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[ノーラを運ぶハインリヒ。そして治療を施す、ブリジット。
心配ではあったが、己にやることはなく]
任すぞ
[とだけいって、苛立ちを隠すように倉庫へと]
[ノーラが中に運ばれる様子を、何処かぼんやりと見つめた。
眩暈がする。]
殉職。
おおかみにころされた。
だったら、おおかみを・・・・
[視線は何処へと向かうか。うわ言の様に口走る。
語尾は掠れて消えた。]
あー、おい、せめてその服…
[着替えろよ、と、男が言う前に、一気に喋り終えたミハエルが目を閉じる]
やれやれ…その見た目がすでに物騒だっての…
[彼に対する優しさというよりは、その右側をべったりと濡らした紅を隠すために、男は部屋の片隅から探し出した毛布を、ミハエルの上にかけておいた]
[ミハエルの語る言葉。
実験云々……は、興味はなかったけれど]
……はっ……。
じーさんのマメな性格が、見事に裏目に出やがった、って事かよっ……。
[吐き捨てるような言葉。
蒼の瞳に宿る感情が何か、他者が伺う時間は殆どなかったろう]
……はあ?
[クレメンスの言葉に、一転、惚けたような声を上げて]
手はともかく……目って……。
って、ちょっ!
[どういう事だよ、と問うより先にユリアンをこちらへと押され。
取りあえず、転ぶ前に支えようと手を伸ばし]
[ノーラが頷いたのを見て、袋から弟切草を取り出し、台所へと向かう。]
ハインリヒさん、ノーラさんお願いします…。
[途中でクレメンスの声を耳ざとく聞きつけて。][次ぎはユリアンを診るべきだろうかと思いながら。]
…シスター。
何かお手伝いできること、ありますか?
[もう何が何だか分からなかった。
ミハエルの言葉も理解したようなできなかったような。
頭痛も身体の痛みも慣れたというか感じるのが鈍っているというか]
…そう、だね。
[リディにそう答えたから、だったかもしれない]
[マテウスの申し出に一つ頷いて]
では、お手伝いさせていただきますね。
[そう言って、少し具合がよくなったように見えるイレーネに]
少し出てくるけど、大丈夫かしら?
[と声を掛けて。
その後でマテウスの後を追う]
[アーベルが受け取るのを確認すると、彼らを追って広間に入った]
[説明をする気は、さらさら、無い]
[治療を手早く終えたらしい]
[ノーラを見る]
…大丈夫、とは聞けませんね。
[目を伏せた]
[客観的に、今の体勢を考えたのなら、気色が悪いと思う。
健全な男子としては、正しい反応のはずだ。
ぞわぞわと、寒気にも似た感覚が背筋を通り抜ける]
って、そこまでばらすことないじゃ
[離れようとした途端、軽くとはいえ背中を押されて、またバランスを崩しかける。目の先に見慣れた青が見えて、先程の二の舞にはなるかとは思ったのだが、手を伸ばされたら、努力は無駄というか、逆効果じゃなかろうか。
そんなことを考える余裕は、なかった]
んあ?ああ、わかった。
[ブリジットが薬を作りに行く様子に、男は、もう一枚毛布を持って、ソファーの傍らに戻る]
奥さん、辛いだろうが、もうちょい目を開けててくれよ。薬を飲んじまったら眠って大丈夫だからよ。
[ノーラに話しかけながら、血を失って体温が下がっているだろう身体を毛布でしっかりと包むようにする]
イレーネさんは、少し休んでいた方がいいかもしれないわね。
[そう言って]
[恐らく彼女が見るには、それはあまり良い物ではないだろうから]
[ヴィントがきちんと返事を返したのにほっとして。][幼子は子犬のようにぱたぱたと、尾を振るような気配を見せたが。]
こわれる。こわれるのは、やだなぁ…。
[小さな意識はふるふる震え。][その場に蹲った。]
[ブリジットに手当てを受けながら、ミハエルの説明を聞いていた]
[小さくため息をついた]
・・・もう村へは戻れないってことかしらね。
それでも即皆殺しにされないだけ、ましなのかもしれないわね。
一体、これからどうなってしまうのかしら。
[その後に聞こえてきた言葉に][ユリアンに視線を送る]
貴様が。
………くはは。
実祖父を殺した貴様が。何を守ると?
[銀は強く雑音を混ぜながら。][まるで嘲笑うように高らかとワラウ。]
それに抗えば、どのみち壊れる。
お前の選ぶ道は、一つしかない。
[銀の声は。][追い詰めるように。][可能性を消してしまうように言ってしまう。]
[倉庫に行き、色々と漁って
そこにあったボロ布に油を染み込ませた。ただ苛立ちは消えない]
ったく、狼ども気がきかねえことだ
[去り際にミハエルがいっていた。自衛団員の態度。実験などしったことじゃないが、傭兵であるためか。そういうことは実感として知っていて]
はぁ…厄介なことこの上ないものだ
[ハインリヒに毛布をかけられると]
[痛みを顔に出さないように青白い顔で笑う]
ええ、すみません。
皆さんにご迷惑をおかけしてしまって・・・
[毛布をかけられたミハエルに視線を送り]
[ブリジットが向かった台所の方をちらりと見る]
[イレーネの相槌が、自分に向けられたものだとは認識しなかったのか。
玄関のほうへと向かおうと、其方を見る。]
・・・・・・
なにしてんの?
[丁度、ユリアンがアーベルに向けて倒れ込むところだった。]
[取りあえず、いくらなんでも野郎を抱きとめる、という思考はないらしい。当たり前だが。
衝撃を与えないように、ぽん、と軽く、肩を支えるように受け止める。
……弾みで滑ったら、予定外の事になるかも知れないが]
……お前。
ほんっとに、大丈夫か?
[蒼の瞳はじぃ、と。
背後におどろ線も見えるかもしれない]
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