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[顔はいつものニンマリ笑顔]
人狼が何をするかは知ってるつもりだよぉ?
ところで君は…こういう状態の男女が何をするかは知ってるかなぁ?
[背中にゆっくりと手を回しキスを続ける、まわされた手にはペンダントを握ったまま]
[更に強く抱きしめながら]
じゃあ、たっぷり教えてあげるよ…。
こういうのは初めてかなぁ?
大丈夫、痛いのは一瞬で…すぐに気持よくなるからね?
[背中に回した手の平がゆるりと動いて、ペンダントの飾りの釘がぬらっとした光を放つ]
─そしてゆっくりと、けれど的確に銀色の釘がリディアの背中に潜っていった。
なっ……
[大きく見開かれた青が濁る]
[背中の痛みはその痺れを強くしていく]
いやああああ、いやあ!!
こないで、こないでええ!!!
[力が抜けていくのが分かる]
[目の前の男の喉を掻っ切ってやりたいのに]
[その赤で喉を潤したいのに]
いやあああ……
たすけて……にいさん……いやあ。
[その視界にノブを捉えることもままならなくなって]
[彼女の苦しむ姿から消して目を逸らさない。それでいて尚、口元の笑みは消さないままで]
…大丈夫、怖くない。…すぐ終わるから。
…ごめんね。僕にもっと力があれば…もっと気持ちよくいかせてあげれたのにね。
怒ってもいいよ?恨んでもいいよ?
…食べられるのだけはしてあげれないけどね。
[少しだけ自分の唇を噛んで傷つけて。血が流れるままの唇をリディアの唇に重ねた]
こんだけで…勘弁したげてね?
[そういって抱きしめて優しく頭を撫でた]
[麻痺した舌がその甘さにぴくりと反応する]
[辛うじて聞こえてくるノブの声は、何故か優しく聞こえ]
[撫でられる感覚も、それは本物なのかも分からず]
[笑いたいけれど―――うまく笑えているのだろうか]
[青いだけの瞳は一つ、涙を落とす]
[それは最後に与えられたものへの感謝か]
[感じる優しいノブの気配に包まれながら
*最後の意識を手放した*]
[力が抜けたリディアの身体をゆっくりと抱きしめて]
バイバイ…?
僕が狼なら君を美味しく食べたげたのにね。
君が狼じゃないなら、違う道もあったのかもね?
でもね…。ここにあるのが。
僕と君の真実だから。
それを否定しちゃダメだよね?
僕は君を殺したよ。
君が人狼だったから。
食べられて死にたくないから。
…ずっとずぅっと忘れないよ。
僕は情報屋だからねぇ?
[そういって顔にはあのニンマリ笑顔]
さてと…こっからどうしたもんかなぁ。
このまま抱きしめてあげたいけども…。
見る人が見たら、僕が狼じゃんね。この状況。
まあ、男なんて皆狼みたいなもんだけどぉ。
にゃは、にゃはははは。
[リディアの身体を抱きしめたまま、空いた手で頭をポリポリかきむしる]
[昼──ベッドに横たわったままゆっくりと瞳を開ける。昨日の出来事、また思い出すと恐怖が襲い掛かってくるが、パトラッシュが床に丸くなっているのが目に入ると、すぐにそれも治まる。
──ずっと一緒にいられるさ──
昨日彼が言ってくれた言葉。自分は一人じゃない。それが心を落ち着けてくれる。ディも、夢の中で自分が一人ではないと繰り返し言っていた]
僕は、一人じゃない。
ディはずっと傍に居てくれている。
パトラッシュも一緒に居てくれる。
一人じゃ、ないんだ。
[噛みしめるように呟く。その顔には安堵の笑みが浮かぶ。しかしすぐにその表情は引き締められ]
…奴らが、居る。
僕は、僕のやるべきことをやらなきゃ。
[そろりとベッドから降りると、手早く着替えて。未だ眠るパトラッシュの頭を優しく撫でてから仕事道具を手に部屋を出る。いつも通り少し扉を開けて]
[1階に降りると主人に挨拶をして。何も頼まずそのまま宿屋を出る。奥での惨状なぞ露ほども知らぬままに──]
[外に出るとそのまま広場を横切り、教会がある通りへ。奥に歩み進め、向かった先はトパーズを頼んだ細工師の工房。2つのノックの後に扉を開けた]
……こんにちは。
約束のもの、出来てる?
[以前の飄々とした様子は無く、真剣さを帯びた表情。その様子に男性は僅かに片眉を上げ、しばらく間を開けた後に、ああ、と短く返してきた]
良かった。
これで僕の”仕事”も出来そうだ。
[にこりと笑みを浮かべると、代金を払いトパーズを受け取る。綺麗に磨き上げられたそれは透明度も高く、反対側が透き通って見えている。淡く黄色みがかったそれを掲げて覗き込むと、にっ、と笑みを浮かべた。ありがと、と男性に礼を言うと、ゆっくりと扉から出て行く。
その姿を男性はしばらく眺めていたが、すぐに興味が失せたように視線を手元に落とした]
[工房を出て、次に向かったのは教会。途中アンジュに会い、今日も何か見せて、とせがまれたが、ちょっと用事があるからと断って。そのまま教会へと入っていく。
静寂が支配する教会内。その奥、祭壇の前へと歩み寄ると仕事道具の中から透明なジャグリングボールを取り出した]
これで…奴らを探すことが出来る。
探して、この手で──。
[ここに居る人狼がディを手にかけたものでは無いとしても、人を襲うことには変わりなく。この手で駆逐するのが、己の望み。
手に入れたトパーズをそのジャグリングボールにはめ込むと、その中には10個の宝石が輝く。赤、青、緑、白、黒、黄──。宝石の入ったジャグリングボール。それを両手に抱え、瞳を閉じると呼吸を整えた]
…教えて、ディ……僕に、あの人の本質を。
[ぽーん。透明なジャグリングボールが宙を舞う。それが手の中に戻ってきた時には2つになり、その中央には透明な石─クリスタル─と黄緑の石─ペリドット─がはめられている]
場の浄化を…この一時だけ、悪しきものを排せ…。
その曇りなき身に、彼の者の真実を映し出せ。
[宙に舞うボールは3つ、4つと増えていく。赤い石─ガーネット─と白い石─ターコイズ─。心を無にし、集中する。宙に舞う4つのボールが僅かな光に包まれ、手の中に戻るとまた一つに戻る。両手の中に収まると光は失せ。ボールを左手に乗せ、右手をゆっくりと退けた。そこに現れたのは──]
[現れたのは黄色─ターコイズ─がはまった状態のジャグリングボール]
…そっか。
あの人は、違うんだね。
[一人、疑いが晴れる。ふぅ、と僅かに安堵の息を漏らした。あの人が違うなら、一体…]
一体…誰…。
[零れた言葉は静寂へと溶けて行く。ジャグリングボールを仕舞うと、荷物を手に教会を後にした]
[教会を出ると、その入り口付近でアンジュが座り込んでいて。こちらの姿を見つけると、ご用事終わった?と訊ねてきた]
ずっと待ってたの?
しょうがないなぁ。
[小さく苦笑いを漏らして。アンジュの頭をぽんと叩いてから]
それじゃあ、何が良い?
見たいのをやってあげるよ。
[希望を訊ねると、さっきのがもう一度みたい、と返される。若干目を丸くし、その傍らにしゃがみ込んで]
もしかして、見てたの?
…あれは他の人に見せるものじゃないんだ。
だから、出来ない。
[ごめんね、と苦笑いを浮かべて。アンジュは残念そうな顔をしてから、それじゃあ占い!と新たな希望を述べる。それには頷いて、また広場の片隅に簡易テーブルを展開させ、占いを披露し始めた。僕は手品師なんだけどな、と内心苦笑いで呟きながら]
―――!
[シャロンが、跳ね起きるように目を覚ました。
・・・頭痛がひどい。
その痛みに顔をしかめながら、ゆっくりと頭を振った]
・・・?
[その視線の先に見えるのはいつもの景色ではなく、知らない景色でしかなかったことに気づき、シャロンは小さく首を傾げた]
ここは・・・?
私は・・・何を・・・。
[少しだけ足元がふらついたが、それでも、シャロンは扉を押し開ける。
―――そこから見えたものは、いつもの食堂。
マスターがヒマそうな顔でタバコをふかしている姿。
ゆっくりと近づき、シャロンはマスターに問うた]
もし・・・すまないが、何があったのか・・・聞かせてもらっても良いか?
[声にビクリとマスターが勢い良く振り返ったが、その顔を見て、マスターが目を丸くした]
[聞き出したことはとても単純なことだった。
―――クローディアが死に、そして、シャロンが倒れた。
それだけのことだった]
クロー・・・ディアが・・・?
[嘘だ!と叫びたかったが、シャロンの頭の隅に確かにそれがこびりついていた。
シャロンの目の前で、クローディアが死んでいる姿を。
シャロンは確かに見ていたのだ。
だが、それ以上のことは何も思い出せなかった。
クローディアが死んだ。
それが一体どういう状況だったのか。
どういう死に方だったのか。
部屋に変わりは無かったのか。
その全てが―――何も思い出せなかった]
・・・マスター・・・。
クローディアの部屋を・・・見てもいいか・・・?
[そのシャロンの言葉に、マスターが顔を渋く歪ませた。
昨日のシャロンを見ている限り、またそのような状態にならないともいえない。
そして、次にその状態になったときに、何をするのか予想も出来ないからだ。
だが―――。
止めたとしても、何が変わるというのだろうか。
今止めたところで、そのうちきっとシャロンはクローディアの部屋に行くことも確かだろう。
それならば、早めに行かせて、シャロンにクローディアが死んだことを認識させ、そして、乗り越えてもらおう。
長く熟考していたマスターが、「・・・どうぞ」とだけ呟いた]
・・・感謝する。
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