[目の前に涙のベールがかかろうとしたその時。
ブレザーの胸ポケットで、携帯電話が震えた。
ばっと胸を押さえる。無意識の動作。
着信を、耳に当てる。流れるシステムメッセージ]
……ら、ない。
いらないいらないいらないっ!!
私を、自分を守れないなら、こんな役職、いらない……
[誰を守るか、羅列される名前。全部を聞かなかった。そこに、自分が求めていた情報があったのに。叩き切る]
[そうして、今の台詞が誰にも聞かれなかったか振り返る。
じり、と後ずさり。
そうして、彼らのいる保健室へと駆けて行ったのだった]
―― 回想 終了 ――