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みゅう。
[ヘルムートが鈴を隠すように手をひらひらさせると、やっとつつくのをやめて、ヘルムートの顔をじっと見た。
だが、その瞳には何も写っていない。
そこには何の感情もこもってはいない。
この少女が生きているかどうかさえ定かではなかった。
まるで、人形が見つめるかのように、ただ無表情にじっと、少女はヘルムートを見つめた]
……。
[そばに、フルーツヨーグルトが運ばれてきても、少女は何の反応もしない。
そちらを見もしない。
少女には、それが一体何なのか、分からないから]
[酒場に戻れば、幼馴染やフーゴーの姿があり。
幼馴染が鳥篭を持ってきているのを見ると、怪我をしていたのを連れてきたか、といつもの様に考えて。
少し、出てくる。と、フーゴー達に声をかけ、自衛団詰め所へと向かった。
そして、自衛団長の遺体に対面したいと申し出る。
当然、容疑者として責めるような視線を受けはしたが、監視をつけるという条件つきでそれは受け入れられた。
団長の遺体は、酷い有様で。
もう何時間も経っているだろうに、いまだ血生臭い臭いが辺りを侵し、その姿は惨劇の痕を雄弁に語っていた。]
クーちゃんは、人狼じゃ、ない…。
[ユリアンのことばに、ぽつ、とつぶやく。
それから、アーベルをも見て、彼のこたえを待つ。
どういうかは、あるていど予想がついているのだが]
何があったか…――ですか。
[ユリアンの結果を認めてから、カヤに視線を向ける。]
一言で説明するのは難しいのですが。
[さしもの学者でも、難しかったらしく、少し首を傾げて]
アーベルさんと、ユリアンさんの
お二人が占い師候補として立候補しまして。
クロエさんを占われて、二人とも結果は
どうも白とでたようですね。
[それでも学者は学者のようで、端的に述べた後、
つぃっとアーベルの結果を指さした。]
………あんたは、一日猶予をくれると言ったな。
俺は、やはり…人を疑うことなど、出来ない。
だから…信じることにした。
信じた相手が、人狼だとしても。
俺の命を、奪っても。
人を、信じる。
その代わり、人狼が自分を止めて欲しいと言ったなら、止めてみせる。命に、代えても。
それが、俺の覚悟だ。
[側に自衛団員が居るのも構わずにそう言うと、監視でついていた自衛団員に、手間を取らせた、と頭を下げて宿屋へと戻っていった。]
─回想終了─
そっか……
[ウェンデルの答えに小さく呟き。
簡単な食事を済ませた後、皆の話しをただ黙って聞いて――クロエに視線を向けた。]
クロエが人狼じゃなくてよかった……
[どっちかが嘘つきかもしれないけど、アーベルがそんな性質の悪い嘘をつくなんて思っていないからほっとしたように呟いた。]
[宿屋へ戻ってくると、先程よりも人が増えていて。
皆が一様にある一点を見ているのに気付き、首を傾げ、とりあえずとフーゴーに軽く手をあげカウンターに座る。]
…何か、あったのか?
[視線の先には、皆の視線を集めるアーベルとユリアンの姿があった。]
[二人の『占い師』が示した結果。
それ自体には、何か言う事もできなくて。
ただ、ようやく落ち着いてきた思考が、酷く掻き乱されたようで]
……どうしろ、っての……。
[口をついたのは、今にも泣きそうな声の、呟き]
そうだな、ごめん。
これからはちゃんと言うよ。
…言わなきゃならんようにしてくれたしね…。
[フーゴーに小さく頭を下げた。
そしてユリアンに向かった視線は、当然厳しい]
[アーベルの答えに一つ頷くと]
そうか。
……かと言って、俺がお前を信用する要素には成り得ないが。
[真珠を木箱に戻しながら]
[酒場へと戻って来た者達には片手を上げることで挨拶とし。説明は他の者が行っているようなのでフーゴーは何も言わなかった]
…自らを『占い師』として名乗り出た二人から人狼ではないと言われたクロエは、人間と見てほぼ間違いないだろう。
この他にも『占い師』と誰かが称して別の結果を出すのなら、話は別だが。
……『占い師』が、二人。
どちらかは、偽物、だな……。
[最後は小さな呟きになったが、周囲が聞くには十分な声量だっただろう。嘆息しながらどうしたものかと考え込む]
それは俺も変わらないな。
[薄く笑ってユリアンに返すが、手は少しだけ震えていた。
涙型の石は取り出すよりも時間を掛けて懐に仕舞った]
[食事の準備をしてくれるというフーゴに手と会釈だけで感謝の返事をし、ライヒアルトの淡々とした説明に耳を傾けてみたものの]
んー、んんっ?えーと、んー?
[言われた単語と文章を頭の中で必死に線に繋いでみる]
えーと、アーベルとユリアンが占い師で二人ともクロエを占って、二人ともクロエが人間て言ってる…て事だよね?んーと、二人とも本物の占い師ならクロエは人間。どっちかが偽者でもクロエは人間。どっちとも偽者の時は、クロエは狼かどうかはわかんないって事かな?でも、クロエが狼のわけないし。…二人とも本物ならいいのになあ。
[昔から馴染みのあるアーベルと、今まで縁が無かったとは言え先程話したばかりのユリアン。どちらも疑いたくないのが本心で。]
[フーゴーの言葉を聴きとると、同意を示すように頷く。
皆が占い師という存在を信じると仮定すればだが。
――そして、両方本物という可能性もあるけれど、
とはあえて云わず。]
そうなると…――。
[ちらりとクロエを見やる。
その様子から、伝承に乗っ取り、まとめ役をというのは、
非情だと――流石の学者も思ったようで。]
…―――。
[黙り込むと、リディが動いた時になったのだろうか、
チリリと鈴の音が耳に届いた。]
[安堵を伝える、ゲルダの声。
ざわめいていた気持ちはそれで一時、静まって]
ん……。
なんか、びっくりした、けど。
結果自体は、喜んで、いい、のか、な?
[やや掠れた声で、言葉を紡ぐ。
視線はまだ、『占い師』たちの方には向けられないままだけれど]
でもクーちゃんが狼じゃないって分かったぶん、だれかが狼かもしれない…って、処刑されちゃうのよね。
[みじかい指摘は、この空間でどのように響くか。
すくなからず、眼前の少女には、響きすらしないようだが]
――……王子様に恵まれないね。
[リディの耳元で低く囁き。
よいしょ、と抱き上げてライヒアルトの近くへ。
あげた声は情けのないもの]
アル先輩、リディちゃん具合わるいのかもぉ…。
アーベルと、ユリアンが、占い師…?
[ライから説明を受ければ、そういえばアーベルはタロットを貸して欲しいとフーゴーに言っていたな、と思い出したものの。
御伽噺との相違に怪訝な表情を見せて。
続いた言葉に、これでクロエが疑われることは無いだろうとその点については安心を、したものの。
続いたフーゴーの言葉に、眉を顰め]
…どちらかは、疑わなきゃ、いけないのか。
ええ、その通りですね。
[自分があえて云わなかった――のか口に出すのが面倒だったのか。その内容を連ねるカヤに視線を戻し、碧の眸を細めた。
――まるで、教師が生徒の出来を褒めるような。
それが彼女に伝わったかはわからないけれど。]
……。
[今まで、誰が来ても何があっても、気にもしなかった少女が、何故かヴィリーが来ると一度だけ顔を向けて]
?
[少しだけ、不思議そうに見たが、すぐにヘルムートからも、視線を戻し、うつむいた。
表情は変わらない]
[フーゴーの言葉に、短く息を漏らす。
アーベルを見る目には温が篭もってはいない]
……おやっさんの言葉が真実なら。
お前は人狼か?
―――奴らに加担してるだけ、血迷っただけ…っていうなら今のうちだぜ?
[鈴の音が聞こえたのは、
どうやらヘルムートが少女を運んでくれたが故に
鳴ったものだったようだ。]
おや、風邪ですかね?
[数日前濡れ鼠だったことを思い出し、
ヘルムートに抱えられた少女の顔を覗き込む。
指先が伸びて、リディの額に触れる。
さて、その温度はいかがなものだったか…――。]
[どちらも本物ならば。そんな声が聞こえる。それが無いことを知るフーゴーはゆるりと首を横に振った]
どちらも偽物っつーのは無きにしも非ずだが…どちらも本物っつーのは、無きに等しい。
同じ力を持つ者が同じ場所に居るっつーのは、今までの事例でも無かった。
[はきとした言葉が連なる。自分を占わせて反応を見るかも考えたが、疑う対象を減らした方が良いのではないかと思考が回る。それが故の断定の言葉]
[ライヒアルトの説明に、眉根を僅かに寄せた。
占いを行っていた状況を直に見た訳でもなく、どちらが本物か、それともどちらも偽物か、判断できず。
こてっと首を傾げた後、とりあえずカウンター席のヴィリーの隣が空いていればそちらに座ろうと。]
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