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[呼びかけながら駆けて。
そして見つける大切な姿]
千恵!!
[他に何かが居るとまでは気付いていなかったが、従妹の姿を見つけて急いで駆け寄る。
手を伸ばし、膝から崩れるようにしながら従妹を抱き締めた]
千恵……良かった……。
[千恵の声と路地の間から見えたうさぎ、千恵の姿]
千恵ちゃん。
[駆け寄っていき抱きしめようとして、それよりも早く伽矢が千恵に駆け寄っていた。
自分は二人の後ろに立って安堵のため息]
よかった、千恵ちゃん、心配したんだからね。
[目の端にはちょっと涙が浮かんでいた]
ありがとうございました、おかげで見つけることができました。
[一緒に探しに来てくれた雪夜にお礼を言う]
[階段を駆け下りる途中、微かに聞こえた声。
覚えのある歌だった]
……『しるべはこころ』か。
[小さく呟いて。
最後の一フロア分の階段は、残り三分の二から飛び降りてショートカットした。
取材のために駆け回るのが常の生活、基礎的な身体能力は決して低くはない。
外に飛び出した時、史人の姿はまだあるか]
……暴れるのは勝手だが、あんまり目立ちすぎてもまずいんじゃねーの?
[もしあるならば、呆れたように。
こんな言葉を投げも*するのだが*]
ああ、やっと見つけた…。
オレにとっての一番の、餌。
[嬉しげな嗤い。
『其れ』もココロの奥底で哂う]
「貴様ノ望ミハ肉親ノ血肉ガ重要ダカラナ。
奪ワレヌヨゥ、精々気ヲ付ケルガ良ィ」
[それは真実なのか、はたまた『其れ』の戯れなのか。
どちらにせよ、オレにとって大事な従妹(エ)であることに変わりは無かった]
[黒江の頬がちょっと緩んだのに、気づくとちょっと嬉しくなった。
なんとなく、これが『ねえちゃ』と呼ぶ効果なのかなとは薄ぼんやりと理解したり。
そんな黒江から静止の声をかけられてもお構いなしに。]
かやにいちゃー!
[ててってと路地から飛び出し、伽矢に飛びつきぎゅぅとしがみついた。]
よかった、かやにいちゃ、いたー。
[逆に捜されていたのだが。
そんな事はおかまいなしに、嬉しそうに頬をすりよせた。]
―住宅街―
[千恵に駆け寄り抱きとめる姿。
その後ろからやってくる人々をじっと見た]
えらぶことなど。
たしゃにはできぬ。
[小さな呟きは近くの百華にも聞こえたかどうか]
よかったね。
[心配したという瑞穂の言葉が聞こえて、言った]
[そうして、伽矢たちと千恵を捜しに行く…………と見せて上手く姿を晦ますと、俺は桜の樹の下に戻ってくる。
戻ってきた事に不審な目を向ける綾野に、特に声を掛けるでもなく歩み寄る。
後ずさろうとも、歩幅が違うため必然距離は詰まる。
そうして、ちょうど綾野を見下ろす形になる距離で足を止めると、]
……なあ。あんた、伝承について詳しいんだろ?
なら、聞かせてくれよ。
『憑魔』に襲われるのってどんな気分なんだ?
『憑魔』に食われるのってどんな気分なんだ?
『憑魔』に食われた魂はどうなるんだ?
……あんたは『美味しい』のか?
…………あんたを食えば『俺』は強くなれるのか?
…………なあ、教えてくれよ。
[見下ろし、問い質す顔にはにたにたとした哂いが浮かぶ。]
みずねえちゃ!
[瑞穂も一緒で、わぁと嬉しそうに顔を輝かせる。
知った人が多くて幸せそうに。
心配したと言われると、ちょっと首を傾げたが。]
ええと、ええと、ごめんなさい。
[何だかおおごとになっている、そんな雰囲気も微妙に感じ取れたので、素直にあやまった。]
うん!
[黒江には元気良く、うさぎといっしょに頷いた。
呟きは遠くて、聞こえなかった。]
さぁて。
……と思ったが、出向くまでもないようだな。
[近付いて来る気配の方に目を向けた]
気配も隠せねぇ奴だ、喰えたとして大した力にもならんだろうが。
まぁ、肩慣らしにゃ丁度いいか。
[躊躇も何もなく呟く。
一度手を握り、開いて]
お前こそ、隠れといた方がいいんじゃねぇか。
『非力な一般人』なんだろ?
[掛かった声には振り返りもせずに言い。
やがて現れた『憑魔』に、にやりと獰猛な笑みを*向けた*]
千恵…怪我、したりしてないか?
一人で怖くなかったか?
[従妹の姿を見つけたことで、オレの身体に走っていた緊張が途切れた。
涙が溢れそうになったが、そこは従妹の前と言うことでどうにか堪える]
………お袋も。
それと……?
[いつもは敬遠しがちな母親の姿を見ても、今回ばかりは安堵の色が浮かんだ。
次いでもう一人の人物を見遣るが、どこかで見たことが、と言う程度ですぐさま誰とは直結しない]
あ、千恵ちゃんのことありがとうございます。
[頭を下げた相手はどこかで見たことあるような気もする女性、が誰だかわからなかった。
百華の姿も見えると]
百華さんも無事だったんですね。
[そして謝る千恵の頭をくしゃくしゃと撫でた]
今度から絶対に勝手にどこか一人で行かないって、約束して。
―住宅街・路地前―
ああ、従兄妹なんだ。
[百華がお袋と呼ばれて合点がいった。
息子だという説明もあったかもしれない]
黒江瑤子。コンビニ店員。
[とりあえず名乗る。こちらも見覚えはあってもそれ以上の記憶まではなかったので、一番通じやすそうな紹介を足した]
/*
とりあえず雪夜は頑張るんだ!!
綾野引き剥がしとか頑張ってくれてありがとう。
あそこで神楽がなかなか動いてくれないのは予想外だった…orz
周りからも「狼何してんだ?」って言われてるんだろうなぁ…。
さっき、にいちゃ捜してたらおばちゃと会ったの。くろえねえちゃにもそこで会ったの。
飴のおじちゃが来たけど、みんなで隠れてたの。
[とかいつまんで話す。細かい状況はまるで説明されていないが、少しは伝わるかもしれない。
ころころ、腕の中で嬉しそうにしていたら、伽矢が泣きそうだったのに気づいて、じーっと見つめて。]
かやにいちゃ、泣いてる?
[心配そうにうさぎも見上げる。]
はぁぃ。
[瑞穂に言われて、素直にうんと約束する。
伽矢にはこくこく頷いて。]
ちえ、けがしてないよ!
こわ………くなかったよ!
[だいぶ、怖かったわけだが。
そこは怖くないといいきった。]
……あ、あのコンビニの。
オレは、高井伽矢。
[女性の名乗りでようやく思い当たる。
従兄妹かと言われると、頷きを返した]
オレを、捜してたのか?
ちゃんと戻るって言ったじゃないか…。
[従妹の説明に、心配したんだぞ、と言葉を返す。
隠れてた、の言葉で何があったのかは大体理解した]
な、泣いてなんか…!
[従妹の指摘に強がろうとしたが、その言葉がじわじわと沁み込んで来る。
本当に涙が零れそうになり、再び従妹の身体を抱き締めた]
ホントに、心配したんだからな…!
[ヒィッと言う声を上げて立ち上がり逃げようとする綾野。
だが、それは叶わない。何故なら、]
[その手は氷漬けにされ、地面へ縫い付けられているのだから。]
はっ…………逃げれるわけ、ねぇだろぉがよ!!
[横っ面への回し蹴りが当たり、パキンという音とともに綾野が横に吹っ飛ぶ。
パキンという音は、凍傷を通り越して凍結した手首が呆気なく折れる音。
痛みはないのだろうが、喪失に狼狽する綾野。
そんな彼女にゆっくり歩み寄る彼の手には、地面から剥がし取った凍結した両手。]
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