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[更に聞こえた、ゲルダの声。
ふる、と首を左右に振る。
何か、振り落とそうとするかのように]
そっち、ダーヴに任す。
なんか、必要なものあるなら、物置からとって来るよ。
……ローザさんに、惚れちゃいそう。
[気を紛らわすためか、てきぱきと指示をするローザを見て、そんな感想。
意識を失ったらしいブリジットに不安の色は消えなかったが、傍らにグラスを置くと、小走りに駆け出していった。少しして、持って来た薄手の毛布を、ブリジットを抱え上げたダーヴィッドに差し出す]
かけたほうが、良いですか?
あ、あぁ、ありがと。
うん、ちょっと待って。
[ダーヴィッドに礼を言うと、すぐに個室のドアを開けベッドを整え]
ここに寝かせてあげて。
あ、顔は横を向けてね、もしも吐いちゃうと息がつまっちゃうから。
[駆け出したのは、彼女を助けたかったからじゃない。
その場に、じっとしていられなかっただけ。
何かから、逃げたかっただけ。
――きっと、何も、彼と変わらないに違いなかった]
ああ。
[ゼルギウスの言葉に、一つ、頷いた。
動いていないと、意識がどこかに持っていかれるような気がして。
何となく、それは嫌だったから、動こう、と思った。
とはいえ、頭が上手く回っていない部分もあるのだが]
あ、ユーリ。
手が空いてるなら、俺の荷物取って来て。
運が良きゃ、そこに煎じ薬も入ってるから。
[倉庫に向かいかけるその背中に声を掛け。
必要なら部屋の場所を伝える。
ハインリヒが落ち着いた様子を見たなら、軽く肩を竦めた]
あ…ごめん、カル。
ブリジットさんが気分悪いみたいなんだ。
[ぎゅっと握り返されている手に気づき、簡単に説明する。
ローザの指示で皆が動き出したのを見て邪魔をしないようその場で待機して]
薬…どこまで使って平気なんだろう。
単純な悪阻とは限らないし。
/*
つか、絶妙のタイミングで会議った。た(汗。
エーリのひとは大丈夫かにゃあ、と思いつつ。
相変わらず、泡沫系は女子が強いですね(待。
そこまでゼルに期待してないわよ、さすがにあたしだって妊婦の世話なんてしたことないし。
[打ち身やら擦り傷やらは日常茶飯事だけどね、と肩をすくめ]
かかりつけのお医者さんとかわかるといいんだけど、気失っちゃったから…側にいて様子見るくらいしか出来なさそうね。
あ、そうだ。洗面器とか用意しないと。
自衛団ってのはさ、こういうときにああいう人を守るためにあるんじゃねぇの?
[せめて厭味のひとつも言わなければ気が済まず。
ブリジットを運ぶダーヴィッドを見送りながら]
気をつけろよ。
って、オレよりしっかりしてるじゃねーか、あいつ。
なんか手伝えることがあったらいえよなー。
[二階に上がっていった背中にそれだけを投げる]
はぅ。
[意識を失ったブリジットを困った顔で見た。
移動が始まってしまえば、そちらで手伝えることはない]
えっと。
濡れタオルとか、お水とか、いるですか?
[ブリジットが熱を出していたのかは分からないが、周りに尋ねる。
肯定があったなら、ぱたぱたと台所に走る]
…ん?うん。ゲルダちゃんだっけ?
母体は冷やさない方が良いだろうし。
掛けて上げて?
[揺らさぬようブリジットを運ぶ足を止め、そう促して]
優しいね。
ついでにブリジットさんの身体をふけるように、水と布の用意頼める?
ん、りょーかい。
[ダーヴィッドの言葉に、一つ、頷く。
珍しく心配そうな鸚鵡の翼を軽く撫でると、教えられた部屋へと駆け出した]
……人狼、とか、なんとか。
止めてくれっつの……。
[一人になると、かすれた呟きが口から零れ落ちた]
[自衛団員は顔を見合わせて何事かを話し合い、団長へと進言をしたようだが、彼は頑として首を縦には振らなかった]
「――彼女が人狼ならば、その子もまた、人狼かもしれない」
[紡がれたのは、その一言。
だから、救うことは出来ないと。
団長程の熱狂さのない彼らには、戸惑いの色、居た堪れない色も濃い]
あらやだ、照れちゃう。
あ、毛布ちょうだい。
下半身を冷やさないようにしないとだし。
[ゲルダの言葉に少し冗談を言いつつ、毛布をみてありがとう、と。]
ロミちゃん、濡れタオル用意してくれる?
汗で身体が冷えちゃうと困るの。
[ふる、と首を横に振る。
無理やり忘れていたイメージが蘇るのは、強引に押し込んで]
……っと。
これ、かな?
[部屋に入り、目に付いた荷物の袋を掴んで、ブリジットの寝かされている部屋へと戻った]
そうだ、お湯。
飲むにしても一度沸かしたものの方が良いはず。
妊婦さんって刺激に過敏になるものだから。
[少し考えて呟き、カルメンから手を離す]
ちょっと用意してきていいかな。
[ロミの声に頷いて]
うん、そうしたものもあるといいと思う。
…ブージェ、が…。
[クロエの説明で何があったかを知り。
表情は心配げに眉尻が下がる]
おくすり、くわしい、ひと、いない…?
だれ、か、つれてきちゃ、だめ、なのかな。
[ギュンターに訊ねれば否と返って来るのだろうが。
そう言葉を紡ぎながら見えぬ視線を彷徨わせる。
耳の位置を移動させて状況を把握しようとしているようだ。
カルメンは手伝えるはずがないため、その場で大人しくしている]
その期待のなさはありがたい。骨つぐとか間接戻すとかならできるけど…な
…そもそもこの人。あまり体強くなかったみたいだし
[ローザに答えつつ運ぶのはダーヴィットに任せ]
ぁあ。ロミちゃん。それらは必要になるだろうからもっていってくれるとありがたいかな
ゼルギウスにハインリヒのにーさん。
お言葉は有り難いけど、これでも運搬はお得意なのさ。
[普段なら、手の一つも振るところ。
揺らさぬように更に細心の注意を払い、ローザの整えた部屋の中へ]
ういせ。
顔は横に、ね。りょーかい。
[下ろす仕種もやはり丁寧で]
着衣を緩めるべきかとは思うけど…。
[流石にそこには遠慮があるのか、ローザをちら、と見た]
は、はいです。
[言われて走り出すけれど、子供だから速度は遅い。
途中、戸惑うような自衛団員たちの顔が見えて、困ったように眉を下げた]
/*
さりげなく。
全員の位置関係が、把握できてない俺がいるっ!
まあ、なんだ。
こーゆー状況では、こいつ、絶対役に立たないよねー。
知らない、
って、なに を?
[不安。それは、声ならぬコエにも混ざる]
あなたは、 なにを、 知っている の?
[知ることを恐れつつも、知りたいとの願いを篭めて、囁いた]
うん、いって、きて。
[手を離すクロエに頷いて。
カルメンもクロエの手から自分の手を離す。
自分が何も出来ない分、クロエに託すようにして]
[聞こえてきた自衛団長の言葉に、怒鳴りつけたい気持ちをぐっと飲み込む]
だから見殺しにする、って?
そうじゃなかったらどうするんだよ。
[紡ぎ出されたのはそんな言葉。
だけどそれさえも今の自衛団長には届かないのだろう]
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