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―寮・自室/早朝―
[目覚めを呼び込んだのは、遠くから響く鈴野の音。
そして、無邪気と言えば無邪気な声]
あの子……桜花……か。
[小さく呟いて、起き出す。
静かな部屋。
ため息を一つついて起き出して。
身支度を整え、部屋を出る。
その手には、竹刀]
[寮を出る前にふと思い立ち、給湯室へ。
忘れていた和菓子を一つ、麦茶と一緒に摘まんで。
ふと、家族の事を思う。
連絡がつかなくなって、皆心配しているだろうか。
過るのは、そんな思い]
[女子寮、各階に備え付けられた洗面所の三階。
掌に掬った温い水に顔を浸す。水音。
顎の先から滴る雫を手の甲で拭い、タオルを一枚、たっぷり水を染み込ませてから絞った。
同居人の額にそれを乗せる為に、自室へ*戻る*。]
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自分の欲しい物は。
ちゃんと言うべきだったんだね。
欲しい物にはちゃんと手を伸ばすべきだったんだ。
だって、そうすれば。
一人にならないですんだのに。
寂しいだなんて思わずに済んだんだから。
/*
それではお任せしても良いかな?
やりやすいように、というか
応援しているので好きにやっちゃって下さい。
もう散々、好き勝手させて貰ってるからね。
ト書きとかで上手い事書きたかったけど
いまは時間無くて。ごめん。
*/
もっと力が欲しいよ。
そうすればもっと手を伸ばせる。
ねえ。
壊れちゃうくらいなら。
その前にちょうだい?
甘くておいしいの。
力の、源。
それをくれれば。
もっと音色に近づける。
/*
了解しました、ありがとうです。
流れを見ながら仕掛けていくようにします。
無理はなさらずに!
お時間のあるときにまた構ってやってください。
*/
[ぼんやりとそんなことを考えていれば。
いつのまにか日も高い位置まで来ていて]
まあ、とりあえずは。
様子を見に行ってみようかな。
[クルリと身を翻して部屋に戻る。
動きやすそうな服装に着替えると、特に目的を定めるでもなく*外に出た*]
―寮・自室→…―
[彼の少女の声は此処まで届いたか、夢現の中に聞いていたかも知れない。
のろのろと顔を洗い、最低限の支度を済ませて部屋を出る。
ほんの少し前、最愛の妹と久しぶりに会話した場所を、]
……ああ。
今日って、何日だっけ。
[彼女が二度と動かなくなった場所を見つめた。その正確な位置はもう既に思い出せなくなっていた。
ただ、彼女がもう家に帰ることは二度とないのだと、それだけを。]
…母さん、大丈夫かな。
[もしかしたら恋人でもできたのかも知れないと、最期の会話を思い出す。夫を亡くした傷がやっと癒えたのに、娘までも亡くしたと知ったら。]
―寮・自室―
[ごろ、と床の上へ腕を投げ打って、身体を仰向けた。
本当はベッドで寝ようとしていたのだけれど
二段ベッドの骨組みが金属で出来ている為か、
少し動くだけで静電気が走って、痛くて仕方ない。
冬場でもこんな事なかったっつーの、と小さく舌打ちを零して。
妙に冴え渡る感覚へ意識を向けながら、
白い天井を見詰めたままの視線をゆるりと瞬いた。]
……寝れねー。
[がば、と軽く勢いをつけて身体を起こす。
原因は色々思い辺りが多すぎる気がするけども]
―…→桜―
[其処から寮を出て数分の後。あの桜の下に洋亮は居た。うたいわらっていた少女の姿は、今は見えない。
根元に座り、幹に背中を預け、瞳に未だ宿らない感情の代わりに薄紅色を映した。]
『うつわはだいちに、たましいはそらに』
[少女がうたった言葉を思う。大柄な先輩が、お経を上げてくれたと聞いたことを。]
……ちゃんと、いけたか?
[想うのは彼女。
そして、もう一人。]
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