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ん、結構あったかい…。
[ぽわぽわと湯気をあげながら、柵を乗り越える。]
あー、そっか…ユリアンは灰色の小さい恋人にコクるんだっけか。
って、だから、教えねえっての!
別に、どーでもいいだろーがっ。
[リディの問いにも、早口にこう答え。
それから、続いた問いには一つ瞬いて]
ヴィント?
ああ。暴れるから、避けさせといた。
多分、そこらにいるんじゃね?
[さらり、と問いに答え。
……当の相棒は、ちょこまかちょこまか、こちらへ向かっている所だったりするのだが]
ええ、そうですね。きっと、競争の結果が出ていると思います。
[ダーヴィッドに促され、少女は歩き出す。実のところ、結果はかなり、気になっていた]
[――聞こえたのは、確かに”妖精王”の声。]
誰を…誰を、逃がさないと言うの……?
[消えた誰かは…何処へ行ったのか戻ってはこない。
もしも…その逃がさないと言っている誰かが捕まるまでは、次々と何処へかと連れて行かれるのだろうか?
――彼女を救ってくれた、大切な主も?]
…ダメ!
ご主人様は…連れて…行かないで……!
[彼女には守る力なんてないけれど、それでも…自分の身を犠牲にしてでも、彼が何処かへ連れて行かれるのは嫌で。
自分の無力さに半泣きになりながら、繋がれた手の温もりを感じていた。]
[血筋。
つまりは妖精王もこうなのだろうか。
己の種族の王をイメージしていた所為か、なんとなく奇妙な感じ]
此方こそ、改めてよろしく。
ふむ…では私も少なからず呼び慣れた方で呼ばせてもらおう。
[なんだか含みを感じるも、
まあいいやと流しておいた。]
しってるんじゃないかなぁ・・・?
エーリッヒさんとか。
…
[ユリアンの答えにはわざと、むぅ、と小さく呟き]
…いけずぅ。
[ぼそり。しかし、すぐに笑みを浮かべ]
多分、そこら、って…ヴィント、必死にユリアンのこと探してるんじゃない?
[見えるのは、鼠飼いの男――もとい、ユリアンを中心としたグループばかり。
暫く眺めていたものの、視線を戻して]
団長がいないのか?
大方、実行委員会の会長といったところだろうが……
職務怠慢だな。
[会った事もない彼にとっての認識は、その程度]
先程の水の音も気になるしな…
[ミリィの言葉にそう返しながら、ベアトリーチェの後を追う。
途中、地を走る鼠の姿を見つけ]
ヴィント?
ついでだ、乗っていくかい?
[鼠の前に手を差し出し、乗るのならば肩に移して共に行こうかと]
……ま、色々とあるわけで、うん。
[また何となく、ため息。
妖精の森を統べる王が、実はお気楽で妻に頭が上がらないとか。
……広めたくないのが本音ではある。何せ自分の親だ]
ん、それでいいよ。
は、ともかく、これからどーしたもんかねぇ……。
[必死に笑いをこらえていたが、ふと、聞き覚えのある声が聞こえ…]
ぁ…ミハエルさんに…ノーラさんに…ユーディット、さん…?
こんばんは…みんなも、見てたの?
[団長が居ない、という言葉に少し迷ったが、騒がせない方が良い、という言葉を思い出し、軽く首を傾げた]
職務…
あの団長さんに限って、怠けるなんて有り得ないと思うのだけど…
[声にはそう返しながら、人の集まり始めた源泉を眺め]
……行ってみましょうか?
[何気なく誘ってみる]
[返ってきた答えは、肯定とも否定ともつかないものだったけれど、それ以上訊ねる事はせずに。
「いいな。」という声にも、小さくはいと頷いて。]
………ぁ。
[ふいに感じた冷たい風に、手が離された事を実感する。
今までの、色んな事が怒涛の様にだーーーっと流れていったりなんかして。]
すっ、すみません…でした……。
[……色んな意味で真っ赤になって恐縮しまくり。]
……って、お前らなぁ……。
[なんか妙な方向に流れて行く話に一つ、ため息をつくも。
内心では、追求されない事にほっとしているとかなんとか。
一方、話題の相棒は、手を差し出されて、きゅ、と言いつつ一つ頷いて、ととと、とその手に乗っかっていたり]
……そうか。
[聞こえる溜息に聞かない方が良いのだろうと判断。
ユリアンの印象から推察するしかないので意外に話しやすそうだとかしか考えられていなかったりするのだが]
これから、か…
一応結界の綻びは改めて探したんだがな。
別の手を探した方が良さそうだとは思った。
…はっきり言ってしまえば収穫はまるで無し、だ。
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