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[ご愁傷様、という言葉に、浮かべるのは苦笑]
……まったくだ。
ついてないったらありゃしない。
あれを見ちまったら、話し合いがどうの、って気にもならんよ、さすがに。
[歩みはゆらりとして遅く。
空腹に負けて数分もかからない道程を倍くらいの時間をかけて進んだ]
…あー、くそ。
休憩すら忘れる癖もどうにかしないとな。
[空腹の原因である自分の癖。
それに悪態をつきながら広場へと足を踏み入れる。
何故だか騒がしい。
先程工房を訪ねて来た自警団の面々も駆け回っていた]
……何だ……?
[流石に訝しみ、その歩みを止める]
[ユーディットに声をかけられたのは、カインに逃げられた直後あたりか。
白猫の背に、ごめんねと小さく呟いてから。]
あ、はい…
[一旦頷いて、ふと何か思い出したように首をふりなおす。]
…いえ、一旦戻ります。
ちょっと薬、取ってこないといけないし。
[ミリィに一つ渡してしまった分の補充と。
もうひとつ、取りに行きたい物があった。]
大丈夫、人の多い道を歩いていきますから。
[心配してくれているのか、それとも他の意図があるのか。
ユーディットの胸中はちらと思うだけに留めて、平気ですという風に微笑んでから娼館へと戻っていく。]
話し合う気にならない、だけなら未だしも、
物騒な方向に向かい兼ねないねえ。
自衛団の連中も、大分殺気だってたし。
……ま。
もしもの報復恐れて、早々手出しはしてこなさそうだけれど。
[カウンターにグラスを置いて、肩を竦めた]
ん。ってことは、ユーディットとはすれ違い?
/*
[ぺしょったエウリノの尻尾をちょんちょん。なでなで。]
あー何となく理解。
うーん、上手く補修できるといいのだけど。
[日は暮れて、夜の帳が落ち始める。]
……事情聴取ってこんなに時間がかかるものなの?
[広い家で独り待つ。いつものことなのに、不安が波のように押し寄せてくる。
耐えられなくなって、家を出た――
――ところで、近所の住民と鉢合わせた。
相手の表情が強張り、手に持っていた買い物袋が、とさり、と音をたてて落ちる。]
あ、っ、ええと。
[声をかける間もなく、相手の喉から、ひぃ、と悲鳴が漏れて。
まともに話しかけることもできないまま、一目散に逃げられてしまった。]
……背中見せて逃げたら、危ないですよ?
[ぽかんとそれを見送った後、出てきたのはそんな一言だった。]
……ああ、かなり殺気だってたな。
っとに、手は商売道具なんだと、何度説明した事か……。
[ため息と共に撫でる右の手首には薄らと浮かぶ、痣]
まあ、多少手荒な扱いは受けたが、さすがに一気に何かする気はないようだったな。
[切欠があればわからんが、とこちらも肩を竦め。
ユーディットの名に一つ、瞬く]
すれ違い……って?
あー……そう、なるのかも。
[歩きながら、ぽつぽつとつぶやく]
ユーディ姉ちゃんが言ってた。何もなくても、誰が狼なのか、考えることができる、と。
考えるには何が必要…誰が怪しいかとか、そういう情報がないと、考えられないなあ…
[現場でちらちら見た顔を思い出す]
…誰か、見なかった人居なかったっけ?
[数人の顔を思い出していれば、前にハインリヒが歩いているのが目にはいる]
ハインリヒのおっちゃん、そういやいなかったよな。
[子供なりの浅知恵ではあるが。気になって、こっそりと後をつけてみることにした]
[どれだけそうして見上げていたのか。
大きく深呼吸をした後、いつものリズムで扉を叩いた]
ミリィ、家に居ますか?
無事かどうかだけでも良いので確認させてください。
軽く脅してやれば引っ込むよ、ああいう手合いは。
まあ、程度を弁えとかないと、逆上するけどね。
[村の仲間相手とは思えない言葉を、平然と発する。最も、自衛団側の対応も手荒いのだから、対抗するには丁度いいとも言えるが]
そりゃ、心配してそうだねえ。
[ユーディットの事については、どうする?と言外に問いを投げる]
[その後も騒がしい村の中を歩いていく間に似たようなことが何度か起こったが、いちいち気にしてはいられない。
自衛団の詰め所に辿り着くと、どんどんどん、と乱暴にドアを
ノックする。出てきた団員(負の感情が多大に含まれた表情をしていたが、やっぱりそれも気にしないことにした)に、エーリッヒの所在を尋ねる。]
え、……とっくに帰った、んですか?
[かえってきた意外な返答を、オウム返しに口にした。]
えっ、じゃあどうして……
あの、エーリッヒ様、まだ家に戻ってないんです。
どこに行ったかわかりま……
[必死で団員を問い詰める、前に、自分で答えが判ってしまった。]
……した。
いえ、はい。……すみませんでした。
[はぁーっとため息をつく。
自衛団員に頭をひとつ下げると、一路、エーリッヒのいるであろう酒場へ向かった。]
[多少急ぎ足だったせいか、宿に着く頃には息が上がり。入り口付近にいた自警団が明らかに殺気だった目で睨みつけてくる。そのうちの一人が尋問めいた事をしてくるが、それに合わせて状況を確認する]
…死んだのは団長のじーさまかよ。
…どーりでなぁ。
[事情を聞きだしながらメモを取っていたペンで額をコツコツと叩く。その様が気に入らなかったのか、自警団の一人が詰め寄ってくるが]
っせえよ。馬鹿。
それより俺の家に投石してくる馬鹿と落書きした馬鹿がいるぞ。そーいうのも取り締まってはもらえねーのか?自警団さんよ。
お前らからすりゃ胡散臭え容疑者が何されよーが知ったこっちゃねーかもしれねえが。このままほっときゃパニックになるぞ。狼の野郎よりもそっちのがよっぽど厄介かもな?
[それから振り返り、己の思考に没頭しているようなブリジットを見る]
フレーゲ先生、
果物は食べてやらないと可哀想ですよ。
何か、お飲みになりますか。
[色取り取りの、何処か不安定な“塔”を見て、眼を眇めた]
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