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―1F非常口―
[嫌な臭いがしていた。
鉄錆に似て、それよりももっと濃く、忌避されるような臭い。
そしてその源は、]
……ぃ、
[学長の陰で、川島は思わず息を呑み込む。
涙を流す佑一郎に掛ける声はなく、学長からの頼みにも、首を縦に振るのが精一杯。
まるでその場から逃げるように、職員室へ駆けた]
誠、じゃ、ない?
[何もしていないという誠に、疑問の声を返す。
酷く息苦しい]
でも、――はじまってる。
[その一端を担ったのは、紛れもなく]
― PC室 ―
[調理室へと向かったときから変わった様子の見えない友梨>>84に、安堵の吐息を零して。
不思議そうな問いかけには、ちょっと口籠った]
えと……あの……そ、それより、森君と宮町さんは?
[言いよどみ、PCの画面が変わっている事は口に出せなくてとっさに他の人の事を聞く。
友梨の返事にちょっと心配そうな色を瞳に浮かべた。
寒さを感じて一之瀬のマフラーを借りている状態の桜子に一之瀬が「毛布を持ってきてもらえるなら借りよう」というような事を言うのには軽く頷きをかえした。
明るく笑う友梨>>85の様子に少なくとも調理室では異変はなかったのか、とちょっと思い。
周囲を見渡す様子に、悩みながら重い口を開こうとしたところで――マリーが先に告げたかもしれない。
PCの画面が変わっている、と]
―→宿直室―
[職員室までは誰と会うこともなく、鍵を引っ掴んですぐに廊下へ出る。
再び2人と合流する頃には、完全に息が上がっていた。
その息を整えながら鍵を差し込み、宿直室へは一番最後に入った。
扉に近い位置で、先輩の様子を見守る]
……はじまった。
[掠れた声で呟く。
動かない響を見る川島の目は、怯えというよりも、何処か思い詰めたような色をしていた]
……知らせた、ほうがいいですよね。
[声が出せるようになったのは、どのくらい経った頃だったか。
2人の動向を尋ねてから、川島はパソコン室を*目指す*]
…は? 画面が変わってる?
[言葉を聞いて、慎太郎と顔を見合わせた。
慎太郎は直ぐにパソコンへ向かっただろうか。
自分も確認すべくパソコンへと向かう]
………おいおいおい、これって。
[モニター上に連なる文字はLiGでも良く見た文章。
傷口を押さえていた手が外れ、ハンカチがはたりと床へと落ちた]
高峰響が……無残な姿で発見、された……。
[紡がれる聲は抑揚無きもの。
モニターに示された文字をなぞる様に口にする]
──はじまってる。
うん、はじまっちゃってる…。
終わらせるには。
『エピローグ』にするしか、ない──?
[聲は震え、絞り出すように紡がれたために掠れたようなものになった]
―― 回想 その時 ――
[見たくなんてなかった。
でも、見ないと。見て、覚悟を決めないといけなかった]
[薄暗い廊下。進むごとに強くなる血臭。
逃げたくて、逃げたくて、でも足を叱咤して。
あと少しで非常口が見える所。ごくりと唾を飲んだ]
[まだ、そこに死体があったらどうしよう。
まだ、生きていたらどうしよう。
"襲撃"した犯人が、そこにまだいたらどうしよう。
じりじりじりじり進んで、目に入ったのは一面の赤]
[しばらく呆然と立ち尽くした。
この血の持ち主は、とても生きているとは思えなかった]
…………っも、ヤ………
[悲鳴も出ない]
[目の前に涙のベールがかかろうとしたその時。
ブレザーの胸ポケットで、携帯電話が震えた。
ばっと胸を押さえる。無意識の動作。
着信を、耳に当てる。流れるシステムメッセージ]
……ら、ない。
いらないいらないいらないっ!!
私を、自分を守れないなら、こんな役職、いらない……
[誰を守るか、羅列される名前。全部を聞かなかった。そこに、自分が求めていた情報があったのに。叩き切る]
[そうして、今の台詞が誰にも聞かれなかったか振り返る。
じり、と後ずさり。
そうして、彼らのいる保健室へと駆けて行ったのだった]
―― 回想 終了 ――
― 宿直室 ―
[掠れた春陽の呟き>>89にピクと肩が震える]
……何、が
[はじまった、と言うのだろう。
響の死が、そのはじまりだと言うのか。
問おうとした言葉は思い詰めたような眼差しを前に飲み込まれた。
やがて紡がれた春陽の言葉>>90にゆるく頷く]
――…ああ、そう、だね。
[同意の言葉を向けるが直ぐに動く気配は無い。
凶悪な殺人者がいるかもしれぬこの学園内で
一人になるのは危険だとも思うから
春陽が宿直室を出ようとすれば学長に促すような眼差しを向けた]
―― 保健室 ⇒ ――
[リネン類は実は重い。
ふらふらしている人だけに持たせるわけにはいかないから。
両手で自分ももてるだけ抱えて、マコト達が向かう場所へ]
[鉄錆の匂いが強くなれば、抱えたシーツにうつむいて。
色々とこらえていた。
彼らが、目的地にたどり着くまで]
─少し回想/パソコン室─
[桜子に促され>>56パソコンから離れると、彼女の側の椅子に腰掛けた。
一言二言は交わしただろうか、それすらも記憶に残らぬ程不安に苛まれ、しんと静まり返った広い室内がそれを余計に掻き立てた。
それでも、何か話して気を紛らわそうとした時。]
マリーちゃん。良かった…って…一人なの?
高峰君、見つからなかった…?
学長も二人のこと、探しにいったんだけ、ど…
…佑、が?
[マリーの返答は、響にも学長にも会えなかったことと、佑が響を探しにいったというもので。
響の親友である幼馴染なら彼の行き先も分かるかもしれないと思ったけれど、それよりもパソコン画面で見たあの不吉な文章から嫌な予感をひしひしと感じ、表情がまた青褪めた]
―宿直室―
[途切れた言葉に、答えは返さなかった]
……おれ、行ってきますから、
諏訪先輩は、ここに。
[同意の言葉を発した佑一郎>>97に目を向けて、言う。
学長が共に来るなら、少し戸惑うような視線を室内に向けたが、特に何か言うでもなく。
パソコン室へ向かう足は、少しずつ速度を増して行った]
─ →パソコン室─
[戻ってきたパソコン室で、最初に目に入ったのは、安堵したような桜子の姿>>82]
……なんぞ、あったん?
[問いかけの言葉は、期せずして友梨と似たようなもの。
状況の説明は友梨に任せて、一先ず、持ってきたトレイを手近な机に置いて]
……おま、明るいなぁ。
[周囲との温度差を作る友梨に突っ込みを入れたりしつつ。
パソコン画面の変化の話を聞くと、一度友梨と顔を見合わせた後、そちらへ向かう]
[桜子がマリーにパソコンの画面が切り替わっていることを教えるのも、マリーがそれを聞いてどう動いたのかも気にかける余裕はなく。
どうか、ただの悪戯であって欲しいと祈るしかなかった。
桜子が外の様子を見にいくと言い出すまで、何も話さなかった。
話せなかった。]
─回想・了─
……ホントに、かわっとる、な。
[見慣れた文章。ほんの少し、表情が険しくなる。
>>93 桜子の、祈るような呟き。
>>94 それを聞いて、自分の方を見る、友梨。
すぐにはそちらを見ずに、一つ、息を吐いた]
……そう、だな。
確かめんと、あかん、これ。
[やや間を置いてから、低く呟く。
その声には、いつもの軽い響きはほとんどなかった]
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