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ブリスの得物にさすがと思った俺がいる。
まあ、闇焔もぎりぎりボーダーだし。
別にいいんじゃないかな! とかとか。
[ベアトリーチェの手により祭壇に嵌められたルビーオーブはわずかな光を発する]
おぅ、しばらく休んでおけ。
他の連中が戻ったら下に移動するからな。
[各所に繋いだ次元を確認しつつ、かけられた声にそう返す。
生徒が戻って来れなくなる可能性は、とりあえずは無さそうだと判断して]
[弓形態になったそれは、彼女の前方にフヨフヨと浮遊するのみ。
そうして、続けて彼女が唱えたのは水精との正式な契約呪文。]
「水底に 眠る姿ぞ 美しく 水面に踊るぞ 麗しや
彼の踊り すべてを魅了し すべてを水中(みなか)へ 誘わん
碧の濡れ髪 乾かし遊ぶ 汝の美を
水面に浮かぶ鏡以て 写し取らんと 皆藻掻く」
[それと同時。彼女の周りの水球がシュンシュンと白い霞と掻き消える。]
[ゲルダが感じたように、ゼルもまた体の異変に気づいた]
(スロウムーブ!? 追風の効果が打ち消されたか!)
[即座に再度追風を使おうとするが、そこにウンディーネの触手のような水の鞭が彼を襲う。おかげで追風に必要な集中を練れず、じわじわと壁際まで押し込められていく]
このままじゃ……せめてこれくらいの支援は……。
[そうして口にしたのは破壊力向上であった]
Vento Impedimento che veglia funebre di persona
〔風よ、かの者を目覚めさせよ〕
Un foehn Sulla terra!
〔風炎一体!〕
[風の精霊が走り、炎を更に猛らせてゲルダの攻撃力を上げた]
─スタート地点─
[続いて到着したのは地エリアに居たライヒアルト・ナターリエ組]
お、お疲れさん。
キーアイテム、ちゃんと取って来たかぁ?
[少しばかり呆然としてしまったが、慌てて詠唱を再開する]
…その身は鉛の如く。
―― Slow.
[水精の気配に気を取られたか。
俊敏を性とする風の動きが魔力に引きこまれて大きく鈍った]
これはまた。
[魔法を発動させると改めてブリギッテの前に浮かぶ弓を見た。
唇は弧を描き、菫色も輝いている]
[白い霞は彼女の手に集まり、彼女はそれをシルフに向ける。
その霞の正体はいわゆる霧。ひんやりとした空気が彼女とシルフを結ぶ。
そうして、指三本で拳銃の形を作ると、]
バン。
[同時、パンと言う音とともに衝撃波がシルフを襲う。]
─スタート地点─
[今までほぼ暗視だけで物を見ていたせいか、スタート地点の柔らかな光も少しだけ眩しく思え、天鵞絨僅かに細め]
取ってきましたよ。
……これで、間違いないんでしょ?
[導師に答えつつ、示すのはトパーズオーブ]
いくらなんでも、これでフェイクがある、ってのはないでしょうし。
[それ、どんな認識ですか]
[ウンディーネの足元の泉から、水の塊が盛り上がる]
[塊は一気に、泉に元々あった量の数倍に膨れ上がると、全てを押し流すタイダルウェイブとなった]
[同時に二人には対処できないならと、まとめて押し流すつもりなのだろう]
.oO(だが!)
―はぁっ!
[踏み込みから、一閃]
[剣尖から紅蓮の雪崩のごとき火炎がほとばしり、津波とぶつかり合う]
[炎は水を蒸発させるとともに高熱の水蒸気爆発を起こし、水の壁を吹き飛ばして相殺する]
[いや、それだけではない]
[風の援護を受け凄まじい勢いをもった炎は、津波を乗り越えなお威力をもってウンディーネへ達した]
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しかし、だ。
二層探索。
このペア、どっち行っても面白いというか。
……どっち行っても、闇焔暴走フラグがたちそうなんだけど!
もさけももーどの発動はあるやらないやら。
─スタート地点─
ん、間違いないな。
まー、わざわざ偽もん作る奴も居ないだろうし。
[機鋼学科の参加者が居ないのでまず無理だったりする]
流石にフェイクは置かねぇよ。
フェイクを置くんだったら、もっと違う内容の試験にしてるさ。
そんじゃそれ、あそこの祭壇の窪みに嵌めてきな。
[先と同様に、中央にある大理石の祭壇を示し促す]
[動きを阻害されたことで更に怒りを増したのか。
ブリギッテから放たれた衝撃波と交錯するように飛んでくる風刃]
マナよ刃となりて貫け。
―― Energy Bolt!
[左肩口を浅くなく裂かれながらも攻撃を優先した。
逆の肩の上で、みゅうという鳴き声。
畳み掛けての攻撃にシルフの動きが速度だけでなく鈍り始める]
[続けざまに、ぱんぱんと破裂音が響き、後に残るは形状維持もままならないシルフの姿。]
[今の現象。これはいわゆる水蒸気爆発の応用である。
霧状の水分が高温の媒体によって一気に膨張することで、周りの空気を押しのけることで衝撃波を発生させると言うもの。
ちなみに高温触媒は圧縮空気。]
[もちろん、彼女が原理を理解しているわけでなく、『やってみたら出来た』程度の認識度。
かつ、発動に時間が掛かる&威力に容赦が出来ないため、対人実戦ではとっても使い勝手が悪いのである。]
ふう、おわったよー。
[そう言ってにっこりとカルメンに笑いかける。
先程の所業の後だけにちょっと怖い。]
作れたって、作るヤツなんかいるんですかと……。
[思わず突っ込んだ]
ま、あれだけ色々仕掛けてあってその上で、ってなったら。
さすがにやり切れませんけど。
[色々と埋もれかけた事を思い返しつつ、大理石の祭壇に向かい、オーブを嵌め込む。
ふわり、と。淡い色の光が舞い散った]
……で。
後は、全部そろうまで、休憩時間、ってとこですか。
[ブリギッテの起こした衝撃波はシルフの姿を散り散りに。
流石に冷や汗が一筋頬を伝ってゆく]
はぁい、お疲れさま。
[笑い返す表情が強張っているのは怪我のせいか。
それとも何とも言えない恐怖心のせいだろうか]
凄いわねぇ。
まかせっきりでも平気だったかしら。
[ゲルダの一撃のおかげだろう。ゼルの牽制に使われていた職種のような水が引き、受け止めるべく壁となっていた。しかし、風の加護を受けた一撃は水の壁すら打ち砕き、ウンディーネに達した]
と、あれはまずい。
[おそらくあの一撃は生半可のものではないだろう。恐らく下位精霊であれば一瞬で蒸発してしまうと思われる。さすがに精霊の危機にゼルはウンディーネを保護するために簡単な精霊力の譲渡を行い、ウンディーネが死なないように手を打った]
ウンディーネがいなくなったら、近辺のバランスも崩れるしね。
[その言い訳は誰に言ったのやら]
昔やった馬鹿が居てなー。
勿論、本物じゃないのは直ぐ解る。
試験に対するあまりの不真面目さに、トラップ倍増して本物取りに行かせたことあったっけ。
[さらりと言って、懐かしーなー、とか言っている。
トパーズオーブが祭壇へと嵌められ、光が散るのを確認してから]
ん、全員揃うまでは休んでて良いぞ。
集まったら下へ移動する。
「―!!」
[火炎を受けて、ウンディーネの動きが一瞬止まる]
[その隙を見過ごす筈もなく一息に距離を詰めると、躊躇なくその胸に軍刀を突き立てた]
動くな。
安心しろ、炎は消してある。
[二言目はゼルギウスに向けて]
[さらに、己の胸に突き立てられた軍刀を見つめ、身じろぎもできないウンディーネへ告げる]
水には鉄の刃は通じまい。しかし、今この剣に炎を纏わせれば、どうなるか、分かるだろう?
…勝負ありだ。
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