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―住宅街―
[眺めていた建物から人が駆け出してくるのを見て、身を強張らせた。
半分割れた視界で、最初に目が止まったのは相手の色を違える方の眸。
少し口を開いたきり、無言でそれらを眺めていた]
……、
[我に返ったのは、相手が発した低い声に反応してのこと。
腕は下がったまま、だが銃を持つ手に僅かに力が籠る]
……人をさがしてて、
おそわれ、ました。
[問いからやや間があって、返したのは事実。
返事としてはずれているように見えて、遠回しな肯定にもなるか。
そう受け取られるとは限らないけれど]
[空気の僅かな変化には気付かないまま]
……そうだ。
このあたりで、
[ただ今口にしたことで思い出したのか、警戒も忘れて一歩踏み出した。
だが最後まで尋ね切る前に、新たに出て来た2人に意識が逸れる]
え、……エリカさん?
[持ちっ放しだった銃を懐にしまって、慌てて近くに駆け寄る。
謝罪には首を横に振った]
どうしたの。
……まさか、『サイキッカー』?
[その場の誰に問うたのか、ただただ視線は心配そうにエリカに向けられる]
……はい。
[異眸持つ青年に声を掛けられて、僅かに躊躇した後頷く。
携帯端末が震えたのが分かったけれど、今はまだそちらに手を延ばそうとはしない。
そうしてその場を離れるまで、背後に転がる二つには一度も目を*向けなかった*]
(思い出したかしら?『私』の事。)
(ええ思い出したわ。『私』が何なのか…)
[二つの意識が重なった、一人はゆっくり顔をあげる。
いまだに微か震えながら。
今はその場に立ちつして。]
[無節操に飛び交う声は、特に妨害されることもなく。
一つになった『私』の耳は、今まで以上に周囲の声を自然と拾い集めて。]
そう、そんなに人が死んでいるのね…。
[ぽつりと呟くちいさな声は、今までよりずっとクリアだった。]
[苦悩するような声が聞こえて、先ほどした声の方をちらとみる。]
…名無しさん。
私には貴方をそう呼ぶ事しか出来ない。
[彼女の事は、知らなかった。
顔を見れば、あの時ぶつかった相手と気付けるかもしれないが、どのみちその花の名は知らないまま。]
…自分が分からないと、ずっと苦しいままですよ。
少なくとも、この場所で。
自分で在ることも難しい…。
[『私』よりずっと静かに、淡々と*忠告した。*]
─アコルデ家─
[あの時意識は常に相対していた侵入者にあった。
故に侵入者が体勢を崩したのが同僚の仕業とは気付くことが出来ず、また指が触れていなかったことなど知る由も無い。
思うように身体の動かぬ同僚を連れ、主の元へと向かう。
途中の問いには簡潔に答えておいた]
マイルズ様、お待たせしました。
中にはサイキッカーが。
あの炎も同様のものと考えて相違無いかと。
[ノブが居るのは目に入っていたが、まずは主へと報告し。
その言葉は図らずもノブの問いの答えになったことだろう。
主がノブにも声をかけ、移動を開始する様子に、その後に続く]
マイルズ様。
公園に着きましたら私は一度別行動を取らせて頂きたいのですが。
あそこは火を避けるには適していますが、休むには適しません。
他の者から隠れるにも適しません。
どこか休める場所を探して来ようと思います。
[移動しながら主へ向けた提案にはどのような反応があった*だろうか*]
─アコルデ家→公園へ─
[問いに返された答え>>107は、直接的なそれではなく。
異眸に刹那宿るのは、僅かに思案するような、色。
けれど、それきり問いを重ねはせず。
相手の発しかけた問いも、結局は途切れたまま]
……二人とも、無事で何よりです。
エリカは、後ろ向きな事を言う前に、まずは安全な場所に向かう事を考えなさい。
[訴え>>104にはそう、さらりと返して。
眼鏡の青年がエリカに近づくのを横目に見つつ、サイキッカーが、というジョエルの報告>>110に一つ息を吐いた]
……何故、我が家に。
偶然か、何か意図があったか……いずれにしろ、のんびりとしているべきではありませんね。
[今は、侵入者の意図を詮索している時ではない、と。
そう、判断して歩き出す]
……別行動……ですか?
確かに、公園では落ち着きませんし……休むための場所の確保は必要ですが。
集会場も、これではどうなっているか……わかりませんしね。
[道中に出された提案>>111。
やや戸惑いながら、二つの色の眸を向ける。
表層からは異変があるようには見えないが、実際はどうなのか、という疑問が過ぎった。
とはいえ、ここで問い詰めたとて素直に答えはしないだろう、という予測は確りとあり]
……わかりました。
ただ、もし怪我をしているなら、簡単なものでもいいから何らかしら措置をしてから動いてください。
我慢しすぎて、肝心の時に動けなくなっては本末転倒ですから。
[それは頼みますよ、と。
そう、言う時には、多少は常の軽さが戻ってはいたが。
いつもののんびりとした調子は、影を潜めていた]
─公園─
[たどり着いた公園にも、破壊の爪痕は残されて。
崩れかけた噴水から流れる水音が、他の場所から聞こえる音に紛れて微かに響いていた。
ここで水音で曲を奏でていたのは、つい先ほどの事だったように思えるのに。
その時の面影は、今は、どこにも見えなかった]
……取りあえず、火の手が収まるまでは、動き回らない方がいいですかね。
[容易く収まるとは思えないのだが、そんな呟きを漏らし。
辛うじて破壊を免れたベンチを見つけて、そこでエリカを休ませる。
自分がそこで休めと言われようと、そこは譲るつもりはなく。
ジョエルが休息場所を探しに行くなら、先にも言った言葉を繰り返して、送り出し]
……やれ、やれ。
[自身は噴水の傍に佇み、一つ、息を吐いた]
―集会場→商店街―
[携帯端末が振動して着信を知らせてきて、足を止めて前足に取り中身を確認する。
送り主はレッグからのもので]
『To:Greg
Title:こっちも無事だ
もう知ってると思うがあちこちで暴動が起きてる、気をつけてくれ。俺も後から行く。』
[返信のメールを送り、その足は商店街の方へと向かった。
一番問題の起こりやすそうな場所、そう思うとその場所に足を向けるのはためらわれたが、
今この区画に治安守るべきものは自分しかいないのだから。
そう思いながら商店街に着くとそこかしこに略奪を行った形跡があった。
店の商品と、人の命とを略奪した形跡が…]
予想以上にひどいな……
―商店街―
[商店街の様子は集会場のそれよりもひどい有様で、
一見したところ動いてるものの姿はみかけることはできなかった]
手遅れか……。
[強化ガラスが割られて商品がほとんど見られない店、見向きもされていなかった店、中にはガラス一面真っ赤に血塗られてよく見えなくなっている店などもあった。
奥に行くにしたがってもとのままの姿をたもった店も多くなり、倒れる人の数もまばらになっていくだろうか]
公園にいってみるか……
[区画の境界、シャッターの下りたところまで着くとつぶやいて、もと来た道を戻っていった]
―→公園―
[公園につくと、まずベンチまで運ばれ座らされた。
マイルズが座るべきだと主張したが、がんとして聞き入れてはもらえず。また自身の状態も全く良くなかった為そこは折れた。
運んでくれたジョエルには礼を言い、>>113マイルズの言葉にようやく肩口の怪我に気づくと、居た堪れないような気持ちでいっぱいになった。当人は普段と変わらない調子なのだろうが。
迷惑かけ続けて良い事が一つもないので、とにかく一人で動けるようになるのが急務と、まずは身体を様子をスキャニングするため暫く目を閉じた。]
………ん、あんまり良くないなぁ…。
[結果稼働率28%を叩きだし眉がよる。どこか焼ききれているようで、自動修復もなかなか進んでいない。
仕方無く長いスカートを膝まで捲ると、脹ら脛に手をやりそこに仕込まれていた工具を取り出し、先ずは腕を直しにかかった。
震える指先では思うように進まなず。見かねたノブの手を借り、二の腕と関節部を外し、様子を見てもらい、関節の一部のパーツとケーブルを取り替えた。]
ごめんなさいノブさん……
[何度目かになる謝罪。
あまり言うとありがたみのない言葉だったが、言わずにはいれなかった。]
―公園―
『To:Greg
Title:Re:無事
知りあいがケガして、ちょっとでてる。おちついたらもどる。』
[目的地に着いて、安全な場所を探すと言う執事を見送る。
後輩からのメールを見たのはその後。
操作は早く、けれど平仮名の多い文面を返信してから、端末をしまった。
その後には自己修理を始めるエリカに、機を見ながら手を貸す]
……よ、と。
いたくない?
[確認しながらパーツを換える。
謝罪にはやっぱり首を振った]
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