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[鋏は広間の棚に有った救急箱から拝借した。しかし紐などは流石になくて]
[更に探して見つけたのは古い裁縫道具。
その中からなるべく綺麗な(清潔そうな)木綿の白糸を拾い出して]
こんなもんでも使えないよりましだろ。
[少し時間は掛かったがまだ間に合うだろうかとブリジットの元へ]
─台所─
[クロエが台所から出て行った後。
ふ、と静かに言葉を紡いだ]
…やみ、の、もの、を、さがす。
みえる、もの、は、さがす、のが、さだめ。
はずれる、こと、は、ゆるされ、ない。
やみ、は、おそれられ、る、べきで、ある。
ひかり、に、よって、はらわれ、る、ため、に。
[それは少し前にクロエが紡いだ言葉。
記憶に留めるように、一言一句ゆっくりと口にした]
―外―
やぁ…これはこれは。ご足労どうも。何か進展があったので?
[忌々しげに見られても、平然と。...お得意の上手いともいえるような笑みを浮かべ応じれば、その話をするということで、中に…というのを遮るように]
私がお伝えしますので、ここでどうぞ。…もちろん。直接話をすることで進展するとお考えなら話は別ですがね
[と、問う。
それに苛立つように。という目で見られようとも表情は崩ずに、言葉ではなく態度から察するように見る。
こいつら。どうやら、自衛団長を彷彿とされる熱狂的な部分と同時に]
それに…ワザワザ密室になんて入って。危険を冒したくないでしょう?
[恐怖心を抱いているのも感じていたからだ。
事実がどうあれ、自衛団としては、即答できなかったこととあわせても犯人を普通の殺人犯と思ってないことがわかる]
でもま、情けなかろうがなんだろうが、出来ることからしてくしかないんだろーさ。
もう、いい。覚悟決めた。
[深呼吸をした分、落ち着きは戻りつつあるようで]
おーよ。
探せ、探せ、さっさと行って来い。
長期戦の最後だから、充分間に合うだろーが、早いに越したことはないしな。
[なだめる様なカルメンの言葉に、鸚鵡はまた、くるる、と鳴く。
震えはやや、おさまるか]
……って。
カルメン、それ……なんだ?
[確かめるよに、繰り返される言葉。
蒼の瞳に困惑が過ぎるが、それを見るのは鸚鵡のみ]
ブリジットさん、大丈夫!?
[思わず言ってしまうのは、流石に経験不足]
ローザさん、お水持ってきた。
火は使ってたから、お湯も沸いたらすぐにくると思う。
後は何か縋れるもの…?
[ハインリヒが持ってきたものを見て考えながら首を傾げた]
─台所─
ぅ?
さっき、クーリェ、いってた。
きょーかい、の、おしえ。
[最後の言葉はクロエは言っていない。
けれどカルメンはそれと理解していた。
クロエが居たなら不思議に思うのだろうが、今この場には居ない]
今なら……舌噛んでも……わからなそう……かな……。
───は……ぐ!!
[喋りながらも、痛みが激しくなり、顔を苦渋に染めた。
ブリジットの小柄な体では、赤ちゃんを産むというのは、やはり相当に厳しいらしく、いまだにその体が見えることは無かった]
には……は……。
鼻からスイカ……か。
[それは以前、子供を産むということのたとえで聞いた言葉。
ブリジット本人からしてみると、それどころではないような気さえした]
漁師 ハインリヒは、踊り子 ローザ を投票先に選びました。
/*
その昔、とある人が子持ちの人に聞いたそうな
「お産ってどれくらい苦しい?」
経産婦いわく
「産めばわかるから」
名言だと思う。
……んおー?
[どこからか、大丈夫かの言葉が聞こえると]
うんー……へーき……へーき……へっちゃらぷー……
[などと笑顔でVサインなどをしながら返す。
それは、単なる強がりだけではなく、本心から思っていることでもある。
以前より、自分の出産が厳しいことは散々聞かされているので、ある程度の覚悟は決めているのだ]
[途中、人の流れと逆行するようなゼルギウスを見掛けて少し立ち止まった。
その行く先、扉の向こう側に自衛団員が見えて少し気になったけれど、すぐにまた駆け出して]
大丈夫ですかっ?
[半ば部屋に飛び込むようにして。
ローザの言葉に答えるのもそこそこに、ゲルダがいるのとは反対側について、ブリジットの手を握った]
多分それで良いんじゃないかな。
[そうハインリヒに返す合間にも、洩れ聞こえる苦痛の声]
あぁ、クロエさんも来てくれたか。
ありがと。
そっか、縋れるもの、あった方がいいのか。
それじゃ、手分けして探しますかっ。
[この部屋の人員からすれば、もうそろそろ自分は離れても平気だろうと部屋を出る]
あぁ、ありがとう。
縋るもの…は、今から用意するのは無理っぽいから。
いざという時は男の人達に手しっかり握ってもらうしかないかな。
[クロエの姿を見れば、手短に謝礼をいうも真剣な表情でブリジットから目を離さず]
あ、ハンカチかなにかにお水しみこませてくれる?
それで唇濡らすだけでも水分補給できるから。
[半ば脅すような言葉の前に、自衛団員たちから浮かぶ逡巡は見逃さない。
まだ、事件という実感がない頃から、ブリジットが倒れたときに医者も呼ばないやつらだ。赤子がいるからと空気を読むとも、助けの手を差し伸べるという期待などもてない
そしてそんな無粋なものが、こんな状態で遠慮を…するのかもしれないが、しないかもしれない。ブリジットが体が弱いことを含めても、入れるのがいいことに繋がるとは思えない。
例え赤子が、本当に化け物だとしても、どんなものでも生まれるのは許されていいと思っている…でないと]
まぁ…そう固くならずに。あなたがたがいうのも、私がいうのも。内容によってはそう変わらないでしょう。疑問があればまた聞くことにしますから。
[その言葉に、決めたようで、苛立ち、傲慢。冷淡。そして恐怖を孕んだ説明を聞く。正直えらそうな説明やら堅苦しい建前は全て耳から流した
…大雑把にいうと、この中に化け物がいる。俺たちじゃ探せないし怖いから。おまえら人身御供となって探して見つけろ。出るのは許さん。ってとこか…ああ、後追加するなら、全滅したら犯人がわかるっていう特典つきなんでしょうかね。と頭で考え]
─台所─
教会の、教え……クロエが、か。
[思い起こすのは、先に交わした言葉。
教会と、浅からぬ関係にある、というのは感じていたから、別段違和感は感じてはいなかった]
……はずれることは、ゆるされない、ね。
勝手、言ってくれるぜ……。
[掠れた呟き。
つき、と走った頭痛は押さえ込み、鍋の具合を見やる。
鸚鵡は心地良さそうな声を上げつつ、撫でられるまま。
震えは、大分鎮まっているようだった]
[もう片方の手が握られると、その手の小ささから、ロミが握ってくれているのだと、さすがに気づいた]
……もーんだい……ナッシング……。
私なんかよりも……ロミちゃんこそ……色々と気をつけて……ね……。
私のときのように……ちゃんと……慎重に……やるんだよ……?
[笑顔を、手の握られている方向へと向ける]
これ以上は……言わない……にはは。
縋れるもの?
わかった、オレも探しに行こう。
ここにいても役には立ちそうにないしな。
[そう言ってダーヴィッドに続いて部屋を出る]
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