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ロザリーね、よろしく。
[出来るだけ声は固くならないよう、気をつけて。
オーフェンが身を竦めたのを見て撫でようとした手はふわり、その目的を止めて自らの首のうしろを撫でた。]
ん、羊に興味あるのか?
今度みにくるか?
[窯の後始末をしている間に兎は冷めた。
小屋に戻り紙に包む。]
……余り溜まっていないが、ついでだ。
持っていくか。
[薬の原料になる胆を乾燥させた物を戸棚の奥から出す。]
そうだな。
…どうにも、未だ俺の表層意識の「ラス」は、シャコンヌ…違うか、ロザリーの事を良く思ってないらしい。
態度は悪いが、赦せよ。
[ 少し感じた違和感に首を捻るも気にはしない。]
はい、よろしくお願い致しますわ。
[ 少し様子の変わったオーフェンに笑いかける。]
そんなに気にすることありませんわ。
リディアも心配していたのです。
なので、安心させてあげてください。
[ そう言って極力安心させるよう声をかける。
怖がられなければその頭を撫でようと。]
あれ……?
[声色が戻ったラスに、自分の気のせいだったのかな、と瞬き]
うん。興味、ある。
見たい……海みたいな、羊
[瞳に好奇の色を濃く浮かべる]
[舞い上がり、風を捉えて滑空する。
深紫が空に舞うのは、余り回数の多い事ではない。
本来の四翼を二翼に抑えている分、飛行時の負担が大きいからだ。
風を捉え、滑るよに島の外れ、岩場の小屋へと辿り着くと]
旦那ー、いるかぁーい?
[舞い降りながら、声をかける。
その肩に、一歩遅れてラウルがふわり、と舞い降りた]
私、「ラス」殿に嫌われること致したでしょうか?
記憶にございませんが。
別に構いませんよ。
[ そう言って少し考える。]
嗚呼、でもグレイ殿とラス殿は違うのですね。
私はどうなのでしょうか?
[ 少し考え込む。]
うん。リディアさん、も、心配……?
そっか……
[悪びれた表情の中にも、喜色が見え隠れ。伸ばされる手には、できるだけ表情を変えないように口をぎゅっと噛みしめ]
[広げたままの翼に負担をかけぬように、
眠る姿勢は自然、俯せに近くなっていた。
瞼を重たげに開けて、目に入ったのは、白。
数度、瞬く。
金糸雀色は、ぼやけている]
……、……………。
[手を突いて身を起こそうとして、声に、止まった]
[首を捻られ、ん、んん、と咳払いをする。
オーフェンには笑いかけて]
あー、今うちの羊毛刈った後で禿げだわ。
海みたいじゃないかも。
[悪戯ぽく、言う。]
あぁいや、「ラス」も「グレイ」も殆ど一緒だな。
ただ、黒い部分を必死で隠そうとする表層意識と、隠さない「本心」ってだけだ。
[くく、と笑って]
いや、単純に妬んでるだけだな。
俺の「負」は、単純に自分の力の及ばない所での不運、だから――何不自由なく暮らしてた奴は、妬み、僻む。
[他に爪や牙なども出し、全てまとめて袋に入れた。
羽ばたきの音に窓の外を見る。深紫が蒼穹に映えた。]
……来たか。
[狭い小屋を横切り、扉に手を掛けて大きく開け放つ。]
ああ、いるぞ。
えー……
羊、禿げ、なんだ……
[あからさまに落胆。むぅと指を口元に当てて]
ラスさんって、つがい?
[首を傾げて、唐突な問い]
今日は、出かけてなかったんだねぇ。
[開け放たれた扉と、返ってきた声。
返す言葉は、僅かに安堵を帯びていたか]
昨夜は送ってくれてありがとねぇ。
これ、野菜と魚と、適当に作ってきたから。
ちゃんと、食べとくれよ?
[提げ鞄を示しつつの言葉は、どこか念を押すようにも聞こえるやも知れず。
肩のラウルは、細められた目にぴぃぱた、と羽ばたいて挨拶を返す]
[ オーフェンの微妙な表情には気付かず頭を撫でる。]
はい、だから後でお話してあげてくださいね。
[ 会話の中心は羊のようで。
動いているところは見たことがあったろうか。]
……では、オーフェンの姿も見ましたし、私はこれで。
少しお元気そうに見えましたので安心致しました。
[ そう言って離れる。
オーフェンがラスに珍妙な問いをしているのを笑いながら。]
ふふっ…では私はこれで失礼致します。
ラス殿も、また。
[ そう言って羽根を広げその場を離れていく。]
あは、綺麗だね…
[あれは結界樹のほうへいったのだろうか。
あっちは岩場のほうへいったのだろうか。いや、それはどうでもよくて
衝動を抑えるように、花を散らす。木を蹴り飛ばす。]
[オーフェンの言葉には、細い目を縦に精一杯開き、ぱちぱちと瞬いて。
大分長い時間固まって、口を開く]
つが、い、って…
[目を見開いたまま、手の平をばたばた振った]
いや、独身だぞ。
……うん。わかった
ありがとね……ロザりんさん
[ロザりんが羽根を広げる所を惚けたような瞳で見て、手を振り見送る。その後ラスの方を向いて]
あ、そうなんだ……
ラスさん、大事な人って、いる?
そうですか…。
私は殆ど一緒ですね、変わらない。
[ その後から聞こえた言葉に納得する。]
妬み……ですか……。
成程…不自由なく…。
そう…見えるのですね。
[ それを聞いて其処から離れる。]
貴方が感じた以上に不自由でしたよ。
まぁ、どうだっていいんですけど。
それでは失礼致します。
[ 淡い金色が暗く明滅する。]
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