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[アーベルの言葉にきょとりとして]
……だって、別の場所のことまで私には把握できないし
[つまり他で何かやらかしてる可能性あるとみてるわけですね
わかります]
っと、私そろそろ行かないと
お祭りのことでちょっと話してこないといけないんで
[そう言ってぺこりとお辞儀
そして立ち去り際に、ああそうだ、と呟くと]
……帰る家があるなら、そこに帰った方がいいよ
[アーベルに対し、肩越しにそれだけ言う
僅かに覗けた顔は、少し寂しそうな色を*浮かべていた*]
[ライヒアルトの苦笑いの意味をいまいち理解してない様子で、少々的外れめいたことをレナーテが言った]
いや。
殺気に関しては、実際に感じてみれば結構分かるもんなんだよ。
首の後ろ側がピリピリした感覚なんて、そうそうないからね。
ただ、それに反応できるかどうかってだけさ。
―――感じてみるかい?さっきの侘びに今ならサービスで無料にしてやるよ。
[鎧は着てなくとも、剣だけはいつも腰にさしている。
その剣に軽く手を当てながら、そう問うた]
[足を踏まれかけている事には気づかずに。
いや、腕の隼は気づいていたのだが、当人はそちらに意識を回す余裕がないようで]
姉さん、そこまで言うか……。
[ぼそ、と呟いた後。
首を傾げるカヤの様子に、音を散らす風を巡らせて]
結構、噂、広まってるみたいだけど。
……旅人が一人、行方不明になったらしい。
他にも、それっぽい人がいるから、爺様、警備強化に余念がないみたいだった。
金は、払って無いぜ。
あ、いや、そうじゃないんだ、アレじゃなくて。
貰ったんだ!何なら、証人も居る!
[と、視線をゲルダに移した所、彼女が去る所だったから
手を振って、またな、と声をかける。
やけにそわそわしたのは、スリをして捕まったりした時を思い出したせい。]
と、ああ。
それじゃ、またなー。
[立ち去るゲルダにひらり、と手を振るものの。
立ち去り際の言葉。
向けられた表情と共に、その意を測りかねて、一つ、瞬いた]
今のレナさんでも助けにならないなんて……どれだけ強いのかしら。
[とりあえず想像できる範囲を超えている。目の前の剣士の胃袋も十分に破天荒だ]
150G……何とかならない額じゃないわね。
あ、ええ。相場は大体わかったわ。ありがとう。
[金額を聞くと右手の親指の爪を噛みながらつぶやいた後、レナーテに笑いかけると、修道士とのやりとりを眺めている]
ぁー…
面倒くせぇな。
爺っちゃんの自警団も結構やるなぁ。
[アーベルから言葉を聞いた直後
口の中で出た感想は、本音。]
旅人が行方不明になったとか、噂立ってるらしいぜ。
どっちかがやったんか?
[どちらかがやっててもどちらもやってなくても
取り敢えず自分の仕事はふたりの橋渡しなのだから
関係無いのだけれど。]
ああ、ちなみに
[道すがら、先程の寂しそうな雰囲気を一切感じることのない口調でそう言うと]
私もカヤちゃんを頼りにしてるからね
餅は餅屋に。『利用』できるものはとことん活用しないとね
[くすりとした笑みも通信機を通して送られるか]
ええ、また。
[お祭りのこと。彼女にも任があるのだろうかと考えつつ見送る。
弟に向け零れた台詞に、表情こそ見えなかったが、ゲルダの纏う空気に変化があったように感じられて、暫し、小さくなる背を見つめていた]
[なんだか不自然に笑う様子のアーベルの足の上に
力いっぱい、だん、と一度自分の足を落とそうとしてから
その紡がれた言葉に、翠の目玉を見開いた。]
そんな噂、立ってんだ。
まー祭りのせいで特に気になるだけなんじゃねぇのかなぁ?
[首を傾けて、からからと。]
そういうものですか。
[実際に受けたことがないから、いまいちピンと来なかったようだ]
…い、いえ。
結構ですよ?
[剣に手が掛かるのが見えて、少しばかり後退り。声も上擦った。
今の彼ならそのまま剣の錆になりかねない]
狼少年の話って知ってる?
[大人しく返された了承の意には、何も付け加えなかったが、
弟の呟きを耳ざとく聞きつけ、口の端を上げて言い放った。
平時の行いを知れ、と暗に言っていた]
[音が散漫になるのを感じる。
風と親しいわけではないけど、それだけは分かった]
「利用」しようとしてるモンに「利用するよ」っていうって、結構図太ぇ神経してるんなぁ!
[先ほどのやり返しの心算か
少女の声は、少しばかり大きく端末に響く。]
ん、でも勿論いーよ。
俺もその心算だし。
ああ、そうなの。
[カヤの発言に、一つ頷きはしたが。
翠眼は、そわそわとする少女をじっと見つめた]
アレって、なにかしら?
証人が必要になるようなことでも、したことがあるの?
[失踪事件の話題が続いても、視線は動かない。
怒っているのでもなく、諌めるでもなく、質問を重ねる。
アーベルならば、散々問い詰められたことは記憶に深く根付いているだろう]
アタイなんて、精々山の3合目を登った程度さ。
親父でやっと8合目くらいにはたどり着いたんじゃねえかな。
頂上はまだまだ遠いよ。
[優しげな笑みで答えた]
まあ、相場っつうか、アタイ個人で請ける仕事は、大体アタイの胸先三寸なことが多いんだけどな。
一応、メシに一緒に行く仲だからサービスしてんだぜ?
[仕事の話には、片目をつぶって答えた]
い、いやほら、えーっと、小汚ぇからさ、俺。
強盗とかスリとか疑われるんじゃねえかなって!
べ、べべ別に過去に何かどか、別に、ねぇよ!
[質問責めてくるエルザに、しどろもどろで何故か背中を汗が伝う。
思わず、アーベルの後ろへと隠れようとした。]
あー?
[カヤからの問いに少し思案していたが]
……んー、私がやった方かもしれないし、ライくんがやった方かもしれないね
その話だけじゃ、露見したのがどれかわかんないし
[つまりはそれだけ既にやっていると言うこと]
[そして、続いての言葉にくすりと笑うと]
だって、利用し利用されるのなんて『当然のこと』でしょ?
でも私は優しいからねー。『使い捨て』る気は『あんまり』ないから安心していいよー
ま。そういうなって。
人生でこういうのを試しに受けることなんて、まず無い出来事なんだからよ。
恐怖は飼いならせば、良い武器にもなるしね。
[上擦った様子で後ずさりするライヒアルトに笑いかけるが―――次の瞬間に表情は一変。
愛嬌があり、人を惹きつけていた顔が、獲物を刈り取る捕食者のそれになり、殺気が膨れ上がる]
『―――っ!?』
[道行く人々が、周りの感覚の変化に息を飲み、近くに止まっていたカラスが身の危険を感じた様子で、慌てて飛び立った]
ハァ―――ッ!
[触っていた剣を掴むと、一瞬で抜き放ち、ライヒアルトの首元へ伸び―――]
―――と、まあ、こんな感じか。
[その首元に当てられた、巨大なスプーンを持って、レナーテが笑った]
……それだけなら、いいんだけど。
[詰め所前で聞いた話。
そこから感じた確信は、表情を陰らせて。
姉の言葉と笑みには反論のしようがなくて固まっていたから。
カヤが後ろに隠れるのを、止める間もなく]
……ちょ、おま。
なんで、俺の後ろに回るんだよ?
[矢面に立たされて、ちょっと焦った]
[そのスプーンはどこからともなく出てきたかというと、そういうわけでもなく、レナーテの手元を見ると、それはやはり先ほど持っていた剣であることは間違いが無かった]
……しっかし、今回はスプーンか。
色々なもんになるね、お前。
[そう呟き、自分の剣の変化した姿を見つめる]
あははー。どんな道でも、極めるのは至極困難ってことね。
だから面白いのかしら。低い山に登っても、そこからの景色はたかが知れてるわね。
[アタシは商人の山にまだ登り始めたばかりね、と]
ええ、わかってる。ありがとう。
こっちからは、それ以上負けて欲しいなんて言うつもりはないわ。
……ふーん?
[笑っても怒ってもいない顔。
じいっと見つめたまま、カヤに顔を近づける。
隠れようとするのを認めると、身は引いたものの]
そういう風に慌てるのは、
悪いことをしたって思っているからじゃないかしら。
自分のしたこと、ちゃんと見つめないとだめよ。
[人差し指を、親指で押さえる。
離れた位置ではあるものの、カヤの額辺りに高さを固定して、ピンと弾いた]
さてね。
[素っ気ない返答。
直接的にはやらなくとも、もう1人が実行したのなら、逃げ道の確保等補佐的な役割は果たしただろうか]
団長が上手く纏めているからね、あの組織は。
彼がいなくなればどうなることやら。
[何気なく呟く。
同業者の歯に衣着せぬ物言いには、嘆息めいたものを洩らしたのみ]
つかいすて?
[少女は、ぎくりとした心を気づかれぬよう、飲み込む。
一度喉を上下させてつばを飲み込んで]
あ、…ったり前だろ。
裏の仕事ってなーそういうモンだ。
[低い声。
震えないように、ゆっくり。]
っ、ってっ!
[額を弾かれ、小さな少女は背を反る。
両手で押さえ、うー、と呻いて]
…―なんか、この、逆らねぇ………
[低く低く、アーベルの背に更に隠れて唸った。]
[目の前の女剣士の表情の変化と、ぴりり伝わる殺気に、身の毛が弥立つ]
なに、これ……
[息を飲もうとして、飲み込めない。その空間だけが止まったような感覚。速すぎる動きは目にも止まらず、気付くと喉元にスプーンを突きつけられた修道士の姿が目の前にあった]
[半開きにした口から空気の漏れる音。やがて]
スプーン?
[事態が飲み込めず、不思議そうな視線をレナーテへ]
団長?って爺っちゃんか。
邪魔なら攫っちまえばいんじゃねぇ?
俺、細かいスケジュールとか抑えてるし
――俺の名前で呼びだしたりも、できるぜ。
[手で額を抑えたまま、低い声でぶつぶつと呟く。]
だな。
どの道も険しい道のりでショートカットなんて無いってところも一緒だな。
高いほど、登りがいもあるし。
ま。どの道を登ってる人間にしろ、助け合うことが出来るからなお楽しくなるもんさ。
だから、良かったら、雇ってくれよな。
アタイもいつまでこの街に居るかは分かんないから、早めにね。
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