─ 聖堂・屋根の上 ─
[殴りつけるような風雪の中、老いたその軽い身体を片腕で持ち上げる。]
「─…─…─…」
[パクパクと陸に打ち上げられた魚のように口を動かし何かを言おうとしているらしいが、怪物じみた握力で掴まれた喉はもはや何の機能もしない。いや声を出したところで風の叫びにすべてかき消されていたであろうか。
──グチャリ。
小さな音を立てて老女の首が潰れた。]
さようならシスター。
[その身体を聖堂の十字架へと突き刺す。その体からはまだ少し温かい赤い者が流れ出でる。]
……貴方は最期まで敬虔な神の使徒であったよ。