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[聲を聴き話す力は物心つく頃には備わっていたが
他に使える者が居ると知ったのは何時の頃だったか。
聞き覚えのある聲、ふたつの気配を感じ目を細める]
――…今日、来たの?
雨雲、あなたに懐いて此処まできたのかしら。
[時期と聞けば軽口めいた言葉を柔い口調で返し]
さっき降り始めたところ、かな。
旅人――…?
如何かしら、……。
[一ヶ月前から聲を交わすようになったウェンデルに
わからない、と返すが、無意識に首を振る仕草が表に出る]
― 自宅 ―
遅くなった。
[家に帰ると漂う珈琲の香り>>35に目を細めた。
いつもと変わらない、平和の象徴のような空間。
非日常を持ち込むのが躊躇われる空気がそこにはあった]
―エーリッヒの住居前―
……あ、……遅かったね。
[制止が聞こえた時には、既にリスがマカロンに齧りついてしまった後でした。僕はちょっと肩を竦めます。
今から取り上げてしまうのも可哀相なので、掌はそのままにしておきました]
……。えっと。
たまには、ご馳走食べても、いいよね?
[ちょっとだけ言い訳もしておきます]
……。
[手が離れていくのに合わせて、僕は顔を上げました。考え込む様子の彼を見つめます。
少し間が開いて返された言葉>>28の通り、どうやら本当に知らないみたいでした]
そっか。……何だろうね?
悪い事じゃ、ないといいけど……あれ。
[言葉の途中で首を傾げました。
考え事のせいで今の今まで気づかなかった微かな匂いを、その時初めて感じました]
……雨、かな。
[あまり嗅いだことはないけれど、特徴のあるそれ。少し考えて、そう結論づけます]
[ゆるり、首を振るう。
片付けを終えても尚、雨は降り続いていた。
作品を仕上げたばかりの女はその間、
まともに食事をとっていない]
何かつまめるもの……
[買い置きしていたクッキーは既に空になっていた。
きょろ、と視線めぐらせれば来訪者の置き土産があり
その包みへと手を伸ばす。
かさり、紙の包みの口を解き中を覗けば]
――…アプリコットの、ジャム?
[母親が作りでもしたのだろうか。
説明のないままだった土産を置いていった彼女は
如何にもうっかりしたところがあり
こういうこともしばしば起こる事象]
まぁ、すぐ止むだろ。
勘が外れるのは仕方ない。
[一月の間、戯れに声を交わした彼女にはそう返す。
前は使えなかった声を聞き、人狼の彼女が何を思ったのか、彼は知らない。
常日頃、人間として振舞うのと同じように言葉を返した。
ぶっきらぼうにも聞こえる言い方]
――あんた誰?
[そういえば、と問うのは、警戒等が混じる事無く]
出立しようとした旅人を狙うか。
雨だし血の痕は残らない。
お前は腹減ってないの?
ついでだから食べておけば?
─ 宿屋 ─
……誤解を招くような物言いをするなと。
[ミリィへ説明するロミ>>39に突っ込みを入れながら、常に持ち歩いている袋を開ける。
それが、紐を精巧に編んで作られたものなのは、よくよく見ればわかること。
座りながらも抵抗する様子>>39に、さてどうするか、と思いながら、小さな瓶に入れた傷薬と包帯を出し。
ゲルダからの贈り物で抵抗がなくなった>>42のを見てく、と笑みを漏らしつつ、素早く手当てをして、最後に]
……痛痛飞行。(痛いの痛いの、飛んで行け。)
[同じく袋の中から出した、花の形に編んだ紐と玉を組み合わせたお守りのようなものを傷に当てて、短く呟く。
子供の手当てをする時には、必ず付け加えるお呪いは、亡き父譲りのもの。
効果があるかどうかは、受ける方次第だが]
─ 自住居穴前 ─
仕方ないわね。
[リスがマカロンに齧りつく様子と、たまには、と言うブリジット>>44に苦笑が漏れた。
確かにお菓子は滅多に食べさせないため、ご馳走と言う感じになるのだろう]
そうねぇ……。
単に何か考え事してるだけなのかもしれないし、何かあれば伝えてくると思うわ。
[自衛団長についてはそう結論付けて、首を傾げるブリジット>>45に「大丈夫よ」と微笑む]
荒れそうな感じね。
ジティ、今日はお帰りなさい。
洞窟の中とは言え、雨は入ってくるんだもの。
[ブリジットの手にあるマカロンはリスごと拾い上げて。
空いた手で彼女の肩をとんと叩き、帰るよう促した]
……―――ん。
よ喜んで貰えて、う嬉しい。
[言葉はともかく表情には表すことなくロミへ言葉を紡ぎ。
ノーラの言葉に、少し眉を上げてから
彼女の微笑みに釣られる様に僅かに上げた頬は
少しだけ血色良く、照れの様相を掠め。
それから焼き魚へとフォークを向けて、
暫し交わされる会話へと耳を傾ける事にするのだった**]
[エプロンで手を拭きながら、変わらぬ笑顔で迎え入れると、
まだ入り口付近に居た夫は何やら難しい顔をしているようだった。
長年見ていなければ、分からないような些細な変化だったが。]
…まぁあなた、どうかしたの?
[まだ何も知らぬ妻は、怪訝そうに首を傾げる。
夫の仕事…本当の仕事、といって差し支えない過去の出来事は、当然妻も知ってはいる。
いるものの、その話は暫く聞いていなかったもので、すぐにそこに繋がる事は無く。
ましてや自分がその場に関わる事になるとは思いもしていなかった。]
[人間を狩る為の牙なき者はその血肉を口にした事がない。
衝動も今は薄く、空腹を感じてもあまいものへと意識がゆく]
宿、盛況だったのね。
暫く籠もってたから知らなかった。
[6年前より知るノーラに聲を返し
ウェンデルの言葉に、こくと頭が上下して]
……ん、すぐ止むといいね。
[常と変わらぬ調子に返す音も相変わらずのもの。
狩りの算段が聞こえてくれば口挟むでもなく耳を傾けるのみ]
いや、一応そこはいっとかんと。
一度に幾つも手がけようとすれば、玉《ギョク》にこもる気も濁る。
[こんな拘りもまた、親譲りなのは村では知れた事。
異国からの旅人に、容姿だけでなく気質も似通った細工師は、それ故に変人と見られる事も少なくはない]
……? 役に立つって……。
[なにが、と問うより先に向けられた問いは、問い返し>>49に途切れ]
……いや、見ての通り。
怪我したのに手当て嫌がるから、それじゃダメだろ、って話だよ。
ええ、……ご無沙汰しています。
クヴェルさんの式には、参列出来ずに申し訳ないです。
[クヴェル氏とは同じ村に出入りする商売人同士付き合いがあり、また令婦人であるノーラとも面識があった。彼が他界したとき、女は遠くに商いに出ていて葬儀に顔せなかったことを詫びた]
そう言えば、ノーラさんが跡を継がれる、と聞きましたが?
[暫く考えて、小さく頷く。
ジャムの瓶の蓋をあけようと捻ってみるが
きつく締められたそれはビクともしない]
…ん、く。
[力の籠もる声が漏れるが
一向に開く気配はなく、根負けしたのは女の方]
これ、男の人じゃないと無理そう……
[肩を落とし残念そうに呟いて瓶を陳列棚の上に置く]
うん!
この猫さんすごく可愛い!
[笑いかけてくれるノーラ>>48に笑顔のままこくこく頷く。
ライヒアルトとの口戦前彼女へ向けた問いに対して返された曖昧な答え>>33に抱いた疑問は既にどこかへ飛んでいた。
ゲルダの言葉>>53に、大きくこくこく頷き。]
私こそ、すっごく嬉しいよ!
可愛い猫さんありがとう!
ふぇ?なんで?
[えへへ、と笑って、ぎゅーっとハンカチを胸に抱いた。
だが、すぐに皺になっちゃうと気付いて慌ててたたもうとして、ライヒアルトからのツッコミに手が止まった。
ミリィがライヒアルトへ向けた問い>>49にも首を傾げる。
自分の説明が悪かったということには気づかない。]
いらっしゃい。
ふふ、前は雨ではなかったものね。
[歓迎の言葉をノーラへと向ける。
解けた緊張に安堵するかのように緩む目許]
―→宿屋―
[宿屋につく途中、外の天気はだいぶ悪いらしいことを知ることになった。
こういうとき洞窟の中というのは逆に雨風が容易にしのげていいのかもしれないと安易にそのときは考えていた]
あら……
[宿屋につけば出るときよりもはるかに多い人の量、少しだけ驚いた声を漏らしてから、ぺこりと小さく一礼。
宿屋の女将に戻った旨を伝え、それから集まった人たちの方を、フード越しに見るともなしに見ながら]
お部屋に荷物置いたら、軽く食事をお願いしたいのだけどもいいかしら?
[答えをもらうとありがとうと返して部屋へと一度荷物を置きにいく]
……成る程。そりゃ、そうだよね。
[ロミの膝に薬を塗り、包帯を巻くライヒアルトを眺めながら]
偶々、ミスリル銀の彫刻用ナイフが手に入ってね。
丁度ラーイが仕事請けたって言うし、試してもらおうかなって。
[偶々なんて嘘で、このナイフを手に入れるために少なからぬ苦労をしているが、そんなことは口に出す気は毛頭ない]
あれ?
[ここでようやく右膝に巻かれている包帯に気付いた。
つまり全く気付かない内に手当てが終わっていたということで。
痛みも感じなかったのはライヒアルトがしてくれたおまじないのおかげだろうか。
ゲルダがくれたハンカチとミリィが父の欲しがっていた画材を届けてきてくれたことが嬉しかったというのも大きいかもしれない。
ただ単純に鈍いだけ─ではない、と思う。]
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