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[苦笑しながらのゲルダの言葉には、うん、と頷いて]
気ぃ使ってくれて、ありがと、ヴィリ兄さん。
んじゃ、とりあえず、行こか。
ここで突っ立っててもなんだし、ね。
[水桶を持つ手に力を入れ直し、カヤの部屋へと歩き出す]
んー、多分ここは、おっちゃんの宿の部屋なんだよね。部屋には泊まった事ないけど、確か天井こんなのだったし。うん。
[とりあえず起き上がってはみたものの、まだ足元は軽くふらついて。運んでくれた人の善意を無駄にするのも悪いと思い、ベッドから身体を起こすだけにする。それと同時に軽く腹の虫が無く]
あー…そいやクロエにちゃんとゴメン言わないとな。
[真に謝るべきなのは、其れを思い出した切欠が焼き菓子だった事のはずなのだが、彼女はそこには頭を持っていかない事にした。]
[───……なんでだろう]
[なんだかすっごく悲しい]
[なんだかすっごく寂しい]
[なんだかすっごく腹が立つ]
[なんだかすっごく苦しい]
[何も思い出せないのに、なんで?……───]
さぁ?本当に、そうなのかは解らないよ?
[口振りはどこまでもはぐらかすようで]
[けれど、それも大して気に留められないだろうとは思いつつ]
何が、と、問い返されるとは思わなかった。
そんな所も「らしい」と言うべきなのかな。
[変わっていない、というのは、先程伝えたばかりでもあるが]
貴方が、何も感じていないのなら、それで良いよ。
[トレイを渡されて交互にヴィリーとトレイをみやり。
兄さんは気ぃつかいだなあと僅かに笑んだ。]
ありがと、ヴィリー兄。
それじゃ、いってくるね。
[しっかりとトレイをもって、クロエに促されれば小さく頷き。
カヤが寝ている部屋へとはいっていった。]
[ゲルダと一緒にカヤのいる部屋まで戻り、最初に目に入ったのは、起き上がった姿]
カヤ!
起きて、大丈夫なん!?
[つい、慌てたような声をあげ、ぱたぱたと、そちらへ駆け寄る]
……っ。
[いつしか、少女の双眸からは溢れんばかりの涙が流れていた。
何があったのか何も分からないのに、ひどく胸が苦しい。
心が痛い]
[辛い。
辛い。
辛い]
……ムカつく!
[涙を流しながら、何も分からないまま、少女はうつむきながら叫んだ]
―教会―
[少女は何度か会っている筈なのだが、ライヒアルトに対してはいつもこうだった。
改めての挨拶に、少女はいつもよりは小さな声で「こんばんは」と返す]
ハハ、そうかい。
相変わらずだな、先生は。
[海の話には苦笑めいた言葉を]
大丈夫って……あぁ。
まぁ、大丈夫だろ。
俺は慣れてっし、コイツ1人の安全くらいどうにかするさ。
[自分が心配されているとは思わない為に、微妙に取り違えた返答をした]
[駆け寄るクロエと対照的に、手にしたトレイの中身を零さないようにと、サイドテーブルのほうへと置きに行く。]
カヤ、大丈夫?
水飲む?
[水差しから、コップに水をついで差し出してみた。]
[クロエから礼を言われれば、気にするな、と言って肩を軽く叩き。
そして酒場に戻れば、ダーヴィッドの前のグラスが増えていることに気づいて]
…あまり、飲みすぎない方が良い。
意外に、まわるぞ。
[それだけ言って、リッキーにホットミルクを頼み。]
あぁ、あと。
何か、腹が温まるものはあるか。
スープかなにかだと、助かる。
[スープは少し待ってもらえるなら、というリッキーの返事に、じゃあミルクだけ先にもらえるか、と頼み。]
…ミルクは、3人分頼めるか。
[カヤとゲルダも飲むかもしれないと思い。]
ああ。
さっき出て行きましたね。
[ヘルムートが立ち上がるのを見て目を瞬く。
喋っているのまで気にかけてはいなかったので、てっきりライヒアルトを追いかけたのだと思い込んでいた]
迷子になられても困るといえば困るかな。
でも追いかけたら逃げられそうな気もする…。
[クロエの事を考えた時にちょうどクロエがゲルダと共に入ってきたので驚いて]
うわぅっ!ご、ごめんなさい!
[謝ろうと思っていたごめんなさい、と、慌てた声に怒られた気がしてのごめんなさいが重なって。口から出たのはそんな言葉で、それに併せて布団に潜り込む]
むぅ。そのこ、ツィンって、言うのね?
かわいくて賢いなんて強敵だわ。
[そこに対抗意識をもって、どうなるというのか。
とにもかくにも、アーベルの連想について気付いたようすは無い]
ふぅん、ベルちゃんの恋人さんはゲルダちゃんっていうのねぇ。
あ、ハンカチ返してもらわないと。
[リッキーを呼び、そのありかを聞いて手にとる。
ついでにリディの行く先を聞かなかったかも、リッキーに尋ねていたり]
で、あの子がカヤちゃんね。
んー…、あだなをつけるのに悩むわ。
[この場において、まったく必要なさそうな悩みである]
…――そうですか。
[ヒースクリフの名前の由来について、
「何が」という問いに関しての応えについても、
「それで良い」という言葉に対しても、
全てをその言葉一つで片付けてしまう。
疑問への追及というのは、学者にとって必須なものではある。
男の、他人に対する関心の薄さは致命的にも思われるが、
学問的なものに関しては、追及を揺るがないが故に、
まだ学者として――人に紛れていれているのかもしれない。
そんなことすら、何も感じていない風ではあるのだけれど。]
さて、ギュンターさんの死で、
良い方向に転がると良いのですけどね。
[そして思考の流れを口に出さない学者は、
聴いている者には
酷く飛んでいるように響くだろう言の葉を囁きに乗せた。]
[布団に潜り込んだところで、ゲルダのゆっくりした声が耳に届いて]
飲む…。ありがと、ゲルダねー。
[布団から顔を少しだけ覗かせて手を伸ばす]
ん、お礼はヴィリー兄にね。
あたしは運んだだけだから。
[カヤの手にグラスを握らせながら小さく笑む。
カヤが倒れた後で、自分も倒れたことは告げないまま。]
熱は、どう?
[向けられた言葉と、潜り込む様子に、きょとり、瞬き。
取りあえず、水桶を置いて、一度深呼吸]
何で、そこで謝るかなぁ、もぉ……。
具合、良くなってるなら、いいんよ。
……良かったぁ……。
このまま、起きんかったら、どーしようかと。
[ゲルダから水を受け取る様子を見つつ。
気が抜けたのか、ベッドサイドにぺたり、と座り込んだ]
……。
[気づけば、少女はその場所に背中を向けて走り出していた。
自分は一体何者なんだろうか?
不安は募る。
なんであんな場所に長い間いたような気がしたんだろうか?
不安は募る。
「約束」はいつまで覚えていられるのだろうか?
不安は募る。
私は、ライヒアルトに思い出してもらえるのだろうか?
不安は募る。
私は、みんなに覚えていてもらえるのだろうか?
不安は募る]
……みゅうー!
[カン高い声で叫び、少女は森を抜け出して、ライヒアルトの家に戻ると、割り当てられたベッドへともぐりこんだ]
― 教会前 ―
……ウェンデルさんは、人狼の存在を信じていますか?
[ウェンデルの応えに、少し首をかしげて、
傍に子どもがいると云うのは構わない様子で尋ねる。
彼が少女の安全というのが、
容疑者として何か島民からされるかもしれないことなのか、
人狼の存在を信じていて、その存在から護るということか、
どちらか、はかりしれなかったが故に。]
[座り込んだクロエに心配そうな目を向ける。]
クロエ、そんなとこ座ってたら、身体冷えるよ。
ほら、こっち。
[手を伸ばして、クロエを椅子に座らせようとした。]
やぁん、出て行ったの気付かなかったわぁん。
だいぶ暗くなってきちゃったけど、平気かしらぁ?
ある意味こいがたきとは言えどもぉ。
[くるくるとよく働くリッキーからも、さしたる情報はえられず]
…心配だわぁ。
[ぽつんと、つぶやいて]
だれにもおいかけられないのも、おんなのことしては淋しいものよ?
そういうの、アル先輩は理解してないだろうから、なおさら。
[二人の話から大体の事情は受け取れて]
んとね。熱は、もう無いかな?ちょっとまだ頭痛くてふらつくけど。
ヴィリーが運んでくれたのか…私重いからクロエやゲルダねーじゃ無理だもんね。後でお礼いっとかないとなきゃ。
[軽口を挟んだ後で、ベッドサイドのクロエに]
んや…その、ほら。約束破っちゃったからね。
だから、ごめん。
[布団から抜け出て、ベッドの上に正座して頭を下げた]
[リッキーからお待たせしました、とミルクを渡されると、こちらこそ無理を言ってすまない、と頭を下げ。
ミルクの乗ったトレイを持って、またカヤの部屋へと向かい、ドアをノックして。]
…クロエ、ゲルダ。
ミルクだ。
[カヤが起きているとは知らない為、控えめに声をかけた。]
[ぶち猫は耳をぴくりとさせ薄目を開けた。
ヘルムートの方を見て、尻尾をぱたりと動かした]
……だからそんなんじゃない。
ただの…。
[なんと表現すればいいのか、少し悩む]
ただの…腐れ縁、です。
[悩んだ末がそれとか、酷かった。きっとそこにはユリアンも含まれる。友人という表現は素直に口から出てこない]
呼びやすい名前まで変えなくても。
[必要なさげな悩みに肩を竦めた]
─宿屋・自室─
[ヴェルトを伴ったまま裏口から一度自室と戻り。紙に何かしら文字を書き連ねると、筒状にして小さな容器へと詰める。それをヴェルトの足にある足輪の中へと入れた]
……もしもの時は頼むぜ。
直接謝れねぇのが悔やまれるが。
[言いながら机の上に大人しく立つヴェルトの頭を撫でた。またヴェルトが不安げに鳴いたが、何度か撫でることでそれに応じ。肩に乗せると自室を出て酒場へと戻った]
─宿屋・自室→酒場─
[戻った、と居る者に告げながらカウンターへと入り、ヴェルトを止まり木に降ろす。そしてラム酒の酒瓶の残りと並ぶグラスを見て呆れたように息を吐いた]
随分と飲んだな。
全部ヴィリー持ちになるのか、これは?
[視線は勿論ダーヴィッドの目の前、グラスの列]
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