥め、不審者に気をつけるようにと注意してから、再び広場へと]
─診療所→広場─
はぁい、お待たせしましたぁ。
こっちの、青のリボンが解熱剤、赤のリボンが咳止め薬になりますから。
それと、後でお邪魔しますから、と、雑貨屋さんにお伝え下さいねぇ。
[広場に戻ると、アーベルに薬を渡し、ついでに伝言を頼んで]
……それじゃ、ボクはちょっと調べ物に行ってきますねぇ。
[場にいる人々に手を振り、森の方へと歩き出した]
[シュトルーデルで満たされたお腹の筈なのに、栗のことを考えればまた口の中に唾が広がる。]
ウェーバーさんはいいなぁ。
あんなお菓子をいっぱい作れるなんて、魔法使いみたい。
[そう呟くと、呼応するように聞こえるのは隣で同じお菓子を頬張る青年の申し出。]
アーベルさんも魔法使いか……って十年も旅してるの?
すっごーい!
[ひゅうと口笛を吹いて、ミリィと対して違わないように見える相手をまじまじと見た。]
以外と年寄りなんだね。アーベルさん。
[評価は良好。
ひとまず安堵の息を吐き、頭を下げた。
ツィムト本人(?)が天敵の作品をどう思うかはさておき。
受け取った金額を掌の上で数え、ポケットの中にしまう。
リクエスト、の言葉には少し考え]
…何でも。
[あまり詳しくはないようで、結局はそう答えた。
それが色付けの分だとは気付いているのやら]
ティー君じゃないね。
[ほのぼのとリディに答えた。]
あはは、魔法使いって。
料理は慣れたら作れるよ。リディちゃんも、きっと得意になると思う。
……でも年寄りじゃないと思うよ。
一応、22歳だと思うし。
[こっくりと頷いた。]
[どこかへ行ってもどってきたミリィには、うんと頷いて。]
わかった、伝えておくね。
さて、待ってると悪いからおれも移動しようかな。
雑貨屋さんに行かないとね。
さぁて、と。
どの辺りなら、良いかしら。
[ぶつぶつと呟きながら、森へと向かう。
調べる、と言っても、実は探査や調査と言った力の使い方は、苦手な部類なのだが]
……この違和感が、何か、結界的なものであるなら。
それなら、ボクの専門分野なのですけどねぇ……。
[呟く表情は、やたらと真剣だったりする]
ご飯作って欲しそうな人だったら、自警団長さんちとか。
村の平和を守るのに忙しくって、ご飯を作る暇がないんだって。
母さんがたまにご飯持って行ったりしてたよ。
[自分の分を食べ終えて、寂しげに空になった袋をたたむ。]
22歳?
じゃあ、あたしくらいの時から旅してたの?
[推定の言葉には気がつかず、ますます目を大きく開けて、童顔の青年を見た。]
[お菓子に未練はたっぷりあっても、ヨハナの家に取って返す気はない。何しろ今、あそこには恐怖の「マタタビ」があるのだから]
ううう、すっごい良い匂いだったにゃ…
[ちらりと届いた匂いを思い出してぶるると身体を震わせる。その良い匂いこそが曲者だ。猫妖精にとってマタタビは魔薬なのだ(誤字に非ず)その魔力に取り憑かれてしまったら、二度と猫妖精の国には帰れない]
おや、そうかい。
なら任せてもらうとするかねェ。
[支払い金額に文句は無い様子なので、ツィムトの様子を見てから作る物を決める事にした。新鮮な卵もあるし腕の振るいがいがある]
それじゃァ、一度戻ってツィムトにつけてみるさね。
どォんな顔するか楽しみだ。
[にんまり笑って手を振り、家へと戻り始める]
さて、とあたしも村の平和を守る為、不審人物探しでもするかな。
[アーベルとミリィを見送って、暇になったから立ち上がる。]
皆が見てるのにあたしだけまだ見てないなんて、流行に乗り遅れちゃうよ。
あと、栗は何のお菓子になるのか調査しなきゃ行けないし、昨日は結局たどり着けなかった崖崩れも見なきゃだし……。
勉強してる暇なんて無いね!
[嬉しそうににっこり笑った。]
[しけたクッキーも齧り終え、今度はどこかでミルクでもちょろまかそうかと思っていると、森の方へ向かうお下げ髪の少女の姿が見えた]
箒の魔女にゃ?
[何やら真剣な面持ちに興味がむくむく、こっそり後をついていく]
[頷いて、ヨハナを見送り。
まだ残っている人がいたなら軽く手を上げて、広場を後にする。
次の仕事に取り掛かるべく、取り敢えずは店に戻ろうかと、通りを歩き出した]
― →通り―
─森─
[ついてくるものがいるとか、気付いた様子もなく。
相変わらず、違和感を感じる森の空気に、むぅ、と眉を寄せ。
肩の白い鳥をちらり、と見る。
鳥はこくり、と頷くと長い尻尾を器用にくわえ、羽根を一本抜き出した]
とはいえ……何となく、予測はできてしまっているのですけど……。
でも、当たっていたらいたで、どうしてなのかしらぁ?
[小さな声でぽつり、と呟きつつ、バスケットから緑色の液体の入った硝子瓶を取り出して。
瓶の中身を少しだけ、白い羽につけた]
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