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[どの程度食卓の前で頭を抱えていただろう。
伽矢が二階へ戻ってきて、壁にもたれた。
私ははっと顔をあげ、問いかける]
伽矢? 千恵ちゃん、一緒じゃないの?
あの子、さっき黒江さんのお見送するって下に……
雪夜君は?
[一階の用事が終わらないのだろうと、瑞穂ちゃんの事は問わなかった。
伽矢の返事を聞くと、私は慌てて階下へ向かう。
伽矢も共に来ているだろうか]
千恵ちゃん!
[玄関に向かうと、ならんでいる靴は稲田家の物、私と伽矢の物*だけだった*]
―中央公園・桜下―
うん、すぐに戻らなくてごめん。
[無事でよかったと史人に言われて頷いた]
一足遅かったみたい。
桜、まだ舞ってる。
[大樹を見上げ手を伸ばす。掌の中心に舞い降りてくる花弁一枚]
ああ、史兄さんは叔父さんなんだ。
[問いかけてくる視線に気づくと千恵に答える。
雪夜には説明は省いて顔を上げ頷きだけを返して]
お話したいって強く思っていれば。
桜花の気が向いて会ってくれるかもしれないね。
[そのうちにという史人の言葉にそう続けた]
[千恵や雪夜と一緒にいる理由は話すと長くなるので後回し。交わされる会話を黙ったまま聞いていた]
9人…礼斗さんも入る気がする。
事態に詳しい人だからきっと残ってる。
[誰だと言われると思いつく人物の名を挙げて。神楽は名前だけでは思い出せず、神社のと聞けば納得したように頷く*だろう*]
─瑞穂の家・二階─
[瞳を閉じて、一度深呼吸をする。
周囲に人は居らず、母親だけ]
……千恵?
下に居たのは、オレと瑞穂だけだったけど。
[ここに居ない者達の名を出し訊ねて来る母親。
開いた瞳を母親に向け、どれに対しても、オレは知らないと答えた]
[母親が慌てた様子で階下へと降りて行く。
オレも立ち上がってその後を追った]
……固まられるよりは良い、が。
見失うのも面倒だな。
[呟きは極小さく。
焦燥にかられている母親には届かないだろう。
階下の母親に追いつくと、玄関に並ぶ靴を見る。
幼馴染のものも無くなっていた]
……一人で出歩くなとは言ったけど、外に出るなとは言わなかったもんな。
また探さねぇと。
[オレは眉根を寄せ、焦りを装いながら靴を履く。
母親も同じように靴を履き、ついて来る。
掛けられていた鍵を外すと、碌な休憩も食事もせぬまま、オレは外へと出た。
それでも、その身体がふらつくことは*無い*]
いや、マーキングし忘れたから場所の確認だけ。
千恵はメインディッシュ、まずは前菜の瑞穂を喰う。
…ああ、そうだ。
喩えお前でも千恵に手ぇ出したら承知しねぇからな。
[伝う聲は低く、昏い]
―自宅―
[窓辺で燻らす、紫煙。
それをぼんやり眺めていると、風が鈴の音を運んできた]
……桜花、か。
[桜の色の瞳の童女。
三年前も今も、それが何であるかは知る由もない]
しかし、史さん大丈夫かね。
[『司』としての不安定さもそうだが。
泊まるような宛はあるのかとか。
そんな事まで含めて心配だった]
……とは、いうものの。
[案じて探しに行くと、今度は寝室占拠者との言葉を違える訳で。
それはそれで、後がうるさい]
……黒江嬢も、大丈夫ならいいが。
[呟きながら、窓の外。
通りの様子をぼんやり眺める。
見知った者が通りはしないか、と*注意を払いつつ*]
[伽矢から瑞穂ちゃんも外に出たらしいと聞く。
私は外に出て行く伽矢に少し待ってくれるよう頼むと、台所に戻った。
隅に置かれていたメモ用紙を掴み、伝言を記す]
『千恵ちゃん・瑞穂ちゃん
千恵ちゃんを探します。
戻ったら、ここから動かないで。
またここに戻ります。百華』
[台所に先程使った包丁とペティナイフが出しっぱなしになっていた。
私はメモに『包丁お借りします』と追記し、刃物を手にとった。
台所にあったタオルと布巾でそれぞれくるむと、メモを食卓に置く]
お待たせ。
[靴をはき外に出て、伽矢に包丁を差し出した。
私はペティナイフを握り締める]
襲われたら、使いなさい。
[私は息子の異変に気付かなかった。
異常事態なのだから、食欲がない。疲れも気にならない。
そう*思っていた*]
―街のどこか―
[外をあてもなく歩いている。
千恵のこともそうだが、神楽も探していた。]
千恵ちゃんはたぶん中央広場なのかな?
[先ほど一緒に家に向かうときも桜のことを気にしていた]
静音さんはどこだろう。
[歩きながら考えることは一つ]
伽矢くんや千恵ちゃんが…もしそうだったら…
[私は本当に浄化することができのか?浄化することは、相手のことを、
その先のことは考えることは結局できなかった。
そのときはそのときと、結論は先延ばしすることにした。
自分は憑魔を浄化すると決めたのだから覚悟はしておいた方がいいのかもしれない]
―礼斗の家付近―
[周りに人の気配はほとんど感じられない。まるでもうほとんどの人がいなくなったかのように感じられる]
千恵ちゃん無事だといいけど。
[もう少し神楽を探して見つからなければ中央広場にいってみよう。
そう思いながら歩いているとマンションの窓の所、人の姿が見える。
向こうも通りの方を眺めているため視線が合う]
あっ、こんばんは。
[挨拶をしながら、少しばかりの警戒。
向こうは自分にどんな印象を抱いただろうか。]
人探しているのですが、知りませんか?
千恵ちゃん、ウサギのリュック背負った女の子です。
後、静音さん高台にある神社の巫女さんなんですけど。
[礼斗の返答を*待つ*]
―自宅―
[外を眺めている所にかかる、声。
視線を向けたなら、目に入るのは少女の姿]
……生き残り?
って、女の子が一人で動き回るって、正気か!
[思わず呆れたような声を上げるものの。
投げかけられた問いに、一先ず気を落ち着けた]
うさぎのリュックの千恵ちゃん……って、あの時の子か……?
[小さく呟く。
思い出すのは綾野が警告を発した日、桜の傍で言葉を交わした少女]
……とりあえず、この道は通っていない。
で、静音神社の神楽の居場所なら知ってるが。
……急ぎの用件か?
[居場所を即答しないのは、多少は警戒*しての事*]
───礼斗の家───
……ふ。
[ゆっくりと目蓋を開けた。
その先に見える光景が、いつもの神社の光景でないことに多少困惑したが、周りに香る紫煙の匂いですぐに自分が何処で寝ていたのかを理解した。
時間としてはどれくらい眠っていたのかはよく把握できてはいない。だがしかし、短時間であっても、体や心に染み付いていた疲れはほぼ抜けたようだった。
司に宿っている治癒能力というのが効果を表しているのは想像に難くない出来事だ]
ん〜……。
[それでも、眠りから覚めた後のけだるい感じは消せるものではなく、神楽がもそもそと寝床から這い出て、寝ぼけ眼で辺りを見回した]
ひふみ〜ん?何処〜……ふぁ〜ぁ。
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