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―二階・客室―
[二階のブリジットの部屋へと顔を出して、そこに居るロミルダに交代に来たと伝える。
ぺこりと頭を下げて下に向かう少女の代わりに、その椅子に腰掛けた]
[とはいえ、自分に出来ることはそうなくて。
見守るブリジットが目を開けるのに気がついて、驚かさぬように声を掛けた]
気がついたか?
何って、勘だけど?
…外れてるなら、それはそれで構わんのだが。
だが、しかし。
おまえは、そう変わってないからな。
音も含めて素直なんだよ。
[肩を竦め、柔く笑う]
なーんか、上手く言葉にならんけどさ。変な感じ、する。
─広間─
[階上を降りて来る足音が聞こえる。
音色を聞いて居てもそれを知るくらいの余裕はあって。
交代を頼むダーヴィッドの声とそれに応じるハインリヒの声を聞き、反応したのを示すように顔を少し動かした。
その後は扉の開閉の音が聞こえ、階上へ向かう足音を聞き。
そうしている間に聞こえて居た音色は止まっていた]
…お、しま、い。
ざん、ねん。
[音色を思い出しながら、胸元のオカリナへと触れた]
― → ブリジットのいる部屋―
[そっと扉を開ける。結局浮かんだのは一度顔を見ておこうという程度だった。我ながら面白みがないともいえるかもしれないが]
…ぁ。ハインリヒさん。ブリジットさんはどう?
[必要以上に騒がしくしないでいるつもりなために扉の外から声をかけたためブリジットが目を覚ましたのに気づいていない]
[きょろきょろと辺りを見渡すまでも無く、水差しが枕元にあったのを発見すると、一杯コップに入れて飲み干す]
……んくっ。
ぷはー。
あー、この一杯の為に今日も生きているわい。がははー、なんつったりして。
[水を飲み干して一息つくとようやっとハインリヒがそばにいるのに気づいた]
あら。ハインリヒさん。こんにちわ。
それとも、こんばんわかな?
挨拶とは、季節をあらわし、今の時刻をもあらわす、人と人が触れ合うための、重要な一言であるとかなんとか。
[すでにいつものような調子の話し方に戻ってきていた]
―集会所外―
[自衛団員の視線にちょっとだけ身を竦めたけど、ダーヴィッドが言付けてくれていたお蔭か、咎められることもなかった]
大丈夫、ですか?
[腕に絵本を抱え、少し離れた場所で立ち止まって、2人を見る]
……そう、言われても。
[変な感じ、と言われ。柔かい笑みから、逃げるように視線を逸らす]
なんか。
色々。
思い出して。
子供の頃の事とか、かーさん死んだ時の事とか。
[それから、ぽつりと呟く]
それと……なんっか、ヘンに頭痛くなったりするしで。
自分でも、よく、わかんないんだよ。
[扉の外から様子を伺うゼルギウスに「大丈夫」と言おうとする前にブリジットが起き上がる]
大丈夫、落ち着いてるみたいだ。
[起き上がって水を飲んで喋りだす様子は、倒れる前の彼女と変わらずに]
こんにちわ、だな。
その様子ならもう大丈夫か?
とはいっても、急に動くと危ないかも知れんが。
[表向きはそっけないが、一応心配はしているようだ]
/*
ユリアンは何なんだろうな。
役付きであるのは確定っぽいんだけど。
この際だからさくっと表に出てさくっと返り討ちにされるの希望。
[話しながら、扉の向こうにゼルギウスがいたのにも気づき]
やっほー。元気?
[などと手を振ってみた。
そして、ハインリヒから返答が返ってくると、深々と頭を下げて]
うん。大丈夫。
えー、その説は色々と迷惑をかけまして、大変申し訳ない限りです。
ゼルさんも、色々と迷惑かけちゃってごめんね。
[ユリアンの話が聞こえて来て、ロミルダはきゅっと眉を下げて、また少し近付く。
ロートスが鳴いたので、視線をそちらに向けて、こくんとうなずいた]
…みたいだね。とりあえずよかった…なんかな
[外から声は聞こえた以上なんていっていたかも聞こえている。
ハインリヒの言葉に同意ほっとしたのか呆れたのか嘆息して、部屋に入り、手近な椅子に腰掛けて]
いやいや、元気って、ブリジットさんには言われたくないんだが。
ま、俺はなんもしてないから謝らなくていいよ。
[逃れる視線を追いはせず、僅か首を傾げるに留めた。
母の死については、洩れ聞こえた会話から気付いていたかもしれないが、改めて正面から聞いて、頷いた]
…何か切欠でもあったか?
頭痛…ああ、それで、少し鈍い感じがあったのか。
[ある程度は納得がいったよう]
ま、辛くなりすぎる前に頼れよ?おとーとぶん?
[ロミの声が聞こえたなら、ひら、と手を振った後、ユリアンを見る]
俺は何もしてないさ。
[ブリジットが頭を下げるのに、正直にそう返す]
ここまで運んだのはダーヴィッドで、細かい世話をしてくれたのはローザだ。
他にもロミルダやクロエや…まぁ、みんなだな。
起きられるようなら後で礼を言っておくといい。
[肩で鳴いた鸚鵡の声と、近づく気配。
そちらを見やれば、眉を下げるロミルダが見えて]
ロミっ子?
どしたんだよ、妙な顔して。
[ゆる、と首を傾げながら声をかけ]
――集会所2階・個室――
[エーリッヒを案内した後は部屋に戻り、窓辺に居た。
見張りの自衛団員や、「容疑者」らしき姿が見えた。
風に乗って微かに届く音色も。
途切れたのと入れ違いに、そっと、唇を開く]
Lulu lu ... La lala ...
[歌詞はない。
緩やかに流れる川に似た、穏やかな旋律。
頬杖を突き、眼を細めながら、か細く口ずさむ]
うん。
誰が何をしてくれたのかよく分からなかったから、とりあえず、適当に礼を言ってみた。
後悔はしていない。
[言いながらも、少し恥ずかしそうな笑みを浮かべ]
まあ、何もしてないって二人とも言うけどさ、こうして私の様子を眺めに来てくれたってだけでもありがたい話だよ。うん。
それだけでも、十分に礼を言う必要があると思うんだ。
他の人はまた、手当たり次第に礼を言いまくるんでご心配なく。
人と人の和を形作るのは礼を逸しないことであるという言葉もあるしね。
[切欠、という言葉には曖昧な笑みを浮かべるのみで]
まあ……なるべく、そうする。
[頼れ、という言葉に、少しだけ表情を緩めた]
……つーか、ほんと。
こういう時にいきなり兄貴風吹かすのも、変わんないよなぁ……。
[触れたオカリナを両手で持ち、口に当てる]
…♪……♪〜………♪…?
[奏でる音を探りながらオカリナに息を吹き込んだ。
メロディにはなっていない、未完成の音が控えめに広間の中に流れた]
…んー…むずか、しい…。
[首を傾げながらも、音を連ね続けた]
ですね。みな…だが主にその四人…男手で頼りになるのがダーヴィッドだけってのはなんとも情けない話だよなぁ
[ハインリヒがブリジットへとかける言葉に同意を返しつつ]
…そういやハインリヒさん。下が少しだけ騒がしかった気がしたけど。何かあった?
[いいながらもハインリヒに軽く目配せする。変な話題なら上手く誤魔化してねという合図だが通じるかは知らない]
―広間―
ん…。
[カルメンが首を傾げたのには曖昧な声だけを返す]
ダーヴさんお疲れ様。
そう、落ち着いたんだ。
良かった。
[ダーヴィッドとハインリヒの話に、ほぅと息を吐く]
よろしく、ハイン。
[交代しに上がるハインリヒを見送って暫くすると葦笛の音が止まり、少しして辿るようなカルメンのオカリナが響く]
難しいんだ。
ユーリに教われたりすればいいのにね。
[声は言葉のない音色を生み出し]
……そう。
[音のない声は言葉を紡ぎ出す]
場を作る かんせい させる
それにも 人 いるのなら
人を壊せば 場も壊れる
[穏やかな歌とは異なる冷徹な思考を]
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