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不思議な感覚だった。
誰に教わったわけでもないのに――
初めてなのに。
どうしたら良いのか、わかった。
[夜。
人気のない広間。
差し込む月明かり。
もういない、老齢の自衛団長。
情景は思い出せるけれど、
自分の記憶ではなくて――作り物の映像のよう]
―広間―
……やっぱり今は伝えたくありません。
せめてもう少しだけでも。
[ゼルギウスに続けて言い]
…カル!
着替えに行こう。そのままじゃ、よくないよ。
[分け入るように声を掛ける]
ね。お話はまた後で。
お願い。
[懇願するような響きになった]
[小声にはあわせるように小声で]
なんでかはわからん。わかってそうなこといってたのは真っ先に死んでるしな。
とはいえ原因ががわかるなら、事前にどうにかできた面もあるはずなのに…それがないってのはなぁ…
[密室で、人間の手によるものにもみえない状況にそれを加えると、これから先の自衛団員の行動もある程度限られているように思いつつ]
どっちにしろ。悪いことのほうが続きそうだから覚悟しといたほうがいいだろう…な
[本当に?という問いには曖昧に返事をして。手だけは動かしながら、ローザに続くようにカーラを見る]
―回想―
[広間での惨状を伝えるためにそこを離れた。
途中、出会ったものたちに事情を説明して、何人かには「見るな」と告げたが恐らくは止められなかっただろう]
[見つけた自衛団員に事の次第を伝えると、彼らはすぐに行動を始めた。
彼らは半ば尋問のように話を聞いてきたが]
オレが起きたらもうこんな状態だったんだ。
それ以上のことはオレは知らない。
[としか言いようがなかった。
彼らが何処まで信用したのかは知らないが、解放されて戻ったときには遺体は片付けられていた]
―回想・終―
カーラ…それ、って…。
[カーラの嬉しそうな様子に、言葉に詰まり。
いけないと思いつつも、得体の知れない恐怖が心を染めていた。]
[ぶわ、と脂汗が溢れたが、すでにそんなことを気にしている場合ではなかった。
短く息を吐き、少しずつ自身の力を抜きながら、ロミを見つめる]
ロミちゃん。
お願い。何か知っているなら、教えて。
私は……この子だけは、絶対に守らなければいけないから。
[今の自分を支えているのは、母としての強い意志。
それだけだった。
どこを取っても、すぐにでも崩れ落ちていきそうなブリジットが、強い眼差しでロミを見つめ続ける]
/*
うわ、あ。やっぱり陣痛なのか!
子供の運命が凄く気になる。る。
そして僕はどこへ行くのか。
皆の邪魔ばかりしてる気がして、どうにも。
いつもの心配性で済んでればいいのですが…(汗
[周囲の怪訝そうな反応にカルメンはきょとりとした表情を浮かべる。
何がおかしいのかを理解していない様子で]
ぅ?
うん、おきがえー。
[割り込まれた声にこくりと頷いた。
もぞりと動き、その場に立ち上がろうとする]
[視界には、拭い取られても尚、床にこびりつく赤が映るばかり。色はすっかり褪せていた]
あるかもしれない、って、聞くのは御自身でしょうに。
[ついだゼルギウスの疑問には眉が寄る]
……犯人を見て、気絶させられた……というわけ、じゃないでしょうし、ね。
特に持病があるとも、聞いてはいませんけれど。
[エーリッヒの金糸を丁寧に拭う]
だい、じょうぶ。
身体動かしてたいんだ、今は。
[ゲルダの返答には、多少青褪めながらも微笑みを返し。
ゼルの言葉を聞けば、表情を曇らせた。
自分が自衛団長の姿を見ていないのは、まだ救いだったかも知れない。]
……どうなるんだろ、これから。
[懇願するような、クロエの声。
そう言えば、先も団長の顔が見える、という話題の後にクロエは落ち着きを失っていて]
……クロエ……お前?
[何か知ってるのか、と。
問うのは、止めた。
だから、代わりに]
……んだな、いつまでもこのままじゃいられないし。
お湯、運ぶわ。
[口にしたのは、今、やろうとしていた事]
見ているのは……幻覚かな?
それとも。
[『魂見えると1人が言った』]
まさか ね。
[会話の合間に盲目の少女を一瞥する。
けれど、そのときは、それだけだった]
……そう、ですか。
[無理にローザを止めることはしない。
傍にはゼルギウスもいたから]
これから……、って。
[考えもしなかった様子で、口をつぐんだ]
[カーラが指し示す箇所を見る。自分とローザとで掃除をしているし、そもそも遺体は既にない]
ぁあ。団長さんはそんな顔だぞ。他にはどんなのがみえる?
[見える不審さを感じないわけではなくただ自然と会話するようにカーラに声をかけたところで、クロエが割り入っており]
…後でって、それは断りたいとこなんだがな…
[それでも懇願するような態度に仕方ないという声音を滲ませながら着替えに行くなら止めずに見送る]
これから――…
これからか。
どうしようか。
壊したよ。
壊れたかな?
[壊すのは簡単だった。
喰らうのは楽しかった]
――どうするのかな。
……。
うん、お願い。
[立ち上がるカルメンに手を伸ばしながらユリアンに頷く]
ごめんなさい。
お話は後でもできますよね。
[不安そうにゲルダやローザを見る]
…早く、綺麗にしてあげたいから。
[仕方なさげに譲ってくれたゼルギウスに頭を下げる]
ブリスさん?
また、具合よくないですか…っ
[いつものように椅子から降りて、ブリジットのほうに駆け寄ろうとしていたロミルダは、その強い眼差しを受けて、ひたと動きを止めた。
視線は迷うように彷徨って、再びブリジットに戻るまでには少し時間が空いた]
…ゼルさんは、違ったですよ。
[ロミルダはぽつりと、それだけを口にする]
って、――…、
[身を丸めたブリジットも視界に入り、慌てて近寄る]
うわ、やっぱりこれ胎教に良くなかったですよねっ?
えーと痛むようなら、どこかしらさすりましょうか?
[ちら、とロミに眼差しを向けるのは、とても大切に思える言葉が聞こえているから]
ええっと…、ロミ、ちゃん?
何か、…まさか、分かるの……か?
お伽話でも、あるまいに、さ。
後で。
本当は後でも話させたくない。
[渦巻く不安。
力を持たない自分。
もう一つの役目からも逃げ出した自分]
少しでも先伸ばしたら。
危険が減ってはくれないだろうか。
いや、そりゃそうなんだが。俺が知りたいことエーリッヒさんが知ってるとは限らんしな
ぁあ。怪我はさせられた様子もないんだろ?それに…色々なとこまわってるなら、被災地とかいう場所?にもいったことあるだろうし…遺体をみただけで気絶するなんてのも変な話だしな
[持病がないなら尚更。と疑問に答えるゲルダに答えつつ]
これから…人狼とかいう人間じゃないものの犯行か。単に人間の犯行か。どちらと判断されるかによるんだろうなぁ
[これからというローザとゼルダの言葉が聞こえ。落ち着いたようなけだるいような声で言う]
おきがえー、おきがえー。
[立ち上がる際にクロエに手を取られ。
移動するならそれに連れられるようについて行く。
カルメンの言動はいつもよりも幼くなっていて。
今まで得られなかった喜びが全面に押し出されているように見えるだろう]
[カーラを止めるクロエの姿を見れば、何も言えず。
二階に行くならただ、見送り。姿が見えなくなれば、無意識に息をつくだろう。
ゲルダには、呟きが聞こえたのに気付いて不安を煽ってしまったか、と慌てた表情を向け]
あ、ご、ごめん。
だいじょうぶ、だよ。きっと。
すぐ…帰れるよ。
[最後の呟きは、自分に言い聞かせるよう。]
[クロエの必死な様子を訝りはしたものの、引き留めはしない。
ゼルギウスの答えを聞くと、物憂げに吐息を溢して、眼を伏せた]
……なるほど。
何にせよ、先生が目を覚まされてから……ですね。
[気だるけな声の紡ぐ内容は重たい]
いえ。
気にしないでください、ローザさん。
すぐ……、そう。
すぐに、終わります――よね。
だって、昨日まで、あんなに。
[団欒を思い出してか、声は止まる]
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