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[首を傾げるゲルダに、自分も同じように(といっても少しだけだが)首を傾げ]
まだ、寝ているなら。
あまり大勢は、邪魔になる、だろうな。
[そう言っているところにクロエからミルクが欲しいといわれれば、頷いて]
なら、クロエの分と、水差しだけ持って行こう。
お前も、カヤの様子だけでも、見ていくか?
[そう言うとゲルダの方を見て]
…あらぁん?
さっきまで、リィちゃん、ここにいたわよね?
[ふいに視線をめぐらして、その存在がかけているのに気付く]
アル先輩とは別行動のようだったし…。
ちょっとさがしてきたほうがいいのかしら?
[ひざを折った姿勢からたちあがり、窓ごしに宿屋のそとへと顔を出す]
―宿屋・酒場―
長靴って。確かにツィンは賢いけど。
[御伽噺のことを考えていたからだろうか。
別の絵本のことが思い出されてヘルムートに笑う]
…そうですよ。刺繍工のゲルダ。
見ての通りの腕前です。
熱出したのはカヤ。船大工の娘さん。
本人も修繕程度ならできるんですけどね。
[上機嫌で笑顔のままで、ずんずんと散歩。
その足取りは、まるで自分の家の庭を歩くようでもあった。
道という道はそこまで整備されてもおらず、ほぼ獣道のような道ばかりだが、やはり気にした様子も無い]
───。
[だが。
しばらく歩き続け、「その場所」に近づいてい来ると、その心臓が高鳴った]
……。
[先程までの楽しそうな表情はなりを潜め、不安そうな表情に置き換わる]
― 教会前 ―
キャルさんも、こんばんは。
[ウェンデルの応えと、少女のお辞儀に、
律儀に、少女に向けてもう一度挨拶を。
少女の物珍しげな視線には、気にした様子を見せない。
――…そんな視線には慣れているし、
そもそも、いつも気にも止めていない。]
私は、海の様子を見ていましたら、このような時間に。
…――散歩ですか。
[やはり短すぎて、会話としては成立し難い言葉を連ねて、
首を傾げる。]
大丈夫ですか?
[容疑者なのにこの時間に出歩いて大丈夫か?と問いたいらしいが、一人で飄々と出歩いてる学者が云えた口ではないかもしれない。]
[ヴィリーの提案に暫し考え。]
ん、でも……気になるけど、やめとく。
あんまりいっぱい押しかけたらしんどいだろうし。
[ふるふると首を振って遠慮した。]
[───やがて、少女はその場所へと辿り着いた]
……。
[森の中で空けた一つの場所。
広さ的には10mの円ぐらいの大きさだろうか。
自然に出来た場所ではなく、切り株などがちらほら見えるところから、人為的に出来た空間であることがうかがい知れた]
……。
[少女は立ち尽くす。
その瞳は、中央にある一際大きな切り株へと向けられたまま]
[遠慮している様子のゲルダに、ほんの少しだけ考えて]
起きたばかりに、物を持たせるのは悪い気もするが。
お前が、これをもっていってくれないか。
…俺が行くより、お前とクロエの方が、カヤは安心するだろう。
[そう言って、水差しとサンドイッチの乗ったトレイをゲルダに渡し。]
ミルクをもらってくる。
あとは、スープか何か、腹の温まるものがあれば、それももらってこよう。
[そう言うと酒場の方へ戻っていって]
[苦笑しながらのゲルダの言葉には、うん、と頷いて]
気ぃ使ってくれて、ありがと、ヴィリ兄さん。
んじゃ、とりあえず、行こか。
ここで突っ立っててもなんだし、ね。
[水桶を持つ手に力を入れ直し、カヤの部屋へと歩き出す]
んー、多分ここは、おっちゃんの宿の部屋なんだよね。部屋には泊まった事ないけど、確か天井こんなのだったし。うん。
[とりあえず起き上がってはみたものの、まだ足元は軽くふらついて。運んでくれた人の善意を無駄にするのも悪いと思い、ベッドから身体を起こすだけにする。それと同時に軽く腹の虫が無く]
あー…そいやクロエにちゃんとゴメン言わないとな。
[真に謝るべきなのは、其れを思い出した切欠が焼き菓子だった事のはずなのだが、彼女はそこには頭を持っていかない事にした。]
[───……なんでだろう]
[なんだかすっごく悲しい]
[なんだかすっごく寂しい]
[なんだかすっごく腹が立つ]
[なんだかすっごく苦しい]
[何も思い出せないのに、なんで?……───]
さぁ?本当に、そうなのかは解らないよ?
[口振りはどこまでもはぐらかすようで]
[けれど、それも大して気に留められないだろうとは思いつつ]
何が、と、問い返されるとは思わなかった。
そんな所も「らしい」と言うべきなのかな。
[変わっていない、というのは、先程伝えたばかりでもあるが]
貴方が、何も感じていないのなら、それで良いよ。
[トレイを渡されて交互にヴィリーとトレイをみやり。
兄さんは気ぃつかいだなあと僅かに笑んだ。]
ありがと、ヴィリー兄。
それじゃ、いってくるね。
[しっかりとトレイをもって、クロエに促されれば小さく頷き。
カヤが寝ている部屋へとはいっていった。]
[ゲルダと一緒にカヤのいる部屋まで戻り、最初に目に入ったのは、起き上がった姿]
カヤ!
起きて、大丈夫なん!?
[つい、慌てたような声をあげ、ぱたぱたと、そちらへ駆け寄る]
……っ。
[いつしか、少女の双眸からは溢れんばかりの涙が流れていた。
何があったのか何も分からないのに、ひどく胸が苦しい。
心が痛い]
[辛い。
辛い。
辛い]
……ムカつく!
[涙を流しながら、何も分からないまま、少女はうつむきながら叫んだ]
―教会―
[少女は何度か会っている筈なのだが、ライヒアルトに対してはいつもこうだった。
改めての挨拶に、少女はいつもよりは小さな声で「こんばんは」と返す]
ハハ、そうかい。
相変わらずだな、先生は。
[海の話には苦笑めいた言葉を]
大丈夫って……あぁ。
まぁ、大丈夫だろ。
俺は慣れてっし、コイツ1人の安全くらいどうにかするさ。
[自分が心配されているとは思わない為に、微妙に取り違えた返答をした]
[駆け寄るクロエと対照的に、手にしたトレイの中身を零さないようにと、サイドテーブルのほうへと置きに行く。]
カヤ、大丈夫?
水飲む?
[水差しから、コップに水をついで差し出してみた。]
[クロエから礼を言われれば、気にするな、と言って肩を軽く叩き。
そして酒場に戻れば、ダーヴィッドの前のグラスが増えていることに気づいて]
…あまり、飲みすぎない方が良い。
意外に、まわるぞ。
[それだけ言って、リッキーにホットミルクを頼み。]
あぁ、あと。
何か、腹が温まるものはあるか。
スープかなにかだと、助かる。
[スープは少し待ってもらえるなら、というリッキーの返事に、じゃあミルクだけ先にもらえるか、と頼み。]
…ミルクは、3人分頼めるか。
[カヤとゲルダも飲むかもしれないと思い。]
ああ。
さっき出て行きましたね。
[ヘルムートが立ち上がるのを見て目を瞬く。
喋っているのまで気にかけてはいなかったので、てっきりライヒアルトを追いかけたのだと思い込んでいた]
迷子になられても困るといえば困るかな。
でも追いかけたら逃げられそうな気もする…。
[クロエの事を考えた時にちょうどクロエがゲルダと共に入ってきたので驚いて]
うわぅっ!ご、ごめんなさい!
[謝ろうと思っていたごめんなさい、と、慌てた声に怒られた気がしてのごめんなさいが重なって。口から出たのはそんな言葉で、それに併せて布団に潜り込む]
むぅ。そのこ、ツィンって、言うのね?
かわいくて賢いなんて強敵だわ。
[そこに対抗意識をもって、どうなるというのか。
とにもかくにも、アーベルの連想について気付いたようすは無い]
ふぅん、ベルちゃんの恋人さんはゲルダちゃんっていうのねぇ。
あ、ハンカチ返してもらわないと。
[リッキーを呼び、そのありかを聞いて手にとる。
ついでにリディの行く先を聞かなかったかも、リッキーに尋ねていたり]
で、あの子がカヤちゃんね。
んー…、あだなをつけるのに悩むわ。
[この場において、まったく必要なさそうな悩みである]
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