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[撫でられるのは温かく]
[きゅっと、その着物を握る手に力がこもる]
……おら。
…………もう、こわくあらんよ?
[今朝の夢を思い出して]
ちがうん、こわかったん。
じゃけん、今はこわぁないよ。
……みんな、いっしょじゃも。
[館の中の小さな部屋。
ふわふわと、ゆらゆらと。
夢現の狭間を彷徨いて。
きつく閉ざして隠れた紅緋は。
現映すを拒むよに。
確りと鞠をかき抱き。
ゆらり、ゆらりと漂いて]
〔くすくす、笑ひ声も消え去りて、
しとしと、雨の静かに降り続く。
音なく進めらる足が止まりしは、
幾つか並ぶ小さき部屋の一つにて。
傾ぐ首につられて揺れる深紫、
同じく揺らる戸に映る薄き影法師。〕
そうかい、そいつは良かった。
[ゆるりと目を細めて、応えた声は柔らかく]
人と違ったものが見えても、人と違ったものが在っても、そいつは坊のせいじゃない。
だから構わず、好きなひとと一緒に居ればいいんだよ。
[独り言のようにそう言って、子供を確り抱いたまま、銀糸の雨に駆け出してゆく]
[優しい声音]
[言葉に、きょとんとして]
からすにいさま……?
[しかし見上げると、かけだしていく]
[糸のような雨]
[しっかりと抱えられ、着物に捕まって]
[だけれど、濡れてしまうと思ったか]
[片手を伸ばして、大兄にしっかりとしがみつきなおす]
[せめてあんまり濡れないように]
[戸の向こうから聞こえた音。
それが何かはわからぬものの。
紅緋に映る世界と、それは何かで重なるか]
……っ!
[紅緋が開き、勢い良く跳ね起きる。
それに合わせて、転げた鞠が。
戸に当たっててん、と音を立てるか]
[子供を抱いて、駆けていく、その足元に跳ねる水さえ白かろうか?やがて、館の戸を潜り、ふう、と零した吐息がひとつ]
やれやれ、こちらがわでも、雨は雨。
ねいろ坊、大丈夫だったかい?
[上がり口に、子供を立たせて問いかける。やがて気付いた童子達が、乾いた布を持って来よう]
〔抱えし布が放り出されて宙を舞う。
落つる白を掻き集める童子を見つつ、
はたりはたりと瞬かれる紫黒の眼。
雨の日には気をつけねばいけないよと、
しゃがみ込み注意を促そうとした刹那、
ころころてんと小さな音が耳に届く。〕
おらは、大丈夫じゃぁ。
[とん、と足をついて]
じゃけん、からすにいさまが濡れてもうたん。
寒う、ない?
[童子の持ってきた布を、自分ではなく、大兄の方に]
[しばし、茫、と座り込む。
夢、夢、現。
現すらも夢と言えそなその場所で。
紅緋は数度、ゆるとまばたき]
……ゆめ?
[零れ落ちしは、小さき呟き。
それから、戸の向こうから投げられし声。
それが、紅緋に現を見さすか]
……あやめの、ねえさま?
寒くはないさね。
[笑って布を受け取ると、そのまま、ねいろの髪をくしゃくしゃと拭いて]
早く着替えて…さてさて、その前に湯を使ったほうがいいだろうかねえ?
[冷えたままの頬に手を当てて、思案顔]
からすにいさまも拭かなぁ!
[ムゥっと膨れた顔]
[そして続いた湯の言葉]
[あんまり好きではないという表情が浮かんだか]
[しかし目の前の大兄も、湯にあたったほうが良い]
からすにいさまが一緒ならお湯に入るけ、一緒はいろ?
[自分ひとりじゃ入らないだろう、と]
[大兄について思ったのか]
[いやな夢。
問われし事は正鵠を射て。
答えに迷うよに、紅緋はゆる、と伏せられる]
……うん。
[しばし、時を経て。
零れたのは、消え入りそうな肯定の言]
一緒にかい?
[ねいろの言葉に、驚いた顔。はてと首を傾げはしたが。すぐに笑って頷いた]
たまには悪くないかもしれないねえ。
[それじゃあ、ゆこうか、と、子供の手を引いた]
うん。
あったこうなるよ!
[にこっと笑って]
[手を引かれ、二人、濡れたまま湯殿へと]
おせなか、流したるけん。
風邪ひいちゃ、あかんもん
そうかい。
[歩み寄り傍にしゃがみて首傾げ]
悪い夢は人に話すと好いと言うけれども。
坊の好きにするといい。
[風漣の手に朱と金の色彩を差し出す]
話すと……良いの?
[おずおずと、紅緋の瞳を上げ。
差し出された華の紋を両手でそう、と受け取る]
……前にあった、やな事は、悪い夢に、なるのかな?
[零れるのは、問うようにも、独り言のようにも響く、かすれた呟き]
それじゃ、俺は、ねいろ坊の背中を流してやろうかねえ。
[笑みを零して、湯殿へ入る。熱い湯に怯んだ子供に、ふざけて湯を跳ねかける顔は、己も子供に近いかもしれず]
[穏やかな言の葉。
紅緋は華の紋を見つめ、迷うように揺らぎ]
……夢……かなしい夢だから……悪い夢?
[小さく、呟き]
いなくなってしまった夢。
よくしてくれた子が。
それで。
『いらぬ子』に関わったから……て。
皆が言う夢……。
[ぽつり、ぽつり、と。
途切れがちに、言葉を紡いで]
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