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―朝・宿屋―
おはよう。
親父さんは当然港だろ。
手伝うよ。
[宿泊時にしては珍しく朝早く起き出して、四苦八苦しているリッキーの準備を手伝う。椅子を下ろしたりテーブルを拭き直したりという程度だったが]
船、繋いだままだったからな。
あの様子じゃ…。
[広場の奥まで舐めたような水の痕があった。そこまでとなると船が無傷であるとは思えず。まさか完全に破壊されているとまでは知りえなかったが]
おっと、戻ってきたみたいだ…?
[自衛団員を伴った姿に声を掛け損なう。何やら深刻そうな団員に首を傾げ、黙ったまま厨房前に立っていた]
― 雑貨屋前 ―
他のは良いのです。
他のは悪戯、まだされていませんから。
[雷の話題になにやら上擦った声を漏らす相手に、
調味料について、やはり言葉足らずに答えながら、
瞼を何度かハタハタと動かし、若干首を傾げて]
……そうですか。
[何かに納得したように、一つ頷く。
何が『そう』なのか説明せずに、
脳内メモに女性が雷が苦手率を上増ししながらも]
お値段いくらですか?
[真顔で胡椒の値段に話題を変えたのは、
この場合は正解なのだろうか。]
─雑貨屋・前─
[ようやく落ち着いた所に振られた苦手の話題に、平静を欠くものの。
話題が変わった事で、その先に進むのは踏み止まれた。
何かが上増しされたなんて、知る由もない。
ふるふる、と首を左右に振って気持ちを切り替え、代金を告げてから、店に入って品物を出してくる]
……って。
悪戯、って、何があったん?
[それから、ふと気がついて向けたのは、素朴な疑問]
―宿屋―
島から出られないって。
そこまで酷かったんだ…。
[自慢の船もやられてしまったフーゴーに、下手な慰めの言葉を口にすることも出来ず。少しの間悼むように瞼を閉じた]
で、今のは何だったの。
…ここに泊まってた客が?
逃げ損なったとかじゃなくて?
[死体が上がったという話にリッキーと顔を見合わせた。
簡単な説明を聞けば驚き、やはり訝しげな顔になった]
訳が分からないな。何か嫌な感じだ。
― 雑貨屋前 ―
[基本的に鈍い男ではあるけれど、
きっかけが知的好奇心(女性が雷が苦手かどうかの統計)故に、
いつもよりは敏感になっていたようで。
相手の仕草に、本当に苦手らしいと悟り、
珍しく空気を読んで、雷の話題を今度は意識して避けた。
そして、相手の疑問に答えを。]
リディさんに、寝ていたら顔に胡椒を根限りかけられました。
……復讐の一環のつもりでしょうか。
[また胡椒の惨劇を思い出して、すんっと鼻を鳴らし、
品物を受け取ろうと、今回はきちりと用意した硬貨を掌に乗せ、
クロエに差し出した。]
─雑貨屋・前─
[それきり、苦手に関する話題が途絶えた事に安堵していたのに、気がついたのはぶち猫だけか]
あの子が?
それが復讐だってんなら、カワイイもんだね。
[状況を思い浮かべてか、ほんの少し笑みを浮かべ。
品物と代金を交換し、額を確かめてからひとまずエプロンのポケットへ]
はい、毎度あり。
―自宅―
[昨夜の嵐の間、カミナリがなるたびにびくびくしていた女は当然のことながらあまり眠れるはずもなく。
ただヴィリーや、名前しか知らないとはいえダーヴィッドなどがいたことで少しはましだった。
途中、雨脚が弱くなった時に反って言ったライヒアルトに挨拶などは出来ているはずもなく。
カミナリが完全にならなくなってからうとうとと浅い眠りに落ちた。
その間にヴィリーやダーヴィッドがどうなったのかは知らず。
そして日が完全に昇ってから目が覚める。]
ん……?
[リビングでクッションにつかまって丸まっていたことを考えるに、昨日誰かに引っ付いたまま夜を過ごしたと言うことはなさそうで。
ヴィリーが招き入れていた島の人々も嵐が去れば自宅の確認をするために立ち去っていた。
そしてヴィリーの姿も見えないことから、もうかえっていったのだろうと言うことは想像にやすく。
ダーヴィッドはどうしたのだろうと首をかしげた。]
―宿屋―
[そうこうしているうちに他の客も出てくるだろうか。
ヘルムートも来たならば挨拶や説明をしたかもしれない]
ああ、ちょっと出てくる。
[支度を進めるフーゴー達にそう声を掛けると宿から出た。
広場に降りて嵐の爪痕を見ながら足を進める]
― →雑貨屋前―
おはよう。
ライヒアルトさんも。被害とか大丈夫?
港は散々らしいけど。
[覗き込んだ店には先客が居た。
挨拶をしながら状況を尋ねてみる]
─雑貨屋・前─
あ……おはよ。
[従兄の声に、振り返って挨拶を返す。
ぶち猫も、挨拶するようになぁ、と鳴いた]
こっちは、まあ……大丈夫、だよ。
[物理的な被害はわりと軽いので、嘘は言っていない]
─宿屋─
[やれやれ、と言った心境で店の中に視線をやると、目に入るのは愛用の船を模したオーナメント。表情に暗さが増したことだろう]
………はぁ。
…ん、アーベル起きてたのか。
悪ぃな、手伝わせちまったみてぇで。
[厨房前に佇む姿を見つけ、まずは謝罪を。それから簡単な説明の後に深い溜息をついて]
嵐に巻き込まれたんじゃねぇかと思うんだが…どうも違うらしい。
と言っても噂でしかねぇんだがな。
死体を見た奴が言うには、嵐に巻き込まれて出来た傷では無かったとか。
きな臭ぇのはきな臭ぇが、今はどうにもならん。
島からは出られなくて死人も出た。
それが今分かってる事実だ。
[そんな言葉をアーベルに告げた。他の宿泊客達が起きて来るならば同様の話をしたことだろう。
出かけて来ると言うアーベルを見送ると、再び店の準備をし始め。宿泊部屋のシーツの取り換えやその洗濯等、雑務をこなす。船を失ったショックはあれど、仕事は疎かにはしなかった。仕事をすることで思い出さないようにしていたのかも知れないが]
― 雑貨屋前 ―
[確かに復讐と考えれば可愛いものだけれど……と、
1mmほど眉を寄せてから、品物を受け取る。
品物をポケットへと入れていると、目に留まるぶち猫。
寄った眉は1mm元に戻った。
腰を落として、その喉を撫でようとすれば、後ろから男の声。]
アーベルさん、おはようございます。
[振り返ると、相変わらず常と変わらない挨拶を一つ。]
……森の方も、幾つか樹の枝が折れたりはしてましたね。
[そして港の被害の話題から、
自分に向けられた問いかけは
森のことだろうと思い込んだような返答を。]
―雑貨屋―
ツィンもおはような。
[ぶち猫に手を伸ばして頭を撫でる]
クロエは昨日の方が大変だっただろ。
…あいつも平気だったんだか。
[軽く笑って流す。後半は独り言のよに呟いた]
ああ、そうだ。シャツを一枚くれ。
着替えが足りなくなっちゃってさ。
ついでに煙草もあれば。
―教会前―
[煙草が短くなる頃、火を消した]
ちぃと出て来るわ。
留守は頼んだ。
[教会の中の子供に声を掛け。
傷付いた壁をちらと見てから、教会を離れて歩き出す]
―雑貨屋―
[男二人が猫の前に屈む構図、はスルーしてもらって。
森の被害を聞けば、そっちもか、と息を吐く]
予想以上に早かったですね、嵐。
あんな規模になるとも思いませんでしたよ。
家の方とかは大丈夫でした?
─雑貨屋・前─
[ライヒアルトの微妙な表情の動きには、さすがに気づけない。
ぶち猫の方は、何か察していたかも知れないが]
あー……うん、まあ。
でも、最初の内はカヤがいてくれたから、何とか。
[軽く流された事に、ほっとしつつ、こう返す。
後半の、独り言めいた部分には一度瞬き。
それから、もう一人の幼馴染の家の方へ軽く、視線が向いたやも]
着替え? 足りなくって、何かあったん?
― 雑貨屋前 ―
…――家、ですか。
[アーベルに撫でられて、
目を細めているだろうぶち猫にあわすように
碧の眸を細めていた男は、少し考え込むように顎に手をあて]
多分、大丈夫だったかと。
[少なくとも朝見回った限りは、大きな損傷はなかった筈で。
男は自宅に対して、それ以上の頓着はなく]
他の方の「家は」大丈夫なら良いのですけど。
[船は駄目だろうと思っているが故に、
「家は」と云う学者は、
人にも被害が出てるとはまだ聴いていなかった。]
―雑貨屋前―
そうか。なら良かった。
って、カヤはあの雨の中を戻ったのか?
[ドックの方を見る。船が全滅したのなら、誰かしらが当然のように行っているだろうから、平気だとは思うが。
それから従妹の視線を追いかけ、フッと息を吐いて元に戻した]
ああ、元から数持ってきてなかったんだけど。
ルーミィさんが雨でドレス濡らしちゃってね。
[その結果得られた事実を思い出し、少しばかり遠い目になった]
―自宅―
[ダーヴィッドはまだこの家に居るのだろうか。
もしかしたらヴィリーと一緒にでていったのかもしれないが、きょろりと周囲を見渡しても姿が見えないから、まあいいかと、思考を投げた。]
……外の被害、と……ご飯……
[のそのそと動き出して家の周囲を見れば、嵐で運ばれてきたゴミが落ちているのが見えて僅かに吐息をもらす。
やれやれと肩をすくめながら、あとで片付けようと歩き出した所で、こちらに向かって歩いてくる自警団の人を見つけた。]
ん、おはよー…… え?
人が……? え? はい?
[自警団長が団員にむけた指示を聞き。
嵐で死んだのだと思った人がそうではなさそうなことや、伝承に基づいたなんたらかんたらとか、すこしばかり理解不能な言葉に疑問符を飛ばしている。]
――えーっと、とりあえず宿にいけばいいの?
[きょとりと首をかしげ。
まあご飯食べに行くしと、頷いて立ち去って行く団員を見送る。]
―雑貨屋前―
そうですか。
家の被害は聞きませんでしたね。
船と…人のは、痛ましいばかりですけれど。
[どうせすぐ噂になる。
躊躇しかけたが構わず言葉を続けた]
[広場を横切り、男が向かったのは港の方向]
―港―
あーぁ。
思った以上にひでぇな。
[荒れた海と、船の惨状にがしと頭を掻いた]
こりゃぁ当分、死体運んでもらうのも無理か。
[単に死人の身元が分かれば家族の元へ、という意味だが、これだけだとただ物騒に聞こえることだろう。
実際通り掛かった漁師にぎょっとした目で見られた]
[それは数年前、父の記憶。
青白く筋を立て、息も絶え絶えに横たわる。
怪我人には到底場違いな、深く掘られた土の中で。
「手厚く頼みましたよ、我等が愛する父に安らかな眠りを。」
声を合図に、まだ息のある人間に土がかけられていく。
弟たちに気圧された、あるいは金に踊らされた使用人たちによって]
…っ、こんなことが許されると思ってるのか!
ジェラルダインの名を汚しているのはお前達の方だ!
[数人に捕まれた腕を振り解こうとするも叶わない。
その声に振り返る姿ひとつ。
「待って。……忘れ物。一緒に埋めてあげなきゃ。」
言いながら近寄ってくる悪魔。
唐突に頭に衝撃が走る。視界がぐらりと歪む]
───回想───
[全ての本を読み終えると、気がついたかのようにお腹すいたーとわめき、残っているスープを飲み干して]
わ。雨すごいね。
[とか、今更ながらに軽く驚いた。
食事を終えると、新たに読める本は無いかとまた散策。子供たちが珍獣がいるような目で、なんか結構な数の視線が届いてきていたが、少女は全く気にしないで、時間をつぶしていた]
[さて、それから更に数刻。
夕飯時のことだ。
まるで計ったかのように腹の虫が可愛くころころと鳴って、少女は口を開けた]
あ。帰らなくちゃ。
ライヒアルトと、夕飯は宿屋行ってデザート食べる約束しているんだもん。
[などと言い出し、数名の子供たちの制止の声も聞かずに、少女はまだ雨足が弱まっていない時間に外に飛び出ていた]
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