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大丈夫。迷惑なんかじゃないよ。
…隣で怒鳴ったりして、ごめんね。
[頷きに応じて身体を起こすのを手伝おうと。
一人で支えきれなければ、蓮実の方を振り仰ぐだろうか]
うん、ゆっくり飲んでね。
[求めに応じて、そっと手に取ったコップを口元へと近づけた]
榛名さん。人というのは多かれ少なかれ迷惑をかけてしまうものなのですよ
誰であっても、一人で生きるのはひどく難しいものですからね
それに迷惑と思っていることが意外に迷惑でないこともあるんですよ
[身じろぎしながら起き上がり、水を飲もうとする榛名に、玲だけで足りずに必要ならば手助けしながら]
ああ、私は、勝手に心配して勝手にやってるだけですから少なくとも一人分は気にしないでください
[付け加えるように]
[自分と同じくらいの背の涼の頭をなでながら]
ううん、謝らなくてもいいんだよ。
怖かったんだよね?
[じっとその顔を覗き込みやさしく笑いかけて]
うん、ボクは琉璃、八幡琉璃。
こんな見た目だけど男だよ。
[ゆっくりと、近づく。
周囲に立ち込めるのは、桜の香りと、鉄錆のそれに近いにおい。
全く正反対の二つは、妙に調和しているようでもあり]
……綾?
何してんだ、そんなとこで……。
[掠れた声で呼びかける。答えはなく。
紅に染まった真白の装束の上に、薄紅がはらはらと降りかかる]
……おい……冗談、きつい……ぜ?
[すぐ傍まで行って、傍らに膝を突いた。
地面に広がる紅が服にうつるのを気にする余裕はなく]
綾……おい、綾っ!
あまり詳しいというわけではないですが、どちらかというと精神的なことでの発作でしょうから、落ち着ければ後は回復します
[騒がしくならぬように幾分声を潜め、裕樹と小百合に言い]
お二人ともありがとうございます
[後ろから付いてくる孝博にちらりと視線を向けると]
……良くない結果は推測出来ているが、その過程はいくつもあり得る。
だから、単独行動を避けようと貴様等を連れてきたのだが。
[そして視界に入ってくるのはあり得ないはずの桜の花弁。]
くっ、やはり、か。
[くすりと笑みを浮かべながら]
うん、そのうちが、もうすぐのよう…だね?
[涼の意識にはやさしく]
大丈夫かな?
何も怖がらなくても大丈夫だよ。
そう、ボクたちと一緒に今涼は一緒だから。
ボクたちは仲間、だしね?
――さっちゃん、強い。
[考えるより、先に、つい呟いて。]
………うん。ありがとう
ここに、いる。
[少し、笑えた気がしたけど、よくわかんなかった。]
中/
ここは「必要だ」と言ってあげるのが正解な場所なんだが、聡はとにかく普通の人間の「弱さ」を知らないというか、否定したがる男なのだ。
/中
[頭を撫でてくれるるりおにーさんは、とても優しくて。
なんだか、いっぱいみんな、いてくれて、うれしいなって思う。
こくん、って、頷いた。いっぱい。]
――るり、おにーさん、男のひと?
[顔をあげたら、目が合った。なんだかちょっと、ふわふわしてる気分。]
うん。
わかった。
[水が飲める様子までを確認し、玲の謝辞には曖昧に笑う]
一応、どういたしまして。
[軽く症状の説明を蓮実がして。彼が榛名の元に向かえば、小百合の腕を突き、部屋の外に促そうと。
声を出さずに、聡のこと、と口を動かせば意図は伝わるだろうか]
[呼びかけに、答えはなく。
逡巡の後、抱き起こした身体は、軽い──軽すぎて、戸惑った。
軽さの理由は単純な──質量の喪失。
心臓と、身の内を巡る紅と。
それらを失した身体は軽く、冷たく]
……なん……で。
[掠れた声が、零れ、そして]
……なんで、なんだよっ!
[それに続いたのは、絶叫。
それに答えるものはなく、ただ、はらり、薄紅が舞い落ちた]
れ…ちゃ……、わ…くな……。
[玲が謝る様子にゆっくりとした動きで首を横に振ろうと。起き上がるにはまだ身体に力が入らず、結果蓮実の手も借りることになった。玲に持ってもらったコップから、ゆっくりと、少しずつ水を口に含んでいく。それはほんの少しの量だったが、榛名の口の中を冷やし湿らせ。コップから口を離すと、ほぅと一息ついたかのように息を吐いた。
蓮実の言葉を聞くと]
で、も、わた…は、ちいさ…ころ…ら、み…なに、か…つづけ…る…。
[気にするなと言われても、元来このようなことは気にしすぎるところがあり。自分に非があると思い俯いてしまう]
気にしないで。
気になるならほら、本のお礼ってことで。
[榛名にはそう軽く告げる。]
精神的…かぁ。
[蓮実からそう告げられて、思い浮かぶ原因が一匹。
十中八九アレよねアレ。とは思ったが、玲と榛名に配慮して口にはせずに。]
いえいえ、お互い様ってね。
[自分が事故を起こした時の事を思い出しながら、蓮実にそう返したり。]
そう、
あまり一人でうろつくことはお勧めしない、けどね?
特に聡はトラブルメーカーのようだから。
[立ち去る背中にそう声をかけるが聞こえていたのかいないのか聡の背中を見送り、涼の方に視線を移してわらいかけて]
若いというか、幼いというか、
いろいろとしてくれるね彼は。
[それは涼にかけた言葉のことでか、
それともトラブルを起こしている様子のことか]
[薄紅色の花弁を吹き散らす桜。
その根本に史人を見つけ駆け寄るが、その腕に抱かれた人物に目を細める。]
……まさかと思ったが。やはり綾野か。
[その言葉は、この事態を予見していたような言葉。]
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