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[物音の先で何が起きたかは雰囲気で何となく察知]
ティル、エルザ。
先に広間へ行くとしようぞ。
[子供二人をその場から離そうと試みる]
――おなまえ。
[覚えたと云わんばかりに幼子が一つ頷く。
幼き故か、仔の知識の飲み込みは酷く早いのは前からの事。]
うん、ととさま――この中。
とじこめちゃった人をみつけたら、出てこれるって。
…ノーラがいってた。
[僅か俯きがちた幼子の顔を見上げる。
薄ら寂しげだったのは気のせいではなかろう。昨日あれ程に泣きそうであったのだ。
影竜の心添えが在りし物分りが良いといえ、父と離れて幼き心が平気とは思わぬ。
再度頭に触れられれば、幾らか安堵したか。氷竜へと視線を向ける。]
…ブリジットは、さびしくない?
―西殿・結界前―
あら、アーベル。いらっしゃい。
[精神竜の青年に、ふわりと笑みを向けて]
進展……進展、ね。
とりあえず、今までで解析できた術式の結果。はい。
[そう言って、手帳をアーベルへと手渡した。
無数の式が、数十ページに渡って書き込まれている]
だからどいてください。
[あっちこっちからちゃんと隠すものは渡されているし、もう一度くりかえす。
それからノーラの言うことを聞いて、遠くにいきかけた。]
違います。
これは事故ですから
[それでもこれだけは否定せねばと。]
[正直なとこ、状況とか全然わかってないのだが。
ザムエルの声と、火炎竜からも押し出しを受けているので、いたらまずいのかなぁ、とか、ぼんやり]
えーと。
とりあえず、回れ右??
[きっとそれが正解。いろんな意味で]
タオルはないが、ハンカチならあるぜ。
[ナターリエの声に、服の内側から出してきたのは、ハンカチサイズの白い布。
でるわでるわ。どんだけ隠しもっていたのかという量が落とされた。
だが、サイズ的にあまり意味が無いような気がしなくもなく。]
[事件の起こった現場に居ない青年には状況はわからず、だがなんとなく察した]
……無理なら、私が行くから。
[何をとは告げずに、ただ慰めるように月闇の竜に心を寄せた。直接の手助けはできないから]
―― 西殿・結界前 ――
俺はエーリッヒ。機鋼竜だよ。はじめまして、ベアトリーチェ。
[にこにこにこ。可愛いなあと表情が語ってます。それからブリジットに向けた顔は真顔に戻って]
へいちゃらとか言う方に限って無茶とか無理とか、平気でするんですから。
[なんだかしみじみ、実感がこもっているのは、青年の経歴を考えると少々奇妙かもしれない]
ユルは…お助けしたがってますけど、もちろん。でも無理しないのが一番ですよ。
[ブリジットの前で空中に停止して羽ばたいた機械竜が、同意するように黄色く瞳を明滅させた]
…、あ。
[新たに増えた人の影に、幼子が小さく声を上げる。
精神の竜であったか――紹介に預かったことは記憶に新しい。
声を上げたという事は、幼竜にも見覚えがあったという事だろう。
…尤も、仔の記憶の中に対する竜の名が刻まれているかは怪しいが。
確かあの場にて、陽光の仔竜とささやかな争いをしていたと記憶している。]
うむうむ、回れ右じゃ。
[こちらへと戻ってくるティルに頷いて。
未だ硬直しているらしいエルザを見ると、そちらへと向かい、広間方向へと背中を押していくことになろうか]
そう、おなまえ。
[言葉を反芻する翠樹の仔に、懐かしさを覚えた。
アウロラの世話役としてだけでなく、他の仔竜を育てた事もあったが。
仔竜と触れ合うこと自体久々で、どうにも穏やかな気持ちになる]
そうだね。閉じ込めちゃったいじわるな人、見つければ出れるね、きっと。
他の竜さんたちも、たくさんがんばってるみたいだから。
もうちょっと、待ってよね。
[穏やかな笑みを向けたところで、小さな瞳がまっすぐと見据えてきて]
さびしく……かあ。
ふふふ。アウロラの方が、さびしがってるかもしれないわねえ。
[何とはなしに、ぽつりと言葉を零した。ほんの少しだけ、困った笑みで]
え、あ、はい。
[狼狽えているのが丸分かりの声で、ザムエルに答える。
ダーヴィッドに押されるまま、その場を離れながら]
失礼を致しました。
オトフリート様と…ナターリエ、様。
[流水の竜の名前が出るのが遅れたのは、直接の会話がまだ無かったためか。それが余計になるとは思わず、平坦な声で二人へと謝罪を残した]
[タオルを渡されることこそ無かったが、ハンカチサイズの布をもらうと適当に吹き、更に色々と隠すものが寄せられ、とりあえず、それを着込んだ。
そして、ノーラの声が聞こえれば]
ほ、ほほほ。
さすがに、このようなおおっぴらな場面ではあまりいたしませんわよ?
[フォローになってるんだか、なってないんだか。
とりあえずは、そう宣言して立ち上がった]
……お手を取ろうかしらぁ?
[そして、振り返り、オトフリートへと手を伸ばしてみた]
はーい。
[場の音声実況があるんで、色々と微妙な訳だが、このままでは動きようもないし、と判断して、ザムエルに素直に頷いた]
んと、とりあえず、広間に行けばいいん?
[同じく押し出されたエルザと並ぶ形になった所で、ようやくピアが頭の上に移動した]
…水、というか…お水……ってのもちょっと違うや…。
[ともかく、棲むところが違う生き物だということだけはよーく理解したようだ。]
[ようやく立ち上がってくれたときには、もうなんだか、ツッコミ疲れがおきていて。
一応着込んだナターリエが、手を差し出してくるのを見た。]
……いえ。
大丈夫ですから。
[また倒れこむことにはなりたくないし、立ち上がれないわけもない。
むしろ濡れていて、服が気持ち悪かった。]
[手を無視して、床に手を着いて立ち上がる。]
ほいよ。
とりあえずモノは渡しておいたし、ナタもすぐ離れるだろうよ。
ちうか。
悪いな色々手遅れだ。
[ほぼタイムラグ無しで背後に感じた気配を押し留めることは無理だった。
どちらが行くかに関しては、自分が行けない以上口を挟まない。]
[ 事故。一目見た現状と、周囲に滴り落ちる水。その言い様はまた、別の誤解を招きそうとも思うが、当の竜はそれどころではないのだろう。
ノーラは頷きを返したものの、如何解釈されたかは定かではない。
流水竜の否定も、酷く曖昧なものであった故に。]
そうですね。
離れてくれましたし…
[何か色々なくした気がする。と、少し考えた。]
ともあれ、ありがとうございます…。
―西殿・結界前―
本当にしみじみ言うのね、もう。
[口元に手を当てながら、困ったようにエーリッヒへと呟く。
どうやら図星だったらしく、赤い手のひらは見えないようにしている。
ちかちかと瞳を黄色く明滅させたユルの頭をそっと撫でやり、]
大丈夫。無理はしません。約束、約束。ね?
[ぽんぽん、とユルの頭を軽く叩いて、エーリッヒに微笑んだ]
[色々てんぱってたせいで上着をかけることはなかったのだが。
白いシャツは水を吸っているし、下のさらしが見えてしまうだろう。
その点だけは、自分がてんぱっていたのが良かったと思ったのだった。]
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